「センター試験廃止」は、教育業界にとって大きな注目を集めた話題のひとつです。今後大学入試制度がどのように変わっていくのか。しっかり把握して、事前に対策を行っておきたいものです。
(※本記事は、2015年時点の情報です)
目次
変わりゆく大学受験制度
保護者
センター試験が廃止されるって知ってました?
保護者
えっ、そうなの?息子を大学に入れてからは、そのあたりの話題にうとくなっちゃって。
保護者
2020年から段階的に次の入試制度に移行していくみたいなんですけど、うちの子今中学生だから、まさにその影響を受ける世代なのよ。
保護者
あらら、大変ねぇ
教室長
たった1度のテストではなく、高校2年生から複数回にわたって受検できる「高等学校基礎学力テスト(仮)」と、高校生以外の大学入学希望者も含めた「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」の2種類が新たに行われるようになります。(2015年11月時点)
保護者
そうそう、そんなことをニュースで見ました。具体的に今とどんなところが変わっていくんでしょうか?
教室長
大きな方向性の変化としては、これまで「知識・技能」を問われる問題がメインでしたが、それに加えて「思考力・判断力・表現力」を問われるかたちへと変化していきます。先ほど申し上げた「高等学校基礎学力テスト(仮)」は、これまでのように「知識・技能」を重視した問題のようですが、「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」については、さらに「思考力・判断力・表現力」などの能力が測れる問題が入ってきますね。
保護者
へー、そんなふうに変わるのね。
保護者
「思考力・判断力・表現力」が問われるとなると、これまでと同じように勉強していたんじゃダメっていうことなんですか?
教室長
そうですね、覚えた知識を問われるような問題から、自分の考えを問われるような問題へと変化していくことが予想されますから、ただ知識を詰め込むだけの勉強法は通用しなくなるでしょうね。
保護者
「●●についてあなたの考えを述べなさい」というような問題ですね。
教室長
はい、そうです。さらに「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」では、教科別に分かれた問題だけでなく、各教科を横断するような問題が出されるようになります。
保護者
えぇっ、それって例えば英語で書かれた歴史の問題がでる、っていうことですか?
教室長
まさしく。ただ英語を覚えればよいのではなく、読めて、理解できて、自分の考えを英語で書くことができる、といった力が必要になるのです。
英語は四技能が重視されるように
保護者
英語の試験は、だいぶ内容が変わるんだって聞きました。
教室長
えぇ、現状の「読む」「書く」だけでなく、「聞く」「話す」といういわゆる四技能が重視されるようになります。
保護者
リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングっていうことね。でもどうやって試験を行うのかしら。
教室長
民間の資格・検定試験を活用する方向になるみたいですね。従来の英検もそうですが、ベネッセグループのGTEC CBT(ジーテック シービーティー)、上智大学と英検が開発したTEAP(ティープ)、TOEFL(トフル)ですとか。出願資格にそういった民間の資格・検定試験で一定以上のスコアを出さなければいけない、としている大学も出てきていますね。
保護者
えっ、2020年からじゃないんですか?
教室長
いえ、一部の大学ではもう始まっているようです。ちなみに大学だけでなく、一部の高校でも、高校入試で四技能を問う問題に変わってきているようですよ。
保護者
本格的に英語を身につけなければいけない時代になってきているんですね。当然、テストの方法じゃなくて、勉強の仕方も変えないといけないわね。
教室長
えぇ、小学校から英語の授業が始まりましたし、中学校によっては英語でのディベートを授業に取り入れているところも出てきたりしていて、これまで以上に「どう四技能を身につけるか」が重要になってきますね。
全員で同じテストを行うやり方から、それぞれが異なる問題を異なる時期に行うやり方へ
教室長
試験のやり方における変化としては、CBT方式の導入が大きいですね。
保護者
CBT方式ってなんですか?
教室長
Computer Based Testing(コンピューター・ベイスト・テスティング)の略で、コンピュータ上で行う試験のことを指します。
保護者
あぁ!英検や漢検で一部始まっているっていうあれね!
教室長
そうです、そうです。コンピュータであれば動画を使ったテストもできますし、音読させてスピーキング力を評価することもできますから、今回の変更においてはCBT方式の導入はある種の必然だと言えるかもしれません。
保護者
でも、試験会場でみんなが音読したら大変なことになりませんか?
教室長
そうですね。ですので、CBT方式が採用されると、受験者全員が同じ会場で同じ問題を解く、というようなことはなくなります。受験者それぞれが異なる時期に、異なる問題を解く形式に変化していくことになるのです。
保護者
一部の学校ではタブレットを使って授業しているっていうけど、テスト形式がコンピュータ化していくのであれば、そういった対応も必要になるわけね。
保護者
私たちの時代とは大きく変わることになるんですね。ちゃんと情報を集めて、正しい対策を打っておかないと。
2020年に大きく変わることになるセンター試験制度。しかし、それに向けた変化はすでに起こり始めています。時代の変化に合わせて、勉強のやり方も変えていかなければいけませんね。(本コンテンツは文部科学省中央教育審議会の「高大接続改革実行プラン」をはじめ各種資料を参照し、2015年11月時点の情報に基づいて制作しました。)