今、スマートフォン(スマホ)の依存症が小中学生のあいだでも増えてきています。スマホに執着するあまり、勉強がおろそかになったり、体調を崩したりなどの報告もあるようです。そこで、スマホ依存症になる原因と、依存症にならないための対策を紹介します。
目次
スマホ依存症とは?どんな子どもがなりやすい?
保護者
今、10代のスマホ依存症が問題になっているらしいわね。
保護者
うちもスマホを持たせているので、他人事ではありません。保護者として気をつけてはいますが、四六時中、使い方の監視をしているわけにもいきません。
保護者
そうよね。自律的に使えるようになることも大事だものね。
保護者
スマホ依存症になると、どんな問題が出てくるのですか?予防する方法はあるのでしょうか。
教室長
現代人は多かれ少なかれスマホに頼ったり、振り回されたりしている部分があると思います。そういう意味で、「ここからがスマホ依存症」と線引きするのは難しいですが、「危険なスマホ依存症の3大症状」としては、このような点が挙げられると思います。
①スマホに振り回されて生活に支障が出ている。
②自分の意思だけではスマホを断ち切ることができない。
③スマホがないと不安になる。
保護者
それぞれの具体的な症状はというと?
教室長
①は、スマホを優先して宿題をしない、食事や睡眠そっちのけでスマホをやっている、アプリゲームに高額の課金をしてしまう、スマホをめぐって親子ゲンカが絶えないなどです。
②は、頭では「よくない」「やめなくちゃ」とわかっていてもやめられない、もしくは1日中ダラダラとスマホをいじっている状態などです。
③は、スマホがないと落ち着かなくなったり、キレたり、気分が落ち込んだりする状態ですね。
その結果、勉強に集中できない、勉強がおろそかになるといった状態が引き起こされます。部活動や学級活動にも意欲がわかず、遅刻や欠席も多くなっていきます。
保護者
なんだかスマホに支配されている感じですね。日常生活に支障が出るとなると、放ってはおけないわよね。
どうしてスマホ依存症になるのでしょうか。
教室長
スマホは「拡張自己」と言われることがあります。スマホを持っている人は自分自身の延長、自分の一部のように感じる傾向にあります。だから、手元にないと不安になりやすいのです。それに、ゲームをしているときは脳内物質ドーパミンが出ますから、その興奮がクセになりやすいのです。
保護者
スマホ依存症になりやすい傾向はありますか。
教室長
あくまで一般的な傾向ですが、次のようなお子さんがスマホ依存症になりやすいといわれています。(※1)
●精神的な弱さがある
まわりに流されやすい、自信がない、衝動のコントロールが苦手などや不安、疎外感、対人恐怖などを抱えているなど。
●家庭環境に問題がある
家族間のコミュニケーションが希薄、保護者が権威的・放任主義、両親の不仲など。
●学校などでのストレス
勉強についていけない、友だちがいない、友だちや教師とのトラブル、いつも気を張っている、やりたいことがみつからない、受験のプレッシャーなど。
保護者
心のすきまを埋めるのに、スマホが一番身近ということなんでしょうね。
スマホ依存症が子どもの心身におよぼす影響
保護者
スマホ依存症って、体にはどんな影響が出るんでしょうか?
教室長
一番多いのは、目の不調やトラブルです。目の疲れや視力の低下、ドライアイなどですね。裸眼視力が1.0未満の子どもは、親世代と比べて増加傾向だという報告もされています (※2)。ほかには頭痛、肩こり、手のしびれ、親指の腱鞘炎など、神経系の不調やトラブルもあります。
保護者
夜遅くまでスマホをやっていて、睡眠不足や睡眠障害になる子も多そうよね。
教室長
自律神経失調から、めまい、耳鳴り、吐き気、たちくらみなどを起こす子や、姿勢の歪みなども問題です。猫背だけでなく、「スマホ巻き肩」「スマホ首」というのも増えているようですよ。
保護者
スマホ巻き肩?スマホ首?
教室長
スマホ巻き肩は、肩が前に出てきて、主に体の前面の筋肉が凝り固まります。そうなると、体を伸ばしたり反らしたりする動作が難しくなってしまいます。スマホ首は、ストレートネックともいわれるもので、首を前に出す姿勢が続くことで首や背中に負担をかけている状態になります(※3)。
保護者
体だけでなく心への影響も気になるわね。
教室長
スマホの影響で、イライラや不安を訴えるお子さんがいます。うつ病、パニック障害との関連を提唱する専門家もいますね。一説では、スマホ画面のブルーライトが脳を刺激して、セロトニンやコルチゾールなど心の状態に影響するホルモンを刺激するそうです (※4)。
保護者
うちの子たちを見ていると、スマホは仲間同士のコミュニケーション・ツールとして不可欠になっていますよね。スマホを持っていないと友だちとの話についていけなかったり、仲間外れにされてしまったりすることもあるようです。
教室長
お子さんたちにとってSNSの世界は、大人以上に現実の世界と密接につながっています。そのため、人間関係の維持にのめりこんでいく傾向があります。「仲間外れにされたくないから」「自分のいないときに陰口を言われないように」などの気持ちから、SNSを離れられなくなっているお子さんもいます。
保護者
SNSでの仲間外れやいじめが原因で、自殺に走ってしまった事件もあったわね。大人がどこかで気づいて、ストップをかけられたらいいのだけれど…。
教室長
SNSトラブルは本当に親としても心配ですし、怖いですよね。SNSをめぐるトラブルをどう防げばよいか、こちらの記事も参考にしていただくと良いかと思います。
スマホ依存症にならないためにできること
保護者
どうすれば、スマホ依存症を予防できますか?もしうちの子がスマホ依存症になってしまったら、どうしたらいいのでしょうか。
教室長
これからの時代、「スマホなしで生活する」というのは現実的ではないですよね。ですから、スマホをお子さんから取り上げるのは、根本的な解決にならないと思います。「スマホと上手に付き合う」方法を考えていくべきでしょう。
保護者
たとえば、どんな方法がありますか?
教室長
1つは、親子でスマホの使い方について話し合い、ルール化する方法があります。「スマホ使用は1日2時間以内」とか「朝は10分だけ、夕食後30分、寝る前30分」というように、使う時間やタイミングを決めてしまうなどです。
保護者
約束を破ったときのペナルティーも、事前に決めておくのがいいと思うわ。
教室長
2つ目として、保護者の監督のもとに使えるようにする方法です。「アプリをダウンロードする際には保護者が承認できるように設定する」ですとか、「ゲームや動画の使用に制限やロックをかける」などですね。お子さんのスマホを契約する際に、使える通信データ量を制限するのも有効です。
保護者
スマホ依存症かも?と思ったときの対処法を教えてください。
教室長
まずは、すこしずつ使用時間や回数を減らすことです。子どもの手の届くところにスマホを置かない、予備のバッテリーをもたない、通知機能をオフにする、使い放題のプランをやめるなどをしてみましょう。ゲームアプリなども夢中になりがちなので、プレイ時間を制限するルールなどを決めておきましょう。
保護者
はい。
教室長
スマホ依存症の背景に、悩みやストレスなどの問題がある場合は、それを解決することも大事です。
保護者
そもそも心の隙間にスマホが入ってきているのなら、その隙間をふさぐことが根本解決になるわね。
教室長
「スマホ依存症対策アプリ」というのもありますよ。アプリを入れると、強制的にスマホが使えなくなります。家族や友だちにも、協力してもらうといいかしれませんね。親御さん同士で、スマホに依存しないための情報交換をするのもいいかもしれません。
スマホ以外に熱中できることを見つけるというのも大事です。それでも、どうしてもスマホが気になる、スマホから離れられないという場合は、専門家に相談すると安心だと思います。
保護者
専門家というと、精神科とかですか?
教室長
小児科、もしくは心療内科で相談してみるのが一般的ですが、身近で相談しやすいところでは、学校にいるスクールカウンセラーやソーシャルワーカーがいます。また、教育委員会のなかに教育相談の窓口もありますよ。
保護者
わかりました。ありがとうございます!あまり心配し過ぎないようにして、スマホの健全な使い方について親子で勉強していきたいと思います。
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(※1)参照:「ネット依存症から子どもを救う本」 法研 (2017/6/1) (著)樋口進
(※2)参照:「学校保健統計調査報告書」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2018/03/26/1399281_01_1.pdf
(※3)参照:『こころの耳「背中がしんどい」』(厚生労働省)※「スマホ首にご注意!」
https://kokoro.mhlw.go.jp/
(※4)参照:『ブルーライトとは』(ブルーライト研究会)
http://blue-light.biz/about_bluelight/?p=16