〈動詞〉の役割

英語の文は通常、〈主部〉(主語を中心とした意味のかたまり)と〈述部〉(述語動詞を中心とした意味のかたまり)から構成されています 。
〈主部〉は、その文が「何について述べているか」を表す部分で、人・事物を表す〈名詞(句・節)〉です。
〈述部〉は、その主部が「何であるか」「何をするか」を表す部分で、状態・行為などを表す〈動詞〉が導く残りの部分です。

 

① Ken and Yuki  are good guitarists.(ケンとユキはよいギタリストです。)
② Ken and Yuki play the guitar well.(ケンとユキはギターを上手に弾きます。)
※ 点線部が〈主部〉、実線部が〈述部〉、太字部が〈動詞〉

 

上の英文では①②共に、Ken and Yukiが〈主部〉です。つまり、「ケンとユキ」について述べている文です。
そして、①ではare good guitarists、②ではplay the guitar wellが〈述部〉です。つまり、「ケンとユキ」について、①では「よいギタリストである」、②では「ギターを上手に弾く」と述べているのです。
ここでは、〈主部〉でテーマを与え、〈述部〉でその内容を示すように構成されています。

その際、〈述部〉の中心になるのが〈動詞〉です。どの〈動詞〉を用いるかにより、残りの部分の形も変わってきます。
たとえば、上の英文では、①〈be動詞〉areと②〈一般動詞〉playが〈述部〉の中心になる〈動詞〉です。
〈動詞〉は大きく〈be動詞〉と〈一般動詞〉の2種に分類することができます。

 

〈be動詞〉の場合

 

〈be動詞〉を用いた文の基本形は〈X be Y〉です。Xが〈主部〉で、be Yが〈述部〉です。
〈X be Y〉は、「Xについて、その内容・状態はYである」、単純に言えば「XはYである」ということを表します。つまり、〈be動詞〉は、主語とその内容部分をつないで1つの文にする役割を担っているのです。
ただし、〈be動詞〉は、実際の英文において、〈現在形〉であればam・are・is、〈過去形〉であればwas・wereとして用いられます。そして、主語の〈人称〉や〈単数/複数〉に応じてどれが用いられるかが決まります 。

なお、〈一般動詞〉の中には〈be動詞〉に近い働きをする動詞もあります。

Yuri wants to become a doctor.(ユリは医師になりたいと思っています。)

このタイプの動詞は〈be動詞〉に置き換えられることが多いのが特徴です。
※〈be動詞〉の基本の説明はこちらの記事にあります。

 

〈一般動詞〉の場合

 

〈一般動詞〉の「一般」に特別な意味はなく、「普通な」といった意味だと捉えておけば十分です。〈be動詞〉が特殊な〈動詞〉であるため、それとは対照的な普通の〈動詞〉のことを言います。つまり、〈be動詞〉を除くすべての〈動詞〉が〈一般動詞〉です。

 

〈一般動詞〉は、主語の「行為」「状態」などを表します。
① Ken and Yuki play the guitar well.(ケンとユキはギターを上手に弾きます。)
② Ken and Yuki like jazz very much.(ケンとユキはジャズがとても好きです。)
※ 太字部が〈一般動詞〉

 

上の英文では、①playと②likeが共に〈一般動詞〉です。
その際、①play(弾く)は主語(Ken and Yuki)の「行為」、②like(好きである)は「(感情の)状態」を表します。

 

中学1年生のうちに、ぜひ覚えておきたい基本の〈一般動詞〉を以下に列挙します。
▼「行為」を表す〈一般動詞〉
buy(買う) come(来る) do(する) drink(飲む) eat(食べる) enjoy(楽しむ) 
get(得る・到着する) give(与える) go(行く) help(助ける) look(見る) 
make(作る) meet(会う) move(動く) open(開ける) play(遊ぶ・スポーツをする・演奏する) read(読む) run(走る) send(送る) sing(歌う) speak(話す) stand(立つ) stop(止める・止まる) study(勉強する) swim(泳ぐ) wait(待つ) walk(歩く) wash(洗う) work(働く) write(書く) など

▼「状態」を表す〈一般動詞〉
have(持っている・飼っている) know(知っている) like(好きである) live(住んでいる・生きている) want(欲しい) など

 

〈一般動詞〉を用いた文――肯定文・否定文・疑問文

肯定文

 

〈一般動詞〉を用いた文の基本形は〈X+一般動詞〉です。「Xは…する」と訳します。
そして、もう1つの基本形が〈X+一般動詞+Y〉です。「XはYを…する」と訳します。後者のように、何か対象に向けて働きかけるタイプの動詞(他動詞)のほうが多く見られます。

 

③ Ken and Yuki live in the same city.(ケンとユキは同じ街に住んでいます。)
④ Ken and Yuki speak English well.(ケンとユキは英語を上手に話します。)
※ 下線部が文の主要素、太字部が〈一般動詞〉

 

上の英文では、③liveと④speakが共に〈一般動詞〉です。
その際、③in the same city(同じ街に)と④well(上手に)は共に、修飾語句であるため、文の主要素と見なしません。
したがって、③は〈X+一般動詞〉(Xは…する)で、④と下の⑤は〈X+一般動詞+Y〉(XはYを…する)です。

また、次の⑤のように、主語が〈三人称・単数〉で、文の時制が〈現在〉または現在の文である場合、その〈一般動詞〉には〈三単現〉の-s[es]が付きます。
⑤ Ken speaks English well.(ケンは英語を上手に話します。)
※〈三単現〉に関する詳しい説明はこちらの記事にあります。

 

否定文

 

「Xは…する」を表す〈肯定文〉に対し、「Xは…しない」を表す文が〈否定文〉です。
〈否定文〉を作る場合、否定語not(ない)を用い、〈一般動詞〉の部分を〈do not+動詞原形〉にします。

 

【肯定文】You know his name.(君は彼の名を知っています。)
 【否定文】You do not know his name.(君は彼の名を知りません。)
〈do not+動詞原形〉は多くの場合、do notの部分を短縮して〈don’t+動詞原形〉と表されます。

また、次の⑦のように、主語が〈三人称・単数〉で、文の時制が〈現在〉または現在の文である場合、〈do not+動詞原形〉は、doに〈三単現〉の-esを付けて〈does not+動詞原形〉にします(doは〈子音字+o〉であるため、語尾に-esを付けます)。

【肯定文】She knows his name.(彼女は彼の名を知っています。)
 【否定文】She does not know his name.(彼女は彼の名を知りません。)
〈does not+動詞原形〉は多くの場合、does notの部分を短縮して〈doesn’t+動詞原形〉と表されます。

 

■ 個別指導塾の基本問題に挑戦!
《問題》次の1)~3)について、和文の内容に合うように英文の空欄に適語を入れ、さらにその英文を〈否定文〉にしなさい。
1)I (   ) baseball very much.(私は野球がとても好きです。)
2)He (   ) very fast.(彼はとても速く走ります。)
3)She (   ) mathematics hard.(彼女は一生懸命に数学を勉強します。)

《正解》1)like 否定文:I don’t like baseball very much.
2)runs 否定文:He doesn’t run very fast.
3)studies 否定文:She doesn’t study mathematics hard.
《解説》1)「好きである」はlikeです。否定文では、〈don’t+動詞原形〉を用いてdon’t likeにします。
2)「走る」はrunですが、主語(He)が〈三人称・単数〉で、現在の肯定文であるため〈三単現〉の-sを付けてrunsにします。否定文では、〈doesn’t+動詞原形〉を用いてdoesn’t runにします。
3)「勉強する」はstudyですが、主語(She)が〈三人称・単数〉で、現在の肯定文であるため(yをiに変えた上で)〈三単現〉の-esを付けてstudiesにします。否定文では、〈doesn’t+動詞原形〉を用いてdoesn’t studyにします。

 

疑問文

 

「Xは…する」を表す〈肯定文〉に対し、「Xは…するか」を表す文が〈疑問文〉です。
〈疑問文〉を作る場合、主語の前にDo、文末に疑問符(?)を置き、文全体を〈Do+X+動詞原形…?〉にします。

【肯定文】You know his name.(君は彼の名を知っています。)
 【疑問文】Do you know his name?(君は彼の名を知っていますか。)

また、次の⑨のように、主語が〈三人称・単数〉で、文の時制が〈現在〉または現在の文である場合、〈Do+X+動詞原形…?〉は、Doに〈三単現〉の-esを付けて〈Does+X+動詞原形…?〉にします。
【肯定文】She knows his name.(彼女は彼の名を知っています。)
 【疑問文】Does know his name?(彼女は彼の名を知っていますか。)

さらに、文の時制が〈過去〉である場合には、doの過去形didを用い、〈Did+X+動詞原形…?〉にします。Did she know his name?(彼女は彼の名を知っていましたか。)とします。

 

■ 個別指導塾の基本問題に挑戦!
《問題》次の1)~3)について、和文の内容に合うように英文の空欄に適語を入れなさい。さらにその英文を〈疑問文〉にしなさい。
1)You (   ) to this shop every week.(君は毎週この店に来ます。)
2)Ken (   ) many books.(ケンは本をたくさん持っています。)
3)His sister (   ) her own room.(彼の姉[妹]は自分の部屋がほしい。)

《正解》1)come 疑問文:Do you come to this shop every week?
2)has 疑問文:Does Ken have many books?
3)wants 疑問文:Does his sister want her own room?
《解説》
1)「来る」はcomeです。主語がyouで文の時制が〈現在〉なので、疑問文は、〈Do+X+動詞原形…?〉を用いてDo you come …?にします。
2)「持っている」はhaveですが、主語(Ken)が〈三人称・単数〉であるため〈三単現〉の形であるhasにします。疑問文は、〈Does+X+動詞原形…?〉を用いてDoes Ken have … ?となります。
3)「欲しい」はwantですが、主語(His sister)が〈三人称・単数〉であるため〈三単現〉の-sを付けてwantsにします。疑問文は、〈Does+X+動詞原形…?〉を用いてDoes his sister want … ?とします。

 

最初にもご紹介したとおり、〈一般動詞〉は、英語の中核である〈動詞〉の大半を占めます。また、一般動詞はその英文がどんな述部を持つのかを決定づけます。ですから、英語を学ぶ上でもっとも大切な文法事項と言えますし、この後に学ぶ「文型」「時制」「助動詞」「不定詞」「分詞」などの重要文法単元を学ぶ際の前提でもあります。そのため、〈一般動詞〉をしっかりと理解することが、その後の英語学習をスムーズに進めるかぎとなるのです。
また、否定文や疑問文をつくるのは、初めのうちは少し面食らうかもしれません。否定文や疑問文の作り方を理解しているという自信を持っていても、英語のコミュニケーションの中で自由自在に使いこなせるところまでできそうでしょうか。使いこなせる自信がない場合は、ぜひ繰り返し練習して、自分の中でいつでも使える知識にまで高めておきましょう。

もし実際に英語学習を進めていく上で、動詞の部分でつまずいて苦手意識を持ってしまった場合、個別指導塾の対策指導が役に立つかもしれません。決して1人で悩まず、個別指導塾の無料学習相談会などの機会を利用し、ぜひ経験豊富な学習のプロに相談してみましょう。きっと英語の動詞はもちろん、文法事項の勉強法など、親身にアドバイスしてくれることでしょう。

 

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