英語は、文系理系を問わず、多くの大学・学部において主要な入試科目。センター試験や個別試験で必須とされることが多く、配点も高い教科です。また、2020年度大学入試改革に伴い、英語の「民間資格・外部検定」を既に入試に活用している大学も増加しています。今後、大学入試の英語はどう変わっていくのでしょうか?
目次
英語民間試験活用のための「大学入試英語成績提供システム」の導入について、2019年11月1日、文部科学省より延期の発表がありました。
本記事については記事掲載時点の情報である旨をご留意いただけますようお願い申し上げます。
英語は単語、文法だけでなく、読解力・記述力も必要になる
保護者
日本の英語教育が大きく変わろうとしていますね。大学入試までにどれくらいの英語力をつけておけばいいのか、不安になります。
大学入試では、どのような出題傾向があるんでしょうか?
教室長
近年の大学入試において、英語の出題傾向としてはこのような傾向があります。
◆難関大学は長文中心
難関大学の読解問題は1題600語、総語数2000語超の長文が中心です。
◆読解力・表現力を問われる問題が増加
単純な部分和訳問題は減り、全体の要旨や前後の内容をとらえて説明する問題が増加傾向。難関大学では、読んだ英文の内容について意見を書く出題も増えています。
◆国公立大学では自由英作文が増加
国公立大学では、指定されたテーマについて自分の意見を述べる、自由英作文の出題が増えています。
保護者
今までの英語の対策では、とても手に負えない感じがしますね。
教室長
今までどおり、単語量・語彙力を強化すること、文法を身につけることは大前提です。ただし、そこに加えて、制限時間内に長文を読むための速読力・読解力、文章を構成して書く記述力・表現力なども必要になってきていますね。
「民間資格・外部検定」をすでに活用している大学も
保護者
2020年の大学入試改革では、今までの「聞く・読む」に「話す・書く」も加えた英語4技能が評価されるように変わるのですよね。
教室長
そうです。これまでのセンター試験は廃止され、かわりに2021年1月から実施される「大学入学共通テスト」では、英語4技能をバランスよく身につけていることが求められます。4技能の力を測るための民間資格・検定試験の受験も必要になってきます。
保護者
まだ、どのような資格や試験が、どのように活用されるのかが、よく理解できていないのですが…。
教室長
民間資格・検定試験は、英検やGTEC、TOEICなど8種類が認定されています。大学受験する年度の4月~12月までの間に受けた資格・検定試験のうち、2回の得点が出願大学に送られるという仕組みです。
保護者
どのように活用するかは、大学によって異なるのですか?
教室長
もう既に、民間資格・検定試験を一般入試や推薦・AO入試に活用している大学が増えています。
例えば「GTEC CBT」であれば、2017年度入試では139大学、2018年度以降の入試では243大学が、書類審査や試験の代替、出願基準、加点、みなし得点化などに活用しているんですよ。
保護者
自分が行きたい大学や学部で、どのレベルの英語力が必要なのか、調べておかないといけなくなりますね。
教室長
そのとおりです。民間資格・検定試験の活用方法は大学・学部によって異なるので、あらかじめ、志望大・志望学部が、英語4技能をどのレベルまで求めているのか、出願基準等で外部検定試験のスコアを活用するのか、どの資格をとっておけば有利になるのか…など、情報収集がますます重要になってきますね。
保護者
かなり高い英語力が求められるのでしょうか?
教室長
得点や試験の形式は、民間資格・検定試験によって異なるので、CFER(セファール)という国標準規格によって一定基準化してから、入試に活用されます。一般的に求められるレベルは「高校卒業時にCEFRのA2〜B1レベル以上をめざすこと」とされています。
レベルA2は身近な範囲での日常会話ができる程度、レベルB1は旅行時、起こりうる大半の情報に対応できる程度で、英検でいうと、A2は準2級、B1は2級に該当すると言われています。
保護者
なるほど…早いうちからの情報収集や対策が必要ですね。
受検英語が苦手な人は、まず単語力を強化しよう
保護者
英語がこの先、ますます重要になることはわかったのですが、英語が苦手な子にとっては、なかなか苦しい状況ですよね。
教室長
大学入試だけでなく、グローバル化が急速に進むこれからの時代、「英語が使える」「英語でコミュニケーションできる」ということはとても重要になってきます。英語に苦手意識がある人は、苦手だからといって放置せず、基礎力をつけるところから対策を始めるとよいと思います。
保護者
苦手教科だと、どこから手をつけていいかわからなくなるんですよね…。
教室長
英語が苦手な人の特徴として、まずあげられるのが、英単語や慣用句の知識が不足していることです。単語力なしに英語の力は伸びません。
保護者
でもつい、単語より、過去問をたくさん解いて実戦力を積んだほうが早い感じがしてしまうんですよね。
教室長
でも、単語を知らなければ長文読解もリスニングも理解できませんよね。これから重視される「聞く・読む・話す・書く」の4技能を身につけるにも、そもそも単語を知らければ力は伸ばせません。「知らない単語が多くて問題の意味がつかめない」という自覚がある人は、単語量を増やすことが大切です。単語量を増やすだけで、英語の理解度がぐっとアップしますよ。
保護者
具体的に、単語量を増やすためのオススメの対策法ってありますか?
教室長
なるべく高校2年生頃まで、遅くても高校3年生の夏休み頃までをめどに、大学入試用の英単語帳を1冊終えておくといいでしょう。自分のレベルに合って使いやすいものを探してみてください。単語を「1日15分ずつ」「1日5個ずつ」など目標を決めて暗記し、加えて長文問題などでわからなかった単語や言い回しがあれば、ノートにまとめていくようにしましょう。
保護者
なるほど、知らない英単語が減れば、英語の長文でも英文法の問題でも、解きやすくなりますね。そうすると精神的にも、少し余裕ができそうです。
ちなみに、文法の基礎はどうしたらよいですか?
教室長
文法の基礎が身についていない場合は、基本的な英文法をひととおり網羅した、なるべく「薄い」問題集を1冊選び、一冊をくり返し解いて基本を身につけるといいでしょう。
保護者
基礎を身につけた上で、これからは英語4技能を意識した対策や、早め早めの情報収集をしていかないといけないですね。
教室長
入試での英語の評価方法が変わり、今までとは異なった対策が求められています。まずは単語・文法の基礎を固めてから英語4技能をやろう、と思っていると時間が足りなくなってしまう可能性もあります。
また、高校受験でも、偏差値を重視した高校選びではなく、その高校が大学入試の新ルールへどれだけ対応しているかを知る必要があります。 ですが、学校のホームページや資料を見ただけではわからないことも多いです。
そんな時は、学校説明会へ足を運んでみるか、進路教務の知識が豊富な個別指導塾へ相談してみてください。
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