2023年度の大学入学共通テスト(英語)はどのように変わった?

大学入学共通テストの出題傾向は年々変わりつつありますが、2020年のセンター試験の英語(筆記)と比べると、2023年度の英語の試験では主に次のような変更点がありました。

  •  【リーディング】文法・発音などの問題がすべて「読解問題」に
  •  【リーディング】出題される総語数が大幅アップ。設問は英文に統一
  •  【リスニング】読み上げ回数が「1回のみ」の問題も
  •  【リーディング・リスニング】英文(素材文)の形式が多様化している

 

それぞれの変更内容や、今までと比べてどんなことが大変になってくるのか、詳しく見ていきましょう。

 

 

【リーディング】文法・発音などの問題がすべて「読解問題」に

 

この円グラフからもわかるように、センター試験のリーディングで出題されていた「文法の単独問題」や「発音・アクセントを問う問題」は、大学入学共通テストからは一切出題されなくなりました。

その代わり、リーディングで出題されるすべての問題が、英文(素材文)の内容を読み取って問題に解答する「読解問題」に変更されています。

センター試験で出題されていたような「単に文法・発音などを問う問題」は、基本的な英語の知識が身についていれば、素材文を読まなくてもすぐに解答できるものがほとんどでした。

しかし、リーディングの全問題が「読解問題」となった共通テストでは、素材文から文章全体の意味を理解し、問題を解く力が今まで以上に求められるようになります。

 

 

【リーディング】出題される総語数が大幅アップ。設問は英文に統一

センター試験のときと比べて、大学入学共通テストでは、問題文に出てくる総語数(設問・選択肢なども含む語数)が大幅にアップし、問題のページ数も大幅に増えています。

 

また、センター試験で日本語と英語が混在していた設問文は、共通テストではすべて英語表記に変わりました。
しかし、総語数がアップして設問が英語表記になって読む英文が増えたと言っても、共通テストの「試験時間」はセンター試験のときより増えていません。

試験時間内にすべての問題を解くには、今までよりも早く・正確に、大量の英文(設問文・素材文)を読み解く力が必要です。

 

 

【リスニング】読み上げ回数が「1回のみ」の問題も

センター試験のリスニングでは、すべての問題で音声が2回読み上げられていました。
ところが、2023年度の大学入学共通テストでは、リスニングで出題される問題数の約7割が1回だけの読み上げになっています。

 

 

センター試験のときは、1回目の読み上げで音声の内容を聞き逃してしまっても、2回目の読み上げのときに確認することができました。しかし、共通テストでは1回の読み上げで内容を聞き逃してしまうと、音声を聞けるチャンスは二度とありません。

共通テストのリスニングに対応するには、試験問題の音声が再生されるまでの時間で、問題文や選択肢の内容を整理し、答えにつながる内容を1回で聞き取る力が必要になります。

 

 

【リーディング・リスニング】英文(素材文)の形式が多様化している

大学入学共通テストのリーディング・リスニングでは、英文(素材文)の種類や形式が増えている傾向にあります。

 

この図のように、センター試験では主に「1つの素材文」で構成されていた問題が、共通テストでは「資料+ノート」や「論文+記事」と言うように、複数の形式の素材文が組み合わされて出題されるようになりました。

また、センター試験でも「シンプルな図」を含む問題は出題されていましたが、共通テストでは、「表」「グラフ」「イラスト」などの図の形式がさらに多様化しています。

このように、共通テストで出題される素材文の形式・種類が増えてきていることから、複数の文章形式や多様な表・グラフ・イラストから、問題内容に関連する情報を読み解いていく力(リテラシー)が求められています。

 

 

大学入学共通テストの英語では「英文(素材文)を読み取る力」が重要に!

 

大学入学共通テストの英語の出題傾向を見て、「共通テストの英語って、こんなに難しいの……?」「残された時間のなかで、どんな対策をしていけばいいの?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

共通テストの英語を対策するには、単語・文法と言った基本的な知識・技能に加えて、「英文(素材文)を読み取る力」を身につけることが重要です。

 

この図からもわかるように、センター試験の英語では、基本的な知識・技能を問う問題が中心的に出題されていました。

しかし共通テストでは、リーディングの全問題が読解問題になったり、素材文の形式が多様化していたり……と言うように、思考力・判断力・表現力を問う問題が重視されています。

思考力・判断力・表現力を問う問題は、単に長文の読解問題を解けるようになるだけでは高得点を狙えません。素材文や指示文で「何が問われているのか」を理解し、答えを導くために必要な情報を整理していく力が必要です。

また、出題される素材文の意味だけでなく、複数の表・図・イラストなどがそれぞれ何を意味しているのか、本文との関係はどうなっているのかを読み取る力も身につける必要があります。

では、素材文を読み取る力(リテラシー)を身につけるにはどのような対策をすればよいのでしょうか?次で、具体的な対策方法を詳しくお伝えしていきます。

 

 

大学入学共通テストの「英語」はどうやって対策する?

大学入学共通テストに必要な「英文(素材文)を読み取る力」を身につけるには、問題を解いて答え合わせをし、もう一度解きなおす……と言うように、問題演習を繰り返し行うことが大切です

しかし、ただ単に問題演習を繰り返すだけでは、共通テストの英語で求められる力を養えません。
「この素材文では何が問われているのか」
「なぜこの問題の答えは○○なのか」
「どこをしっかり読めば正解できたのか?」
「正解を導くために必要な情報はどこに書かれていたのか?」
と言うように、素材文の意味や正解にたどり着くまでのプロセス(解答プロセス)を意識して、問題を解いていくことが重要になります。

そこで、問題演習を効果的に行うために役立つのが「問題演習ノート」です。問題演習ノートは、次の図のようなステップで作成していきます。

 

<英語:問題演習ノート作成のステップ>

共通テスト形式の問題を解く

① 答え合わせを行い、正答数やすべての問題を解き終えるまでにかかった時間を記録する

② 問題文や英語長文(素材文)のなかで、分からなかった単語の意味や品詞を調べる

③ 問題文や素材文で、訳せなかった英文を写して「構文」をとり、和訳を作成する

④ 素材文や指示文をノートに写して、素材文の要約や、問題で何が問われているかを記入する

⑤ 素材文や指示文の意味から、解答内容がなぜ正しいのか、もしくはなぜ間違っているのかを記入する

 

共通テストの英語は、センター試験よりも早く・正確に問題に解答する力が求められています。ステップ①~②で自分の現状を記録しておき、問題を解きなおしたときに前回より正答率が上がっているか、制限時間内に問題を解き終えるにはどのくらいギャップがあるのか……などをチェックできるようにしましょう。

ステップ③~④では、単語や文法などの基礎的な内容で分からなかった部分を確認し、足りない英語の知識を習得していきます。

そして、ステップ⑤~⑥を通して、素材文の意味や解答プロセスを説明できる状態にし、共通テストで求められる「素材文を読み取る力」を強化していきます。

このような流れで共通テスト形式の問題演習を繰り返していくと同時に、受験する大学別の過去問題演習にも取り組み、志望校合格に向けた対策を行いましょう。

 

 

誤答分析や解答プロセスの指導をサポートしてくれる「個別指導塾」の利用も検討しよう

大学共通テストの英語対策に向けて「英文(素材文)を読み取る力」を身につけるには、素材文の意味や、正解にたどり着くまでのプロセス(解答プロセス)を意識しながら、問題演習を繰り返すことが大切とわかりました。

とはいっても、問題演習を行うときに「素材文をじっくり読んだけど、意味が理解できない……」「考えた解答プロセスが正しいのかわからない」など、つまずいてしまうこともあるかもしれません。

そんなときは、間違えた問題の分析や解答プロセスの指導などをサポートしてくれる「個別指導塾」の利用も考えてみてはいかがでしょうか。
個別指導塾の東京個別指導学院・関西個別指導学院では、進路指導の専門部署が共通テストを詳しく分析し、最新情報を把握しています。
1人ひとり専用の学習プランと、最新の大学入試情報を生かした指導で、効率よく志望校合格を目指していくことができます。

志望校に合った大学受験対策で、共通テストの英語で求められる力を身につけていきたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

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