神奈川県公立高校の入試制度 【4つのポイント】

まずは、神奈川県の公立高校の入試制度の概要をつかんでおきましょう。 おさえておきたいポイントは、次の4つです。

 

 

1回きりの「共通選抜」は調査書・学力検査・面接どれも重要

神奈川県の公立高校入試で代表的なものが「共通選抜」です。日程は1回のみで、2023年2月14日から 3日間かけて行われます。
※共通選抜の他に「特別選抜」「定通分割選抜」や「二次募集」もあります。

共通選抜では、中学2年・3年の評定(内申)や学校での活動内容 などが記載された「調査書」と、入試当日に受け る「学力検査」「面接」、それに一部の学校では「特色検査」の結果 が合否判定の材料になります。

3つ(または4つ)それぞれが合否判定のときに重要視される割合(配点比率) は各高校で異なりますが、調査書・学力検査・面接の結果がどれも合否に関わるのは全ての高校で同じです。
日頃の学習を大切にするのはもちろん、面接対策などもしっかり行うことが大切になります。

 

調査書(評定/内申 )対策について詳しくチェックする

学力検査対策について詳しくチェックする

面接対策について詳しくチェックする

 

②高校によっては「特色検査」がある

専門科のある高校や厚木高校・横浜翠嵐高校など一部の高校 では、入試当日に「特色検査」が行われます。
「自己表現検査」「実技検査」の2種類があり、どちらも学力検査や面接だけでは測れない能力を測ろうとするものです。
自己表現検査のなかには難易度の高いものもあるため、事前に対策を進めておくことが合格のカギになります。

 

特色検査対策について詳しくチェックする

 

③出願後に一度だけ「志願変更」できる

神奈川県の高校入試には、志願変更制度があります。出願締め切り後、2023年2月6日~8日 に一度だけ志望校を変えることができます。
p 変更先の高校・課程・学科・コース・部の出願要件 を満たしていれば、どの高校にも変更することが可能です。当初の志望校の倍率を見て、他の高校に志願変更するといったことができます。
しかし、「志願変更したら、変更前の志望校より変更後の志望校の倍率のほうがが高くなっていた……」という可能性も考えられるので、学校の先生や塾などと相談しながら、慎重 に検討しましょう。

 

④共通選抜は1回の試験で2度の合否判定チャンス がある

神奈川県高校入試の共通選抜では、合否判定が2回行われます。

1回目の合否判定「第一次選考」では、

  •  調査書
  •  学力検査
  •  面接
  •  特色検査(特色検査実施校のみ)

の結果が得点化されて、得点の高い順に定員の90%の合格者が決まります。

残りの定員10%は「第二次選考」として、

  • 学力検査
  •  面接
  •  特色検査(特色検査実施校のみ)

の結果が得点化されて決まります。第二次選考の合否判定では、調査書の得点は使われません。

 

得点化・合否が決まるしくみを詳しくチェックする

 

調査書の評定(内申)が合否に関係しない第二次選考は、「当日の頑張り次第で合格できる!」と考えてしまいがちです。
しかし、第二次選考の合格者は定員のわずか10%(例:定員320人なら32人)と非常に少ないため、第一次選考の枠で合格できるように日々の学習を進めましょう。

 

調査書(評定/内申)対策について詳しくチェックする

 

神奈川県高校入試で「調査書」はどう評価される?

冒頭では、神奈川県公立高校入試のポイントを簡単にご紹介しました。
ここからは、調査書・学力検査・面接・特色検査それぞれの傾向・対策と、合否判定のしくみを詳しく掘り下げていきます。

神奈川県の公立高校入試で、調査書は中学2年生と3年生(後期中間テストまで )の9教科の成績(評定/内申) が合否判定の得点の一部になります。
得点の計算方法とともに、評定 (内申)をアップさせるために取り組みたいことも確認しておきましょう。

 

評定 (内申)からの得点計算のしくみ

評定(内申)の得点化は、以下の方法で計算します。

① 中学2年生の9教科評定の合計(最大45点)に、中学3年生(2学期まで)の9教科評定の合計を2倍したもの(最大90点)を足す
② ①を100点満点になるように換算する

 

▼例:Aくんの成績を得点化してみよう

なお、3教科以内の評定合計値に1を超え2以下の係数をかけて、特定教科のウェイトを増やすが行われる学校・学科があります。

2022年度入試で評定の「重点化」が行われた高校の例

県立横須賀高校:

国語・数学・英語の評定を2倍にして計算

横浜国際高校(国際科):

英語の評定を2倍にして計算

横浜国際高校国際科の 英語が重点化されているなど、高校・学科の特徴が現れているので、志望校がどのような配点になっているのか事前に調べておくと良いでしょう。

 

 

調査書(評定/内申)対策:中2の評定も影響!早めに対策をはじめよう

神奈川県の公立高校入試は、中学2年生の評定も得点化されて合否判定に使われます。
中学3年生の評定が2倍になっているので、中3になってから勉強を頑張れば間に合うのではないか、と考えてしまうかもしれません。

しかし、周囲の人たちも頑張ります。中3 になってから評定を伸ばそうとしても難しいものです。
特に、英語や数学のような積み上げ教科では、分からない単元を残したまま中3を迎えても、いきなり解けるようになることはありません。
中1・中2のお子さまも、早い段階から学習習慣をつけて各教科の予習・復習を進めておくことが大切です。

もし、いま成績が伸び悩んでいるなら、学校の補習や学習塾の力を借りて早めに対策をはじめることをおすすめします。

冬休み勉強

個別指導で始めるテスト対策

地域密着型の個別指導塾だから、近隣学校の出題傾向を分析・予測して定期テストを対策。総合点アップを目指し、定期テスト前は受講していない科目もフォローします。定期テストの成績アップから高校受験対策まで対応可能です。

詳細を確認する »

 

また、各教科の評定は、主体的に学習に取り組む態度が評価に加わっています。

  • 小テストの成績
  • 授業中の話し合い
  • 発表への取り組み
  • 提出物の内容

だけが評価になるわけではなく、

 

  • 粘り強く学習に取り組む態度
  • 自らの学習を調整しようとする態度

といった、主体的に学習に取り組む態度も評価されます。

 

 

神奈川県高校入試の「学力検査」傾向と対策

神奈川県公立高校入試 共通選抜の学力検査 は、「共通選抜」の1日目 (2023年2月14日)に行われます。
国語・社会・数学・理科・英語の5教科(各50分・100点満点)で、英語にはリスニングテストもあります。
※ただし、クリエイティブスクールでは学力検査は行いません。また、特色検査を実施する学校の場合、学力検査科目が4教科・3教科の学校もあります。

ここでは、問題の傾向や対策についてご紹介していきます。

 

 

問題の傾向:思考力・判断力・表現力を測る問題で難易度が高い

神奈川県公立高校入試の学力検査問題は、過去に理科の平均点が30点台まで落ち込んだこともあり、難易度が高いと言われています。
2022年2月に行われた学力検査では、合格者だけに絞った平均点が各教科50点〜60点程度になっていることから、検査を受けた全ての生徒での平均点はさらに低いと考えられます。

出題形式は、マークシート式の問題が多いですが、一部で記述式の問題も出題されているのが特徴です。
「基礎的・基本的な知識及び技能」だけでなく「思考力・判断力・表現力」を問う問題も出題されています。

 

「思考力・判断力・表現力」を問う問題の例
  • 本文の情報を整理して、制限字数内で記述する問題
  •  与えられた資料と知識を関連付けて思考・判断する問題
  •  条件を正確に読み取り考察する問題
  •  場面にふさわしい内容を考えて文章を作る問題

問題への解答はマークシート式と記述式が併用されているため、単に答えを出すだけでなく、正しくマークする「得点力」も大切です。2022年度入試からはマークシートの方式が従来から変更されているため、最新の過対策が必要になります。

神奈川県の公式サイトで、過去の学力検査問題と解答をチェックすることができるので、ぜひ一度目を通しておくと良いでしょう。

 

過去3年分の学力検査問題(神奈川県公式サイト)

 

 

学力検査結果の得点計算のしくみ

学力検査の結果は、5教科の採点結果(最大500点)を100点満点になるように換算して、合否判定の材料とします。

▼例:Bくんの学力検査結果を得点化してみよう

なお、一部の高校・学科では、指定教科 (最大2教科以内)の得点 を最大2倍にして計算する「重点化」が行われます。

2022年度入試で学力検査 結果の「重点化」が行われた高校の例

横浜市立東高校:

英語の結果を1.5倍にして計算

神奈川総合高校(単位制普通科 個性化コース):

5教科のうち点数の高い1教科の結果を2倍にして計算

 

 

学力検査対策:思考力・判断力・表現力を問う問題への対策がカギ

学力検査問題の中には、受けた人全体の正答率が90%を超えるような 基礎知識を問う問題もあります。
単語や漢字などの暗記を通して、基礎的な問題には確実に答えられるようにしておきましょう。

学習指導要領が新しくなったことで、「思考力・判断力・表現力を問う問題」は今後ますます出題されることが考えられます。過去問や模擬試験・予想問題を使った学習以外にも、日常生活を通して身につけることを意識してみてはいかがでしょうか。

「なぜこのような実験結果になるのだろう?」「なぜこのような事件が起きたのだろう? 」と問いを立て、自分で調べたり考えたりしていく習慣をつければ、思考力や判断力を養う ことができます。
調べたり考えたりしたことを、文章にまとめたり 、発表したりすることで、表現力を磨くことにもつながります。

このような日頃のトレーニングは、独学で進めようとしても難しいものです。学校や塾の先生、保護者の方などと対話しながら身につけていく と良いでしょう。

 

関連記事
中学生が思考力をつける方法!

 

 

神奈川県高校入試の「面接」質問事項と対策は?

神奈川県公立高校入試の面接は、学力検査の後の入試1日目(2023年2月14日)〜3日目(2023年2月16日)に行われます(いつ行われるかは高校によって異なります)。

「何を聞かれるのだろう?」「どんな風に評価されるのだろう?」と心配してしまうかもしれませんが、難しく考えることはありません。
あらかじめ公開されている情報もあるので、この先を読み進めながら面接の様子をイメージしてみてくださいね。

 

2024年度入試からは一律の面接が廃止されます
2022年度の中学2年生以下が受ける2024年度以降の神奈川県公立高校入試では、これまで一律で行われてきた面接が廃止されることが決まりました。
2024年度入試以降も面接を行う学校は、特色検査として行われることになります。

 

面接の目的は?

神奈川県公立高校入試の面接の目的は次の4つです。

① 主体的に学習に取り組む態度の把握
② 中学校における校内外の教科、活動に対する意欲の把握
③ 志望理由の把握
④ 入学後の意欲の把握

志望校選びのときに考えていた「何に興味があってその高校を志願するのか」「その高校でどのようなことを学びたいのか」という内容を面接で伝えられれば大丈夫です。

 

面接の流れ・質問されること

神奈川県公立高校入試の面接は、次のような流れで進んでいきます。

①出願時:「面接シート」を志望校に提出する

願書などの出願書類 とともに、「面接シート」を記入して出願時に提出します。
面接シートには、高校への志願理由や、中学校での活動を通して意欲的に取り組んだこと、自己PRを記入する欄があります。
面接シートは面接当日の参考資料となるだけで、シートに記入した内容 自体が合否に直接関わることはありません。

 

②入試当日:個人面接が行われる

共通選抜の入試当日に、個人面接が行われます。面接は10分程度で、受検生1人に対して面接官が2名以上つきます。
面接で質問・評価される項目には、「すべての高校で共通の質問項目」と「高校によって異なる質問項目」があり、面接シートの項目と似ている質問も多くあります。

共通の項目
  • 入学希望の理由(志望動機)
  •  中学校での教科等に対する学習意欲(意欲的に取り組んだこと)
  •  中学校での教科等以外 の活動で意欲的に取り組んだこと

 

高校によって異なる項目(一例)
  •  高校での授業や部活動、生徒会活動等に対して取り組む強い意欲があるか
  •  学校・学科の特色を理解しているか
  •  将来の展望
  •  面接態度

高校ごとの質問項目は、例年7月に神奈川県教育委員会から発表される「神奈川県公立高等学校入学者選抜 募集案内」に「面接の評価の観点」という形で記載されています。志望校の質問項目がどうなっているか確認しておきましょう。

 

面接結果の得点計算のしくみ

面接の結果は、面接官が各高校の「面接の評価の観点」に沿って点数付けをします。
観点ごとにどのくらいの得点配分になっているかは非公開となっていますが、すべての観点の得点を合計して100点満点になるように評価されます。

 

面接対策:評価の観点から想定質問を考えよう

2022年度の 中学3年生の方は、「面接の評価の観点」から当日質問される内容を予想して、その質問にしっかり答えられるよう準備しておきましょう。

「面接の評価の観点」から想定できる質問(例)
●「将来の展望」が評価される場合
 将来の夢はなんですか?将来どんな人物になりたいですか? など
●「学校・学科の特色理解」が評価される場合
 本校の学科の特徴は理解していますか?なぜ他の高校ではなく本校を志願するのですか? など

また、面接時の立ち居振る舞いや話し方なども対策しておきたいポイントです。
ロールプレイングしながら練習できると良いので、ご家族の方に協力してもらったり、中学校や学習塾などで面接練習を受けたりすると良いでしょう 。

 

本番を想定した面接練習で準備バッチリ。
神奈川県の公立高校受験対策は「東京個別」で!

 

 

神奈川県高校入試の「特色検査」とは?

神奈川県公立高校の共通選抜では、「特色検査」が行われる学校があります。
特色検査とは、学力検査や面接だけでは測れない生徒の能力をみようとする試験で、大きく「自己表現検査」と「実技検査」の2種類に分けられます。

自己表現検査

筆記試験

共通問題・共通選択問題

学校独自問題

ライティング(日本語・英語)

スピーチ、グループディスカッション

実技検査

音楽、美術、スポーツなど

特色検査を実施するかどうか、どちらの特色検査が行われるか、は学校や年度によって異なるため、例年7月に神奈川県教育委員会から発表される「神奈川県公立高等学校入学者選抜 募集案内」をよく確かめておきましょう。

なお、特色検査の結果は100点満点に換算されて、学力検査や面接などの得点とともに合否判定の材料になります。

 

特色検査「自己表現検査」の特徴と対策

自己表現検査は、難関校やクリエイティブスクールなどで行われる特色検査です。
自己表現検査の中にもいくつかのパターンがあり、「筆記試験」「ライティング」「スピーチ・グループディスカッション」の3つに分けられます。

 

筆記試験(共通問題・共通選択問題など)

学力向上進学重点校(エントリー校含む)では、「共通問題」2題と、7題の中から各高校が選択する「共通選択問題」2題が出題されます。また、横浜市立サイエンスフロンティア高校では、高校の独自問題が使われています(2022年度実績)。

 

自己表現検査:共通選択問題の学校別選択状況(2022年度入試)

 

問3

問4

問5

問6

問7

横浜翠嵐高校(普通科)

 

 

 

川和高校(普通科)

 

 

 

希望ケ丘高校(普通科)

 

 

 

横浜平沼高校(普通科)

 

 

 

光陵高校(普通科)

 

 

 

柏陽高校(普通科)

 

 

 

横浜国際高校(単位制国際科)

 

 

 

横浜緑ケ丘高校(普通科)

 

 

 

多摩高校(普通科)

 

 

 

横須賀高校(普通科)

 

 

 

鎌倉高校(普通科)

 

 

 

湘南高校(普通科)

 

 

 

茅ケ崎北陵高校(普通科)

 

 

 

平塚江南高校(普通科)

 

 

 

小田原高校(単位制普通科)

 

 

 

厚木高校(普通科)

 

 

 

大和高校(普通科)

 

 

 

相模原高校(普通科)

 

 

 

問題は、 資料や文章を読み取りながら、国語・数学……などの教科の枠を超えた問題解決能力を測る問題構成になっています。学力検査で問われていた「思考力・判断力・表現力」だけでなく、情報を整理して活用する力や創造力・想像力が自己表現検査でも求められていることが分かります。

※共通問題・共通選択問題の出題内容は「カナロコ(神奈川新聞) 」にも掲載されているので、参考にしてみてください。

問題内の資料が英語で書かれていたり、解く過程で計算が必要な問題もあったりするため、英語や国語の読解力を身につけながら、5教科をまんべんなく学習することが大切です。
そのうえで、過去問や予想問題集などを使いながら実践練習を進めていくと良いでしょう。

 

ライティング(日本語・英語)

横浜国際高校(単位制国際科 国際バカロレアコース)などでは、自己表現検査として、 特色検査(自己表現検査)の共通問題と英語や日本語で のライティング(論述)問題が出題されます。当日発表されたテーマに対する意見を日本語や英語で記載する問題ものです。
特に、横浜国際高校の問題は英文ライティングの語数が150~200語(2022年度入試)と多いため、専門の対策が必要です。英文を読む力だけでなく、自分の考えを英語で表現する力も養っておきましょう。

 

スピーチ・グループディスカッション

特色検査の「自己表現検査」では、指定されたテーマに対して、スピーチやグループディスカッションを行う高校もあります。

自己表現検査:スピーチやグループディスカッションを採用している高校一覧

スピーチのみ実施

釜利谷高校(普通科)

大井高校(普通科)

スピーチ+質問に答える

 

グループディスカッションのみ実施

横須賀南高校(普通科)

神奈川総合高校(単位制舞台芸術科)

スピーチ・グループディスカッションどちらも実施

田奈高校(普通科)

※神奈川県教育委員会2021年6月公表資料 を元に東京個別指導学院作成

 

スピーチやグループディスカッションでは、自分の考えを早くまとめ、それを相手に分かりやすく伝えることが大切です。
1つのテーマに対して、時間制限を設けて考えをまとめたり、聞き手がいる状態で時間を計りながらスピーチの練習をしたりするなど、実際の状況に近い形で慣れておくことをおすすめします。

高校ごとにテーマが出願時に示されるのか、検査当日に示されるのかが異なり、当日 の流れ・進め方が変わってくるため、志望校に合わせた対策が必要です。1人で対策することは難しいため、学校や塾の先生などに協力してもらうと良いでしょう。

 

 

特色検査「実技検査」の特徴

美術科や音楽科、スポーツ科など、専門的な学科の特色検査では、それぞれの学科の特色に合わせた実技検査が行われます。

特色検査「実技検査」の一例
  • 題材を鉛筆でデッサンする
  • 課題曲を演奏する
  • サッカーやバスケットボールなどの競技を行う

それぞれの高校の実技検査内容は、「神奈川県公立高等学校入学者選抜 募集案内」に載っていますのでよく確かめておきましょう。

 

 

選考は2回!神奈川県高校入試「共通選抜」合否が決まるしくみ

 

ここまで、神奈川県公立高校入試の「共通選抜」で合否判定の材料となる「調査書 」「学力検査 」「面接 」そして「特色検査 」について、傾向や対策を解説してきました。
最後に、共通選抜で合否が決まるしくみを分かりやすくご紹介します。ポイントは、「第一次選考」と「第二次選考」の2段階で合否判定が行われることです。

※横浜国際高校の選考基準は、これからご紹介するものとは異なります。横浜国際高校の公式サイト をご確認ください。
※クリエイティブスクール・フロンティアスクールは選考基準が詳しく公表されていないため、この記事では説明を省略します。

 

高校によって異なる「配点比率」

合否判定のしくみを理解するには、「比率」について知るところから始めましょう。

比率とは、合否判定のときに、その高校が「調査書」「学力検査」「面接」「特色検査」それぞれの得点をどの程度重視するかを表した数値です。
数値が大きければ、その得点をより重視して合否判定する、という意味になります。
比率は、第一次選考と第二次選考とで異なる数字になります。

 

2022年度入試 第一次選考 の比率の例

調査書
(評定)

学力検査

面接

特色検査
(実施校のみ)

この比率で合否判定する高校(一例)

それぞれ2以上(合計10)

1~5

4

4

2

なし

鶴見、港北、元石川、松陽、生田、追浜 など

3

5

2

1

湘南、光陵、県立横須賀 など

2

6

2

2

横浜翠嵐

※神奈川県教育委員会2021年6月公表資料を元に東京個別指導学院作成

 

第一次選考では、調査書:学力検査:面接の比率が4:4:2となっている高校が大半で、特に中堅レベルの高校に多い傾向です。 難関校では学力検査の比率が高い傾向です。
また、面接はほとんどの高校が比率2となっています。

中堅校は調査書の比率が高いですし、難関校は高倍率となりやすく、1点を争う入試となるので、いずれにせよ 当日の学力検査だけでなく調査書(評定)にも力を入れることが大切になります。
調査書は中学2年生の評定も合否判定の対象になるので、「自分はまだ中2だから……」と思わずに、日頃の学習を進めていくと良いでしょう。

 

第二次選考の比率の例

学力検査

面接

特色検査
(実施校のみ)

この比率で合否判定する高校(一例)

それぞれ2以上(合計10)

1~5

8

2

2

横浜翠嵐、横浜平沼、柏陽 など

8

2

1

光陵、県立横須賀、鎌倉 など

8

2

なし

城郷、港北、霧が丘、松陽 など

7

3

なし

鶴見、白山、旭、保土ケ谷 など

※神奈川県教育委員会2021年6月公表資料を元に東京個別指導学院作成

 

各高校の比率は、例年7月に発行される「神奈川県公立高等学校入学者選抜 募集案内 」に掲載されています。比率が変わる可能性もありますので、志望校の最新の比率がどうなっているかチェックしてみましょう。
比率が違うので、1人ひとりの状況や個性により、有利な高校や不利な高校が出てくるので、出願戦略が重要になってきます。

 

合格者の9割が決まる「第一次選考」

共通選抜で行われる合否判定の1回目が「第一次選考」です。
下の式を使って「調査書」「学力検査」「面接」と「特色検査」(実施校のみ)の合計得点を計算し、合計得点の高い順に定員の90%までの合格者が決まります。

この中で、「換算後の面接点(ほとんどの高校で比率2)」は、どのように点数付けされるかの基準が公開されていないため、面接以外の部分を使って志望校の合格ラインをシミュレーションしてみましょう。

 

▼例:X高校(特色選抜なし) の第一次選考の合計得点を計算してみよう
X高校の第一次選考の比率は 調査書4:学力検査4:面接2(特色検査は行われない)
自分の平均評定(内申):合計106(内訳:2年生34、3年生36を2倍して72)
自分のの学力検査得点:5教科合計330点

 

入試当日の結果だけで合否判定「第二次選考」

第一次選考で定員の90%の合格者が決まった後、残り10%の合格者は「第二次選考」で決まります。
調査書の得点を合否判定に使わずに、試験当日に受け た「学力検査」「面接」「特色検査」(実施校のみ)の合計得点を次の式で計算して、得点の高い順に合格が決まります。
また、計算に使う「比率」は、第一次選考とは別の比率になっています。

 

▼例:Y高校 (特色検査なし)の第二次選考の合計得点を計算してみよう
Y高校の第二次選考の比率は 学力検査8:面接2(特色検査は行われない)
自分の学力検査得点:5教科合計330点

入試当日の結果だけで合否判定されるため、調査書の評定(内申)に不安のある方でも合格できるチャンスがあります。
ただし、合格者の枠は定員のわずか10%のみ(例:定員320名なら32名)と非常に少ないため、第二次選考での合格には期待しすぎないほうが良いでしょう。
第一次選考で確実に合格をつかみ取れるように、学力検査や特色検査、面接対策にさらに力を入れましょう。

 

 

定期テスト対策から始めよう!神奈川県の高校入試対策

この記事では、神奈川県の公立高校入試のしくみを詳しく解説しました。

中学2年生の評定から合否判定の対象になることはもちろん、高度な思考力・判断力・表現力が問われる「学力検査」「特色検査」の対策としても、日頃の予習・復習や定期テスト対策は欠かせません。 それが評定アップにもつながります。
また、面接や特色検査の内容は高校ごとに異なるので、志望校に合わせた面接や特色検査の対策も必要になります。

「現状からこの高校を目指すことはできる?」
「今からどうやって受験対策を進めれば良いのだろう?」

そんな疑問を持ったときには、1人ひとりに合わせた志望校の基準や 選抜方法、高校受験対策を相談できる、個別指導塾を頼ってみてはいかがでしょうか。
神奈川県内に 50 以上の教室がある個別指導塾・東京個別指導学院は、神奈川県の高校入試情報に詳しく、高校受験に関する無料の学習相談も行っています 。
詳しくは、以下から公式ホームページをチェックしてみてください。

 

個別指導の高校受験対策

志望校合格への一番の近道を示す学習プランを個別に作成。内申点対策、本番直前の面接対策、志望理由書や小論文の書き方まで、万全の準備を整えます。受験期の悩みや不安に寄り添い、メンタル面も徹底サポート!

詳細を確認する »