大学入試に英検®受験は必要なの? 

現在、多くの大学には「英語外部検定利用試験(外検入試)」と呼ばれる入試制度があります。
外検入試とは、英検®(実用英語技能検定)やTOEIC®、TOEFL iBT®、GTECなどの英語資格検定の級・スコアを利用した入試方法です。

外検入試で、どの資格がどのように利用されるのかは大学によってさまざまですが、大きく分けると
3つのケースがあります。

資格を持っていることが出願条件になっている
→資格を持っていなければ、出願すらできません。
② 資格の級・スコアが、大学入学共通テストや個別試験の点数に換算(または加算)される
→入試当日と外検による見なし得点(換算点)の高い方を合格判定に利用する大学が多いので、英語の最低点がわかっている状態で受験できます。
③指定の級・スコアを持っていることで、出願書類の評価や合否判定で優遇される

このように、英語検定資格を取得していることで、入試の英語試験が免除されたり、英語以外の科目に集中して受験勉強できるようになったり……と、受験対策の負担を減らすことができるのです。

外検入試に活用できる英語資格検定のなかでは、英検®は採用率97%と最も高くなっています(※1)。
もちろん、英検®を外検入試に採用していない大学もありますし、外検入試を利用していない大学もあります。
また、他に得意な検定試験があるなら、英検®を受ける必要はありません。
しかし、もしまだ志望校を絞りきれていない状態で、どの資格試験を受けようか迷っているならば、ほとんどの大学で採用されている英検®を受けておくのがおすすめです。

 

英検®何級の取得やスコアを目指すべき?

現在、英検®には「5級」から「1級」までの級の合格と、英検®の「CSEスコア」があります。

大学・学部・入試方式によって、

  •  級の合格が必要な大学
  •  スコアが基準以上である必要がある大学
  •  スコアが基準以上で、その中でも各技能の基準スコアが決められている大学

があります。
自分の興味・関心のある大学がどのような基準を設けているか、まずは入試要項を見て調べてみましょう。

英検®を大学入試に活用するためには、何級の取得やスコアを目指せば良いのでしょうか?

多くの大学では、準2級から準1級を条件としていますので、まずは準2級以上の取得を目指したいところです。
また、難関大学(例:GMARCH以上)を志望校にするなら準1級以上の取得が望ましいでしょう。

志望校が決まっている方は、早いうちから大学ごとにどのような外検入試の仕組みを取り入れているのかを調べておくことが大切です。
まだ志望校が決まっていない場合でも、高校1年生から準2級や2級の取得を目指して英検対策に取り組めば、英検®を活用できる志望大学の幅が広がるでしょう。

 

英検®取得に向けて学習スケジュールを立てよう!

大学受験を意識した英検®の学習は、いつ頃から始めるのが良いのでしょうか?
高校3年生になってからでも間に合うのではないか、と思うかもしれませんが、実はそれでは遅すぎるのです。

従来型の英検®は年に3回受験チャンスがあり、学年や級に関係なく何度でも受けられます。
また、外検入試は大学が定めた受験期間で、資格試験の級・スコアが最も高い級の合格・スコアを利用できます。
ですから、合格級やスコアがより高いほど入試を有利に進められるので、できるだけ早く、可能なら高校1年生の頃からコツコツ学習を始めるのがおすすめです。

大学入試でいちばん早く始まる入試(総合型選抜)が高3の9月ごろから出願開始になるため、遅くとも高3の夏までには必要な級を取得できるように、学習スケジュールを逆算して組むとよいでしょう。

高校1・2年生が、英検®を「いつごろまでに」「どの級・スコアを」取得できれば良いか、志望校のレベルごとにまとめたのが下の図です。
合格に必要な学習時間は現在の英語力などによって個人差がありますが、難易度がグッと上がる英検®準2級以上では、イチから対策すると最低でも2ヶ月程度かかるのが一般的です。受ける月から逆算すれば、いつごろから対策を始めれば良いかが分かりますね。

図を見て、「思ったより早く英検®を受け始める必要があるのだな」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

でも早めに受け始めた方が、多くのメリットがあります。

例えば、早いうちから複数回検定を受けておけば、検定の問題や会場の雰囲気に慣れておくことができます。
また、毎回の検定スコアを参考にして、次に受検するまでに何をどれだけ強化すれば良いのかが分かるようになります。
さらに、複数回の結果の中でいちばん良いスコアを外検入試に使える、というメリットもあります。
ぜひ、できるだけ早い段階から英検®対策を始めるようにしてみてくださいね。

なお、外検入試を採用している大学の多くは、出願時から過去2年以内に取得した資格のみ有効としているため、取得する時期には注意が必要です。
この有効とする期間は、大学によって異なります。
例えば、中3で取得した資格は大学入試で活用できない場合があるので注意しましょう。

 

合格が見えてくる!英検®の対策方法

大学受験のために英検®を受ける必要性が分かったところで、いよいよ具体的な勉強法をご紹介していきます。

英検®の合格は、語彙(ごい)力が全ての基礎となり、その上に「リーディング」「リスニング」「ライティング」「スピーキング」の4技能の力が必要です。
それぞれの分野ごとに、勉強方法のコツや対策方法をみていきましょう。

 

【語彙力】語彙数と背景知識を高めよう

まずは語彙数と背景知識を高めましょう。語彙力は英語学習の基礎であり、英検®合格を目指すための土台となる大切な力です。
英検®のリーディングでは文法を問う問題は非常に少なく、語彙力があればなんと9割以上の問題が解けてしまいます。

語彙力を磨くコツは、ただ語彙を覚えるだけでなく「語彙が使われる文脈」や「その語彙がよく使われるテーマ・話題の知識」を合わせて学習することです。
語彙に関する背景知識をいっしょに学習すると英文が理解しやすく、また語彙が記憶に定着しやすくなります。

「pollution」(汚染)

→「air pollution」(大気汚染)というひとつのフレーズで覚える。

→大気汚染に関連する語彙として「carbon dioxide」(二酸化炭素)や「hydrogen」(水素)、「fuel cell」(燃料電池)などもまとめて覚えておく。

 

【リーディング対策】語彙力・構文を取る力が重要!

リーディング対策では、語彙力のほかに「構文を取る力」が重要です。
英検®のリーディングでは空所補充の4択問題(短文・長文)と、長文の内容に一致するものを4択から選ぶ問題が出題されます。
語彙力が必要なのはいうまでもありませんが、それ以外にも「構文力」が求められます。

構文力とは、英文の修飾部分をカッコでくくったり、主語(S)・動詞(V)・目的語(O)・補語(C)をふったりすることができる力のこと。構文力をつけることで文の構造を明確に理解できるようになり、構造が複雑な文章も訳せるようになります。

 

リーディング問題の勉強法

それでは、をお伝えします。

①まずは目標時間を決め、受検する級の英検®対策問題集を自分で解いてみましょう。
②答え合わせの時には、解答の解説は正解した問題も含め目を通し、解説を読んでも分からなかった問題はきちんと先生に質問し解決します。
③語彙をチェックする際は品詞、意味、関連語や対義語、反対語を調べると語彙力が広がります。
④構文を確認したら、⑤もう一度全ての問題を解き直します。この際、目標時間を設定し、正答数が上がっているかチェックしましょう。

リーディングだけに限ったことではありませんが、復習は1日以内に行うと記憶に定着しやすくなります。その後は、1週間、1ヶ月と期間を延ばしながら複数回復習するのが理想的です。

 

【リスニング対策】誤答分析で対策を万全に!

リスニング対策では誤答分析を意識しながら対策を行っていきます。
英検®のリスニング問題は第1部・第2部とふたつに分かれており、どちらも対話や英文を聞き、その質問に対して適切な選択肢を選びます。

リスニング問題を解答するコツは「4つの力」を押さえることです。

  •  リスニング力:読まれた英語を聞き取る
  •  設問判断力:設問分や選択肢を見て、どのような語彙・表現に注意して聞き取れば答えを瞬時に導き出せるかを瞬時に判断する
  •  語彙力:文脈に応じて、語彙を適切な意味で和訳できる力
  •  構文力:英文のSVOCをふって、構文を取ることができる力

そして、4つの力のうちどこを強化していくか、実際に演習問題を解きながら「誤答分析」を行って見極めていきましょう。

 

リスニング問題の勉強法

それでは、リスニング問題の具体的な勉強法をお伝えします。

リーディング問題の勉強と同じように、①問題集を使って演習し、②正解した問題も含めて解説を一通り読みます。答え合わせをしたら、間違えた問題がどうして解けなかったのか③誤答分析を行います。

読まれた英語を聞き取れないなら「リスニング力」が課題。
何が問われている問題か瞬時に把握できないなら「設問判断力」が課題です。
スクリプトを読んでも問題に答えられなければ「語彙力」「構文力」が課題となります。
分析をもとに自分の弱点を埋める勉強を行うと、効果的なレベルアップにつながりますよ。

誤答分析が済んだら、⑥もう一度問題を解き直して、知識を定着させることを忘れないようにしましょう。解き直しをすることで力がつきます。

 

【ライティング対策】翻訳ツールも活用して英作文の訓練を!

ライティング対策では、ツールも活用して英作文の問題に強くなりましょう。

英検®のライティング問題は1問で、与えられたテーマに対して、自分の意見とその意見を補強する2つの理由を制限語数の英文で記述します。制限語数は級によって異なり、例えば準2級で50~60語程度、2級では80~100語程度です。

ライティング対策のコツは、内容・構成・語彙・文法の4つの観点から評価されることを前提に練習していくことです。

 

ライティング問題の勉強法

リーディングやリスニングなどと同じように、問題集を用いて演習をします。
自分の答案を書き上げたら、解答例を確認するのと同時に、Microsoft Wordのスペルチェック機能や、無料でも使える翻訳ツール「DeepL」を活用するとよいでしょう。英文の文法的な誤りやスペルミスがないかを確認するのに役立ちます。

また、「I think ~」や「I don’t think ~」など定型文を覚えたり、語彙力をアップしたりすること、そして、まずは日本語でもいいので自分の意見や理由を述べられるようにすると、スムーズに答案を作りやすくなります。
初めのうちは完璧を求めようとせず、指定語数で英文を書けるよう練習をしましょう。

 

【スピーキング対策】英作文構成力に加えて発話力が重要!

英検®のスピーキングでは、与えられた英文を音読し、音読した英文に対しての質問に答える問題のほか、イラストの状況や展開を説明する問題、そしてテーマについて自分の意見を述べる問題が出題されます。

スピーキング対策では、ライティング問題で大切な「英作文構成力」に加えて「発話力」が重要となります。

 

スピーキング問題の勉強法

問題からかけ離れた解答になってしまっていないか、内容や文章構成を見直し、語彙・文法の正確さやバリエーションなどを学習するとともに、実際に話すトレーニングを行いましょう。

ライティング対策と同様にスピーキングの場合でも、文法的な誤りがないかどうかは、自己採点をした後、WordのスペルチェックやDeepLを使うのがおすすめです。
話すトレーニングには、話そうと考えた文章をGoogle翻訳(アプリやPCブラウザ版)に吹き込んで正しく認識されるかチェックしてみましょう。
Text to Speechのアプリにスピーキングのスクリプトを入力して読み上げさせ、発音をチェックしながらシャドーイング(アプリの読み上げに合わせて自分も発音)するのも効果的です。

 

大学受験のことも考えながら、英検®対策をはじめよう!

この記事では、大学受験を見据えた英検®の必要性と対策方法をお伝えしました。

英検®などの英語資格検定を活かせる英語外部検定利用入試(外検入試)は、得点が換算・加算されたり、入試当日の試験が免除になったりするので、うまく活用すれば英語以外の受験対策に時間が割けるメリットがあります。

とはいっても、自分1人で全ての大学の外検入試の利用方法を把握して、外検入試を使うかどうか判断していくのは、勉強に忙しい受験生にとっては大変なのではないでしょうか。

1人ひとり、志望校や英語の学習状況は違います。現状が違えば、英語検定利用入試をどう利用するかも、対策の進め方やスケジュールも変わってきます。
「志望校の受験を有利に進めるためにはTEAPではなく英検®を活用したほうが良い」など、1人ひとりに合わせた受験戦略を立てられるのが個別指導の強みです。

自分自身に合った受験戦略で合格を目指すためにも、個別指導塾の東京個別指導学院・関西個別指導学院にぜひ一度ご相談ください。
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