「受験生は朝型の生活にしたほうがいい」とよく言われますが、それはなぜでしょう?睡眠と学習の関係や、1日のスケジュールの立て方、夜型から朝型に切り替えるためのコツなどを探ってみました。
目次
朝型の生活にすることのメリットとは?
保護者
この前テレビで「受験生は朝型の生活にしたほうがいい」といっていたんですけれども、これはなぜかしら?
教室長
入試当日は、学校がはじまるのと同じくらいの時間帯、朝8時~9時ごろから試験がはじまることが多いです。この時間から頭を働かせて問題を解かなければいけないので、ふだんから朝型の生活にしておいたほうがよいと言われます。
保護者
朝型、夜型と言えば、夜遅くまで勉強するよりは、朝1時間でも早く起きて勉強すると効率がよいと聞いたことがあります。
教室長
「朝型勉強」と言われる勉強法のことですね。
脳の働きとして、寝ているあいだに脳の情報が整理され、記憶が定着することがわかっているそうです。夜の脳は疲れた状態ですから、記憶が整理されスッキリした状態の朝に勉強すると効率がよいと提案する人も多いですね。
保護者
朝は学校に行かなければいけないから、「●時までに●ページ終わらせよう」と限られた時間のなかで集中力が出やすいと聞いたことがあります。
教室長
受験生は必ず朝の時間帯に勉強しなければいけないというわけではありませんが、毎日夜遅くまで勉強していると睡眠不足になりがちです。「●時までに寝る」と決めて、残りは朝に勉強する…というように、調整のために朝型勉強を採り入れるのもよいかもしれません。
充分な睡眠が勉強の効率アップのカギ
保護者
朝型の生活のほうがよさそうだとは思うのですが、夜はおもしろいテレビ番組があったり、SNSで友だちと連絡を取り合ったりと誘惑が多くて、うちの子も夜型の生活になりがちなんですよね。
受験生なら、受験勉強をしていてつい夜遅くなってしまうということも多くなりそうです。
教室長
夜型の生活になってしまう一番のデメリットは、睡眠不足になりやすいという点でしょう。睡眠不足が続くと心身に不調が出やすいと言われています。
保護者
イライラしたり、体調不良の状態では、勉強に集中できずパフォーマンスも落ちてしまいますよね。
教室長
文部科学省でも啓発資料をつくるなど「早寝早起き朝ごはん」を推奨しています (※) 。遅く寝て遅く起きる人よりも、早寝早起きをしている人のほうが勉強やスポーツの成績がよい傾向があるという研究報告もあるそうです。
保護者
夜型の勉強、朝型の勉強と考えるよりも、まずはふだんから生活リズムを整えるように心がけることが大切かもしれませんね。
生活リズムを整えるには、どんなことをすればいいんでしょうか?
教室長
まずは睡眠時間も考えて、1日の大まかなスケジュールを立てるのがおすすめです。睡眠中は体を休ませる浅い眠りのレム睡眠と、脳を休ませる深い眠りのノンレム睡眠が1時間半のリズムでくり返されています。記憶の整理と定着はレム睡眠中に行われるそうです。
保護者
レム睡眠とノンレム睡眠の両方を十分にとることが大切なんですか?
教室長
そうです。そのためには、1.5の倍数で最低でも6時間~7時間半、睡眠時間をとるとよいと言われています。
保護者
睡眠時間を考えて1日のスケジュールを立てるというのは、具体的にどういうことでしょうか。
教室長
はい。たとえば、睡眠時間を8時間と考えると、朝6時に起きるために就寝時間は夜10時となります。この起床時間と就寝時間を基準に、朝の準備と朝食に1時間、通学に30分、帰宅は夕方6時、夕食の前後に●時間ずつ勉強と、1日24時間をタイムテーブルに落とし込んでスケジュールを立ててみましょう。
保護者
最初に決めた睡眠時間を確保するように心がけることが、生活リズムを整える第一歩になるんですね。
教室長
必要な睡眠時間は個人差も大きいので一概には言えませんが、「朝起きるのがつらい」「授業中に眠くてしょうがない」という人は、勉強の効率が落ちている可能性もあります。睡眠時間を見直してみましょう。
朝起きるのが苦手な人のための早起きのコツ
保護者
うちの子は朝起きるのが苦手みたいです。早起きするためのコツはありませんか?
教室長
まずは早く寝ることを心がけましょう。今まで遅く寝ていたお子さんが急に2時間早く寝ようとしてもスムーズに寝つけないでしょうから、いつもより30分早く、次は1時間早くと、徐々に就寝時間を早めてみてください。
睡眠時間を確保するように意識することも大切ですね。たとえば、問題集がページの途中でも「あともうすこし」と思わず、決まった時間に寝たほうがいいと思います。「残りは朝起きてからやろう」という意識も大切ですね。
保護者
確かにそうですね。睡眠時間に気をつける以外にできることはありますか?
教室長
睡眠の質を上げることを意識されるのもよいと思います。そのためによく言われるのが「寝る直前にスマートフォンを見ないようにする」こと。デジタル機器の画面の強い光は睡眠を促すホルモンを出にくくするため、よく眠れなくなるそうです。
保護者
食事や入浴のタイミングはどうすればいいんでしょうか。
教室長
寝る直前にお風呂に入ると体温が上がり睡眠を促すホルモンの働きが悪くなるそうです。入浴は寝る1時間前までにすませましょう。また、消化活動が活発だと眠りが深くなりにくいため、夕食は寝る2~3時間前にすませ、夜食も避けたほうがよいとされています。
保護者
朝スッキリと目覚めるためにできることはありますか?
教室長
目覚めをよくするコツとしては、朝起きたらカーテンを開け日光を浴びる、冷たい水を飲んだり顔を洗ったりする、といったことがよく挙げられます。
保護者
こうしてお話を聞くと、生活のリズムを整えるには、毎日のちょっとした工夫が大切なんだと思いました。それに塾に通っていると、どうしても夜遅くなってしまうこともありますよね。
教室長
そうですね。塾は個別指導塾であれば、時間割を選べるところもあるので調整しやすいですよ。また、オンライン授業などを活用すれば、夜遅く通塾のために外出する必要もなくて良いですよね。
生活リズムは急には変えられませんので、さきほど挙げたような1日のスケジュールを参考にしたり、個別指導塾やオンライン授業を活用したりしながら気長に続けてみてください。
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(※)早寝早起き朝ごはんで輝く君の未来~睡眠リズムを整えよう!~(中学生・高校生向け普及啓発資料)、
文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室、2015年6月。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/1359388.htm