自分に合った高校に進むには、どんなポイントに注意して学校選びをすればよいでしょう。今回は、志望校を決めかねている受験生と保護者の方にアドバイスです。
目次
志望校選びは「本人の意志」と「学力」の2本立て
保護者
長男が学校で進路調査票をもらって来て、志望校を書いて提出しないといけないんです。どうしようか困ってしまって…。
教室長
息子さんの高校進学のことですね。
保護者
そうなんです!進学希望の高校を3つ書かなくちゃいけなくて、でも息子も私もどうやって選べばよいかわからないんです!
教室長
わかりました。順番に考えていきましょう。
保護者
お願いします!
教室長
まず、志望校選びで多い悩みとしては「そもそもどうやって高校を決めればよいかわからない」、「行きたい高校に成績が見合わない」、「行きたい高校が見つからない」というものがあります。
保護者
息子の今の偏差値で、行けそうな高校を選ぶことも考えたんですが…。
教室長
それは、あまりおすすめしません。志望校選びの基準には、確かに学力や偏差値が大きくかかわってきますが、偏差値だけで高校を選ぶと校風が合わなかったり卒業後の進路が思い描けなかったりしてしまいます。他に失敗しがちなパターンとしては「お子さん本人ではなく、保護者の方が進学先の高校を決めてしまう」というのがあります。このパターンだと、お子さんの中に「自分の意志ではない高校に入れられた」という思いが残りやすくなります。すると、学校生活を楽しめなかったり、勉強することに意味が見い出せなくなったりしがちです。
保護者
なるほど。本人が主体的に考えて選ぶということが大切なんですね。
教室長
だからといって、「無理して上のレベルの高校に進んでしまう」というパターンも要注意です。入学してから勉強についていけず挫折してしまったり、「高校合格」が目的になって入学と同時に燃え尽きてしまったりします。
保護者
では、どうやって選べば失敗しませんか?
教室長
まずはいろいろな高校の情報を集めて、気になる学校をしぼり込みましょう。自分にとって譲れない条件は何かを明確にすると、自ずと志望校はしぼられていきますよ。
志望校選びで考慮したいポイント5つ
教室長
具体的には、次の5つのポイントに気をつけて志望校をしぼり込んでいきます。ポイントの1つ目は「志望校の雰囲気が合っているか」です。高校をよく見学して在校生や教師たちの雰囲気、部活動の様子などをつかみます。3年間、多くの時間を学校で過ごすことになりますから、本人が行きたいと思える学校であることが大事です。
保護者
受験候補の学校は、すべて見学に行くべきでしょうか。
教室長
際限なくたくさん足を運ぶ必要はありませんが、検討したい学校については本人の目で見て判断することが大切だと思いますよ。
ポイントの2つ目は「学力が合っているか」です。合格がゴールではなく、入学してからがスタートです。高校では中学よりも科目数が増え、授業内容もレベルアップしますので、無理をして習熟度の高いコースに進むと勉強についていくのに苦労するでしょう。部活動などを楽しむ余裕がなくなるのは残念なことです。かといって、学習内容が易すぎてしまうと不完全燃焼になったり、勉強がおもしろく感じられなかったりすることもありますから、その点もしっかり見極めたいですね。
ポイントの3つ目は「通学時間が負担にならないか」です。学校まで3年間通い続けるので、通学時間が長すぎたり、満員電車に長時間乗らなくてはならなかったりすると、体力的にも精神的にもきつくなります。
保護者
息子さんは、きっと高校でも部活動をがんばるでしょうから、帰宅時間が遅くなるのも心配ね。
教室長
ポイントの4つ目は「高校卒業後の進路状況」です。大学や短大へ進学するのか、就職するのかなど、卒業後の進路を見据えて高校選びをすることが大事です。大学・短大への進学実績、指定校推薦枠、就職先などのデータを確認しましょう。
ポイントの5つ目は「その学校で本人が何をしたいか」です。高校3年間という大切な時期です。部活動、勉強、学校行事など何か一生懸命になれるものを見つけて、キラキラと輝いてほしいですね。
保護者
なるほど!では、うちの子の場合は部活動に力を入れている学校やインターハイなどへの出場実績などが1つの基準になりそうです。
教室長
少し取っ掛かりが見えてきたようですね。併願校を決める時も入学する可能性があることを考慮して、自分の理想に近い学校を選ぶようにするとよいですよ。
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保護者
でも、行きたい学校が見つかっても学力が伴わないと、やっぱりダメですよね…。
教室長
学力はラストスパートで伸びるお子さんも多いので、学力でしぼるのは最後で構いません。また、学力には波があるので1回のテストで決めないで「平均値」で考えましょう。部活動をがんばってきたお子さんは、本気になれば勉強でも底力を発揮できることが多いんですよ。
保護者
そんなふうに言ってもらえると、私も救われます。まだまだ、これからですものね!
教室長
そうですよ。最初から志望校を1つにしぼる必要はありません。いくつかの候補の中から順にしぼっていき、最終的に「ここ」と思える高校を選んでください。
保護者
はい。ところで、志望校決定にタイムリミットはありますか?
教室長
9月までにほぼ志望校を決めておき、11月末の段階では「この学校もしくは、あの学校」程度に微調整するくらいまでしぼり込めるとよいでしょう。11月末に12月の模擬試験の申し込みをすることになり、その模擬試験の結果などを使って私立高校の併願優遇などの相談が行われます。もちろん都道府県によって異なりますが、一般的には11月末から12月の初旬あたりが実質的なタイムリミットになると考えてください。目標がはっきりしたほうが勉強に熱が入り、受験プランも立てやすいですから、できれば早めに目星をつけることをおすすめします。公立の場合は、どの高校を受けても試験問題は同じなのでギリギリまで本命を目指し、リスクが高いと判断したら直前で1ランク下げることも可能です。
保護者
ありがとうございます。よくわかりました。
教室長
高校選びは、その後の人生にもかかわってくることですから焦らずに検討してくださいね。そして、最後の判断はお子さん本人の意志を尊重することを忘れないでください。保護者の方はお子さんが自分の将来を見通せるように、アドバイスをしてあげてほしいと思います。自分の高校時代の体験談を語って聞かせてあげるのも、高校生活のイメージや将来のビジョンをつかむ助けになると思いますよ。
保護者
はい。息子ともよく相談してみます。