2025年度の共通テストは何が変わる?

2022年11月に、2025年度の「大学入学共通テスト」で出題される問題のイメージ(試作問題)が公開されました。
ここでは、試作問題から「まなビタミン」編集部が分析した、2025年度の共通テストの変更点を5つご紹介します。

  1.  新科目「情報Ⅰ」が共通テストで初出題
  2. 「国語」の大問数が増えて試験時間も延長
  3. 共通テストに「数学C」が登場。「数学Ⅱ,B,C」は70分に試験時間が延長
  4. 「数学Ⅰ, 数学A」は全問必答に。出題内容が一部変更
  5. 地理・歴史・公民の試作問題ではページ数が増加

※1. ~ 4. は大学入試センターからの発表。5. は試作問題の分析結果による見解です。

 

それぞれ、詳しく解説していきます。

 

1. 新科目「情報Ⅰ」が共通テストで初出題

まず、高校で必修科目として新設された「情報Ⅰ」が、共通テストの科目として出題されるようになります。
国立大学を受験するときには原則受験必須となるため、国立大学を目指す場合は受験対策が必要な科目が1つ増えることになります。

共通テストでの「情報Ⅰ」の問題例や対策などについては、『【国立大は受験必須】「情報Ⅰ」が大学入試の科目に!問題例と対策を解説』の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

 

2.「国語」の大問数が増えて試験時間も延長

「国語」は、これまで以上に思考力・判断力・表現力を問う問題になってきています。
大問ごとの問題量が増えるだけでなく、大問そのものもこれまでより1つ増えて、合計5題になる予定です。

大問 主な題材 配点
第1問 近代以降の文章 45
第2問 45
第3問【新設】 20
第4問 古典(古文) 45
第5問 古典(漢文) 45

(独立行政法人大学入試センター 2022年11月9日発表「令和7年度大学入学共通テスト 試作問題『国語』の概要」より。問題構成や出題内容、第1問~第3問の配点は今後変更になる可能性もある)

今回増える問題は「近代以降の文章」で、古典(古文・漢文)はこれまで通り、大問1題ずつの出題予定となります。

試作問題では「実用的な文章」として、日本語の文章や図、グラフを読み取るだけでなく、文章のテーマに関連したレポートを作る過程を問うような問題が示されていました。
これまでになかった出題形式であるため、「国語」が受験対象科目となる方は対策が必要です。

なお、大問数が増えた関係で、試験時間もこれまでの「80分」が「90分」に延びる予定です。

 

3.共通テストに「数学C」が登場。「数学Ⅱ,B,C」は70分に試験時間が延長

数学の各科目にも、以下のような試験科目の整理や統合が行われる予定です。

現行の試験科目・試験時間 2025年度からの試験科目・試験時間
「数学Ⅰ」 70分 「数学Ⅰ」 70分
「数学Ⅰ・数学A」 「数学Ⅰ, 数学A」
「数学Ⅱ」 60分 「数学Ⅱ, 数学B, 数学C」 70分
「数学Ⅱ・数学B」
「簿記・会計」
「情報関係基礎」

なかでも注目すべきは「数学Ⅱ, 数学B, 数学C」の科目です。現行の「数学Ⅱ・数学B」と以下の違いがあります。

●(現行)「数学Ⅱ・数学B」
「数列」「ベクトル」「確率分布と統計的な推測」から2項目を選択解答

●(変更後)「数学Ⅱ, 数学B, 数学C」
「数列」「統計的な推測」「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」から3項目を選択解答

このように、2025年度の共通テストでは解答が必要な範囲が増えます。
また、問題数増加に伴い、試験時間も60分から70分と10分延長されます。

 

4.「数学Ⅰ, 数学A」は全問必答に。出題内容が一部変更

これまで「数学Ⅰ,数学A」は、選択した問題のみ解答する形式でしたが、今回からすべての問題に解答する形式に変わります。

従来の共通テストで出題されていた「整数の性質」の単元は出題されなくなります。
ただし、一部の国公立私立大学では、すでに大学の個別試験で「整数の性質」を出題範囲とする予告を行っていますので、注意しましょう。

 

5.地理・歴史・公民の試作問題ではページ数が増加

地理や歴史、公民でも、学習指導要領の変更に合わせて試験科目が変更になります。

現行の試験科目・試験時間 2025年度からの試験科目・試験時間

世界史A
世界史B
日本史A
日本史B
地理A
地理B

現代社会
倫理
政治・経済
倫理,政治・経済

1科目選択60分

2科目選択130分
(うち解答時間120分)

地理総合, 地理探究
歴史総合, 日本史探究
歴史総合, 世界史探究
地理総合, 歴史総合, 公共

 

公共, 倫理
公共, 政治・経済
地理総合, 歴史総合, 公共

1科目選択 60分

2科目選択 130分
(うち解答時間120分)

試験時間は変わらない予定ですが、試作問題を見てみると各科目で問題のページ数が増えています。
つまり、これまでと同じ時間内で、これまでよりも多い問題量を、資料を読みながら答えていく必要がある、ということです。

そのため、あらかじめ問題に慣れておくことと、情報をすばやく読み取り、基礎知識はすぐに引き出せるようにしっかりと定着させておくことが大切になります。

また、どの科目も共通して、1~2年生で学ぶ「地理総合」「歴史総合」「公共」から1~2科目の範囲から出題されます。地理・歴史や公民を選択する場合は、高1の段階からしっかりと学校の授業で学習していきましょう。

 

共通テストに向けて今からできることは?

最後に、共通テストに向けて今からできることを3つご紹介いたします。

●教科の偏りなく勉強を進めよう
●「総合的な探究の時間」に積極的に参加しよう
●学校推薦型・総合型選抜を見据えた対策も始めよう

2025年度の入試を受験する予定の方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

教科の偏りなく勉強を進めよう

特に私立大学のなかには、出題科目が未確定だったり、まだ発表されていなかったりする大学もあります。
のちのち選べる志望校の幅を拡げられるようにするために、教科の偏りなく勉強を進めることを心がけましょう。
英語、数学、国語などだけでなく、「情報Ⅰ」や「地理総合」「歴史総合」、理科の基礎科目の学校の勉強もまんべんなく行いましょう。

また、各科目の基礎知識を身につけた上で、思考力や判断力、表現力が求められる問題にも応用できるように、まずは基礎を定着しておくと良いでしょう。

 

「総合的な探究の時間」により積極的に参加しよう

次に、学校の授業には今まで以上に積極的に参加することが大切です。

共通テストの試作問題にも、学校の授業と似たようなシーン、特に「総合的な探究の時間」を意識した設問が出ています。
ふだんの授業により積極的に参加することが、共通テスト対策の一部になるのです。

また、共通テストでは問題ページ数が増えていっているため、複数・多量の情報を素早く読み解いて関連づける力が求められています。
基本的な知識や技能を早めに身につけておくのはもちろん、速読力や判断力を養うことも考えておく必要があります。

 

学校推薦型・総合型選抜を見据えた対策も始めよう

2025年度の大学入学共通テストは、学習指導要領が変わってから初めてのテストになるので、過去問がない状況での受験になります。

そのため、共通テスト(一般選抜)の受験を避けて、手堅く「学校推薦型選抜」や「総合型選抜」に流れる志願者が増える可能性があります。
もし現時点で「学校推薦型選抜」や「総合型選抜」を使用した受験を考えている場合は、学校の成績(全体の学習成績の状況)に結びつく日頃の勉強をより大切にしましょう。

ちなみに、「学校推薦型選抜」や「総合型選抜」は大学受験のスタンダードになりつつあります。
現段階ではこういった選抜方法の受験を考えていなくても、受験の機会を増やしたり、合格率を高めたりするために、日ごろの学校の授業を大切にして、きちんと勉強し、しっかり試験対策をしましょう。
そのことが「学校推薦型選抜」や「総合型選抜」も見据えた受験対策にもなります。

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今回は、2025年度の「大学入学共通テスト」で出題予定の問題の変更点や、今からできる対策方法についてご紹介しました。

基礎的な内容はもちろん、思考力・判断力・表現力を問う問題も、すべて高校の授業がベースになっています。日頃から、より積極的に授業に参加することが大切です。
また、気になる大学の入試関連情報は、あらかじめ公式ホームページなどでチェックしておきましょう。

 

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