通信制高校は、自宅にいながら学べる以外にも多くの特徴やメリットがあります。反対に、進路選びの際に気をつけたいことも。今回は「通信制高校はどんなところ?」をテーマに情報をまとめます。
目次
通信制高校と全日制・定時制高校の違いを知ろう
保護者
近所に通信制高校を選んだお子さんがいて、久しぶりに見かけたので声をかけたら「これから学校に行く」って。通信制って自宅で勉強するだけじゃないんですね。私、初めて知りました。
教室長
ああ、スクーリングですね。
保護者
スクーリングってなんですか? 通信制高校って、普通の高校とはなにが違うのでしょうか。
教室長
では、せっかくなので今日は「通信制高校」についてお話ししましょう。「普通の学校」とおっしゃっているのは、平日昼間に通学する全日制の高校のことですね。通信制高校とは、通信による教育をおこなう高校のことです。全日制は平日昼間、定時制は昼間や夜間などに登校しますが、通信制高校は基本的には自宅で勉強します。
保護者
はい。
教室長
高校には全日制以外に、昼間や夜間に登校する定時制と、通信教材を使って基本は自宅で勉強する通信制高校があります。
保護者
通信教材というのは?
教室長
教科書などのテキストのほかに、解説用の動画があります。それらでまず勉強をして、次に、理解できているかどうかを確認するためのレポート提出をします。学校からは後日、添削したものが返ってきますので、それを見て復習するという流れです。
保護者
レポート提出は郵送ですか?
教室長
郵送の場合もありますし、最近はインターネットを活用したeラーニングも増えています。
保護者
メールのやり取りで添削指導が受けられるのは便利ですね。
教室長
これ以外にスクーリングといって、登校して学校で勉強する機会があります。決められた期間に学校で授業を受けたり、自宅学習でわからないところを質問したり、体験学習をしたりします。
保護者
スクーリングは何日くらいあるのですか?
教室長
学校によって違います。週何回通うかを自分で選択できる場合や、年1回の合宿に参加するなどがあります。多いのは月2回程度でしょうか。毎日登校型や年5日程度の合宿形式の集中スクーリングもあります。
保護者
じゃあ、勉強してレポートを提出して、スクーリングに行けば単位がもらえるのですか?
教室長
いいえ、テストがあります。単位認定試験を受けて合格すれば、その教科・科目の単位が取れます。
保護者
通信制高校は単位制なのですか?
教室長
すべてではないですが、単位制が多いですね。教科学習で74単位、特別活動で30単位の取得が基本です。特別活動はホームルームや体育祭、修学旅行などで、スクーリングで行います。
保護者
何年で卒業できますか?
教室長
3年以上の在籍期間が必要です。1年に何単位取ってもいいので、10年以上かけてコツコツ勉強して卒業する人もいますよ。卒業すると、「高等学校卒業資格」が取得できます。
入学のチャンスは4月と10月の2回!
保護者
通信制高校に入学するには、どんな試験がありますか。
教室長
通信制高校には「入学試験がない」んです。
保護者
え!ほんとですか?
教室長
ええ。中学校を卒業した人か、それと同等以上の学力があれば、無試験で入学できるところが多いです。面接や作文を提出するところもあります。年齢に上限はありません。社会人になってから入学する人もいます。
保護者
募集期間はいつなんですか?
教室長
2期制をとっているところが多く、入学のタイミングは4月と10月の2回あります。それに合わせて、3・4月と8・9月に新入生の募集が行われます。随時募集している学校もありますね。
保護者
編入や転入もできますか?
教室長
もちろんできますよ。編入や転入の際は、本人の現状を把握する目的で、面接や作文をすることが多いです。ちなみに、前の学校での在籍期間もカウントされます。
保護者
それまでのがんばりが無駄にならないのはいいですね!
教室長
卒業後は大学へ進学することも可能です。高校卒業資格が取得できるので、ほかの高校と比べて不利ということはありません。ただし、通信制高校を選ぶ人の大半が、「高卒資格取得」を目的にしているので、さほど力を入れていない学校が多いようです。
保護者
では、大学進学したい場合はどうすればいいでしょう。
教室長
予備校や塾、大学受験のフォローがあるサポート校を利用して、入試対策の指導を受けるのがいいと思います。有名大学への進学実績のある通信制高校を選ぶことも大事です。また、やりたいことが明確な人や一芸のある人はAO入試を活用する手もありますね。
保護者
サポート校とはなんですか?
教室長
正しくは、通信制サポート校といいます。通信制高校に在籍する生徒さんに対して、3年間で卒業ができるよう単位取得・進級などに必要とされる支援を行う民間の教育施設です。勉強はもちろん、精神面や生活面といった部分でもサポートをしてくれるので安心です。高校ではないので、サポート校に通学しただけでは高校卒業資格を取得することはできません。
通信制高校のメリットとデメリット
保護者
通信制高校を選択するメリットはやはり、自分のペースで勉強を続けられるということでしょうか。
教室長
そうですね。スクーリングの日以外は、いつ勉強しても自由です。場所も問いません。
保護者
仕事やスポーツなどのキャリアを積みながら、勉強を両立させていきたい人にはいいですね!
毎日学校に通うのが難しい人にも向いているわね。
教室長
ほかにも2つメリットがあります。1つは、学費が安いことです。公立の通信制高校では3年間で10万円ほどです。私立では年間25~90万円が目安です。
保護者
自分で働いて学費をまかなうこともできそうですね。
教室長
そういう人も実際多いですね。もう1つは、勉強を続けやすいようにサポートがあることです。通信制高校の生徒には、いじめや不登校を経験した人、病気や障害のある人、事情があって高校を卒業できなかった人など、さまざまな事情の生徒さんがいます。そのため、カウンセラーが常駐していたり、インターネット経由でレポート提出できたりなど、豊富なサポートが用意されています。学校によっては、資格取得や体験学習に積極的なところもあります。
保護者
何年かけて卒業してもいいし、サポートも手厚ければ、途中で挫折したりあきらめたりしなくてすみますね。
教室長
メリットだけでなく、デメリットも知っておいてほしいです。主に2つあります。まず1つ目は、自分で計画的に勉強しなくてはならないことです。時間やスケジュールの管理を自分でする必要があります。
保護者
レポートも自分で勉強してやらなければならないのですものね。大変そう。
教室長
自分だけでは勉強が難しい人は、通信制サポート校や塾を利用したほうがいいでしょう。2つ目は、人とのかかわりがおしなべて少ないことです。クラスメイトや先生とかかわる機会が少ないので、人によってはもの足りなく場合があります。また、競争相手がいなくて張り合いがないと感じる場合があるかもしれません。
保護者
部活動やサークルなどはないのですか?
教室長
学校によっては、部活動やレクリエーションがある学校もあります。
保護者
通信制高校といってもそれぞれに特徴があるのですね。よく調べないとダメですね。
教室長
一般的に通信制高校は、自分のペースで勉強したい人、他の人とのかかわりが苦手な人、1人で勉強するのが好きな人、仕事しながら高校卒業したい人、社会に出てからの学び直しをしたい人などにピッタリだと思います。ただし、学校によってカリキュラムが違うので、おっしゃるように、しっかりと情報収集することが大事です。