中学・高校の6年間を一貫した教育で学ぶことができる「中高一貫教育校(中高一貫校)」。文部科学省の調査によると、中高教育一貫校は595校(平成28年度時点)、平成29年度以降新たに26校の設置が予定されているとのことで、増加傾向にあります。私立だけでなく、公立の中高一貫校にも人気が集まっていますね。今回は「中高一貫校」についての基礎知識をご紹介していきます。
目次
「中高一貫校」の形態は3種類
保護者
娘さんは私立の中高一貫校よね。中学受験を考えているママさんたちから、相談されたりするんじゃない?
保護者
そうですね…「中学受験を視野に入れてはいるけれど、実際、中高一貫校ってどうなの?」って聞かれることが多いかも。中高一貫校が増えてきていますよね。
教室長
中高一貫校の実施形態としては、3つあります。まずはそれぞれの違いについてご紹介しましょう。
1.中等教育学校型
中学校と高校を一つの学校として、6年間での一体的な教育を行う。
高校進級時は実質的に無試験であることが多く、外部からの高校募集はなし。
2.併設型
県や市、学校法人などの同一設置者が中学校と高校を併設。
高校進級時は実質的に無試験であることが多く、外部からの高校募集あり。
3.連携型
設置者の異なる中学校と高校が、教員や生徒の交流・連携を深めながら一貫教育を行う。
高校進級時は簡単な選抜試験あり、外部からの高校募集あり。
「中高一貫校」のメリット・デメリットは?
保護者
実際に通わせてみて、中高一貫校のよさってどんなところにあると感じるのかしら?
保護者
最大のメリットは、「6年間」の一貫した教育プログラムを受けられるということですね。学習面だけでなく、部活動なども「6年間」同じ環境という場合も多いので、打ち込みやすいと感じます。それから、基本的には「高校受験」が課されないので、落ち着いてゆとりのある学校生活を送りやすい環境なのかなと思いますね。
保護者
逆にここはデメリットかなってところは?
保護者
高校受験がないことで、逆に「中だるみ」してしまわないかという心配もあります。娘の学校は勉強のスピードも速いし、親としても中高一貫だからと安心せず、成績には常に気を配っておきたいなと思っていますね。
私立と公立でどうちがう?「中高一貫校」受験の傾向と対策
保護者
娘さんは私立の中高一貫校よね。最近は公立の中高一貫校が増えていると聞くわ。
保護者
そうですね。うちは最初から私立で考えていたから、公立の中高一貫校については実はあまりくわしくなくて…対策も異なるんじゃないかしら?
教室長
私立・公立ともに中高一貫校を希望するならば中学受験が必要になるというところは同じです。ただし、おっしゃる通り、私立中学と公立中高一貫校では傾向や必要な対策が異なるので、進路を考える際は注意が必要ですよ。
保護者
どんなところが異なるんですか?
教室長
それぞれの選抜方法と対策をまとめてみましょう。
◇私立中学校受験
【選抜方法】
*一般的に、国算理社4教科の教科試験が中心。
ただし、適性検査型入試を実施する学校も増えてきている。
*小学校の学習だけでは対応できない問題が出題されることが多い。
*知識を応用させて正答を導く「考える力」が問われる傾向がある。
【対策】
*小学3~4年生頃から、塾の中学受験専用の対策コース等で本格的に受験対策を始める方が多い。
◇公立中高一貫校受検
【選抜方法】
*一般的に、「適性検査」や「作文」が中心。
*適性検査は、単独の教科知識を問う問題ではなく、教科の枠を超えた横断的・総合的な内容。
*与えられた文章を読み取る「読解力」、知識を活用して論理的に考える「思考力」、考えた内容を表現する「記述力」が求められる。
【対策】
*小学5・6年生の高学年から対策を始めるケースも多いが、小学校の内容をしっかりと理解できていることが大前提なので、普段から授業に積極的に取り組み、苦手をつくらないことが大切。
*普段から本や新聞を読んだり、ニュースを見たりして社会の出来事に関心を持つこと、「なぜそうなるのか」「自分ならこう考える」くせをつけ、そのことを家族内で話し合ったり、意見を交換したりすることで、読解力・思考力を身につける訓練が必要。
*記述力をつけるため、作文を書いたり、文章をまとめたりする練習が大切。制限時間内に書く練習も有効。
*国算理社だけでなく、音楽や図工、クラブ活動など、小学校の学習・生活全般に積極的に取り組む姿勢が大切。
保護者
私立と公立ではいろいろな面で違うのね。
教室長
ただ、どちらにしても大事なのは、自分で「考える力」をつけるということですね。
個別指導塾で中学入試は可能か
保護者
最近は、中学受験対策で個別指導塾に通う方も増えていると聞きました。
教室長
けっこう多いですよ。個別指導塾で中学受験対策をする方も以前に比べてかなり増えてきました。
保護者
中学受験といえば、集団塾で勉強するものというイメージもありますよね。
教室長
そうです。中学受験対策を集団塾で行うとなると、かなり進度の速いカリキュラムが組まれます。その学習ペースについていくのは容易ではありません。だから個別指導塾で集団塾の予復習をするのです。
保護者
確かに中学受験の塾の授業は大人が聞いても難しくて大変そうですよね。
教室長
それだけではありません。個別指導塾だけで中学受験をする受験生も多いのですよ。中学受験を経験した講師などが中心になって、オーダーメイドで志望校に合わせたカリキュラムを作成して対策するのです。
保護者
なるほど、中学受験を経験した講師であれば、志望校に特化した勉強を効率よくできそうね。
教室長
集団塾だと、どうしても塾生同士で切磋琢磨する部分が出てきます。そうした緊張感が苦手なお子さんには個別指導塾がピッタリだと思います。
保護者
ひと口に中学受験をするといっても、お子さんの資質や個性を見極めることが大切よね。
保護者
そう思います。受験するのは子ども自身ですから、自分の子の現状や目標に沿った個別の対策がいいですよね。
教室長
個別指導塾で中学受験対策をするメリットはそれだけではありませんよ。特に公立の中高一貫校では顕著なのですが、文章表現力や考察の深さを問う記述式の問題を出す学校も多くあります。こうした問題に対応する力をつけていくには、個別指導塾が適しているのです。地域に根差した個別指導塾であれば、地元の中高一貫校のことを熟知しているものです。ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。
保護者
個別指導塾で中学受験ですか。時代も変わるものね。