進路選択をするときに、大学か専門学校かでお子さんと保護者で意見が合わず、悩むこともあるでしょう。そもそも専門学校とはどのような学校なのか、その魅力や選び方、卒業後の進路、就職について紹介します。
目次
専門学校のポイントは就職率の高さ!
保護者
うちの子どもたち、ホント部活動ばっかりなのよ。最近、将来はプロにはなれないかもしれないけど、スポーツに関わる仕事をしたいなんて言い出して。
保護者
もう将来のことを考えているなんてすごいじゃない!スポーツ関係というと、どういう仕事になるのかしら。スポーツのトレーナーとか?
保護者
私もよくわからなくて…。どんな大学で学べばいいんでしょうか?
教室長
たとえば、スポーツトレーナーなら、大学のスポーツ科学系の学部や専門学校で、実技を中心に実践的な学びで目指すのが一般的ですね。
保護者
なるほど。大学はなんとなくわかるのですが、専門学校ってどんな感じなんでしょう?恥ずかしながら全く知らなくて…。
教室長
そもそもの「専門学校とは」から説明したほうがよさそうですね。専門学校は、学校教育法で定められた専修学校のうち、専門課程をもつものを指していて、都道府県知事の認可を受けた正規の学校です。高校を卒業した方を対象に、「実践的な技能を身につけたい」「仕事に役立つ資格を取得したい」と職業に直結する専門的な知識や技術を習得するための教育機関で、各分野のスペシャリストを育成しています。
保護者
じゃあ「~~専門学校」というのを選べばいいんですね。
教室長
すべての専門学校が「○○専門学校」と名乗っているわけではありませんので、専門士(2、3年の課程修了者)や高度専門士(4年の課程修了者)など、取得できる学位を確認することが大切です。
保護者
専門学校の魅力は何でしょうか?
教室長
何と言っても「将来なりたい職業で必要とされる実践的な学びが受けられる」ということですね。専門的な知識・技術の習得が中心で、実習や実技の時間が多く、カリキュラムのほぼ半分は実技です。講師として現役で活躍する人を起用するなど、興味を引く授業が展開されることも多く、同じ目標や夢を持つ仲間と切磋琢磨しながら、より実践的に学べます。
また、外せないメリットとして「就職率の高さ」は専門学校の特徴ですね。なりたい職業に結びつく学びを深めているので、専門分野に関連した仕事に就職する率が高いのも特徴の1つです。
保護者
本人が希望する業界への就職率が高いというのは魅力的ですね!
教室長
もう少し詳しく、専門学校でどんなことを学べるかをご説明しますね。専門学校で学べる分野は8分野(※)で、それぞれの分野にはさまざまな学科が設置されています。幅広い学習ニーズに対応できるようになっています。
また、専門学校は、文部科学省の学校設置基準で同時に授業を行う生徒数を原則40人以下と定められているため、大学に比べて少人数制で、その分、1人ひとりに目が届き、きめ細かな指導が受けられますよ。
保護者
そういえば、専門職大学ということばを聞いたことがあります。
教室長
実は、2019年度から、実践的な職業教育を行う新しいタイプの高等教育機関として「専門職大学」と「専門職短期大学」の創設が予定されています。「専門職大学」(修業年限4年)、「専門職短大」(修業年限2~3年)は、大学や短大に分類されるため、卒業すると「学士(専門職)」「短期大学士(専門職)」の学位が得られるのがポイントです。
保護者
進路選択の幅が広がりますね!
「なりたい職業は何か」をハッキリさせよう!
保護者
専門学校は将来に結び付くことを専門的に学べて、就職率もよくて、とても魅力的に見えるけど、いっぱいある専門学校からどう選ぶのがいいのかしら。
教室長
そもそも専門学校を選ぶ前に大切なのは「なりたい職業が明確かどうか」ですね。大学は広く教養を高め、専門的な学問や学術の研究をし、幅広い能力の育成が教育の目的です。一方の専門学校は、なりたい職業に必要な能力と教養を育成することが目的なので、まずそこが明確かを確認したほうがいいですね。
保護者
そうですよね。スポーツ関係といってもいろいろな資格や職業があるわけだし、まずは何になりたいかを決めないといけませんね。
教室長
そうですね。資格や職業を選ぶ際には、「単にやりたい」というだけでなく、将来的な見通しも考えたほうがよいでしょう。せっかく資格を取得しても、あまり就職に役立たない資格や自分に合わない資格だったという場合もあります。ぜひそれぞれの分野の専門家の意見にも耳を傾けたいところです。そして、専門学校に進学すると決める際には、次のようなことに注意して学校選びをしてみてください。
1.認可校かどうか
都道府県知事の認可を受けた学校かどうかを調べる。無認可校は通学定期や公的な奨学金の適用外で、卒業しても正式な学歴にならない。
2.授業内容や講師陣が自分に合っているか
学校ごとにオリジナルのカリキュラムが組まれ、講師も学校の特色によって異なるため、自分のやりたいことに合っているかを確認する。
3.施設・設備が整っているか
実習が多いので、学生数に見合う教室の広さや設備があるのかを確認する。設備や教育内容が新しい社会のニーズにマッチしたものかも重要。
4.就職の指導が整っているか
就職のためのカリキュラムや年間を通した就職指導の予定の有無、就職先の企業名や就職者数が公表されており、お子さんの目指すところと合致しているかどうかを確認する。
5.学費の総額がいくらか
初年度の総額や納入時期も確認する。教材・資格試験に加え、研修旅行を実施する学校もある。学費は教育内容などと合わせて総合的に判断する。
6.先生や先輩などの意見はどうか
進学する学校は多くの人の意見を参考に決めることが重要。学校や仕事への憧れだけでお子さん1人で決めてしまうこともあるので、保護者の方をはじめ、先生や先輩などの情報も総合した上でお子さんの希望と合わせて選択する。
7.オープンキャンパスや体験入学があるか
教育内容や施設・設備など学校の雰囲気を確認できるチャンス。実際に行ってみてこそわかることがあるので、同じ分野で複数の学校を見てみることが望ましい。
専門学校を卒業したら即就職?
保護者
私も専門学校って全然知らなかったけど、なりたい職業に直結する学べる場ってことなんですね。卒業したら就職してバリバリ働く人が多いんでしょうけど、もう少し学びを深めたい場合には何か方法があるんでしょうか。
教室長
そうですね。専門学校を卒業したら、その専門分野に就職するのが一般的です。専門学校卒業者は、分野にもよりますが、概ね7割が専門分野に関連した仕事に就職しているようです。特に、医療、教育・社会福祉、衛生の3分野では8割を超えるでしょう。
ただ、専門を深める、領域を広げることを目的に学びを継続したい人には大学、大学院への編入・入学という道もあります。大学への編入は、「修業年限が2年以上で、総授業時数が1700時間(62単位)以上の専門学校の修了者」という要件を満たせば可能です。大学院への入学は、決められた要件を満たす専門学校で、文部科学大臣が指定した学科を修了することで、大学卒業者と同じように資格が得られます。
保護者
大学や大学院への進学の可能性もあるんですね。
教室長
専門学校がどういった学校かはわかってもらえたと思いますが、とにかく大事なのは、将来の自分のなりたい職業を明確にして学校を選ぶことです。たとえばスポーツ関係で言えばスポーツトレーナーだけでなく、選手の健康管理を行う栄養や看護なども視野に入るかもしれません。そこが明確になれば、就職率の高さだけでなく、大学への編入も可能な専門学校はとても魅力的な選択肢になります。
保護者
専門学校に入学するにはどんな入試があるのかしら。
教室長
専門学校の多くは、一部の難関大学のような高い競争率をくぐる必要はありません。本人の興味や関心、適性などを総合的にみて判断され、書類選考もしくはAO入試のようなかたちで入学許可が出されることも多いようです。専門学校の入学対策として面接や作文指導などが具体的にありますが、こういう学問領域にピッタリ合わせた対策ができるのも、個別指導のメリットです。個別指導塾の講師をしている友人から聞いた話ですが、入学後の専門学校の授業にスムーズに入れるように、高校時代にあまり深く学習してこなかった化学や生物を特訓するニーズも結構あるようです。特定の科目だけを深く勉強して備えられるのも、個別指導ならではと言えるでしょう。
(※)参照:一般財団法人 職業教育・キャリア教育財団ウェブサイト
https://www.sgec.or.jp/scz/foundation/system/8channel.html