読書量と成績は本当に相関関係があるのでしょうか?読書習慣のつけ方は?気になる「読書と成績」について調べてみました。
目次
「読書するほど学力が高い」という調査報告がある
保護者
「読書をするお子さんは学力が高い」という話は本当だと思いますか?
保護者
まわりのお子さんたちを見ていると、確かにそんな傾向がある気はします。実際のところどうなんでしょうか。
教室長
やや古い資料ですが、平成21年度に公表された文部科学省の調査結果(※1)によると、「読書好きな児童生徒ほど教科の学力が高い。科目、学力層、領域、設問形式によらずこの傾向が確認できるという意味で、これは非常に強固な傾向であるといえる」そうですよ。どうやら、読書するお子さんほど勉強がよくできるというのは事実だと言えそうですね。
保護者
そうなんですね。うちの子にも読書をすすめてみようかしら。
教室長
確かに「読書好き」と「学力の高さ」には相関関係がありますが、「読書が好きだから学力が高くなった」のか、「学力の高いお子さんに読書好きの傾向がある」のかといった因果関係は、この調査からはわかりません。私は単に本を読めばいいということではなく、「読書が好き」「ふだんから読書に親しめている」ということが重要だと思います。
保護者
うちの子の場合は、テレビや動画のほうが身近なのかもしれないわ。それで読書が二の次になっているのかも。
教室長
テレビや映画、動画などももちろん優れたメディアです。たとえば、新聞を読むよりテレビのニュースを見たほうが早く多くの情報を得られます。これは、映像と声で一度に必要な情報を伝えてくれるからです。
保護者
確かに、全体の流れを広く浅く知るなら新聞よりニュースのほうがわかりやすいですね。
教室長
逆にテレビや動画は、深く知って考えたり、想像力を働かせたりといった点は弱いです。自分で考えるという意味では、やはり活字が欠かせないでしょう。
保護者
メディアもそれぞれの特徴ごとに使い分けることが大事なんですね。
読解力や解答力を育てる「読書」は、すべての教科に役立つ
保護者
ところで、どうして読書と学力は関係するのでしょうか?
教室長
読書にはたくさんのメリットがあるからだと思います。読書のメリットを挙げてみましょう。
● 集中力がつく
● 語彙力がつく
● 物語や小説では、情緒を育てたり、想像力を高めたりするのに役立つ
● 論説は、起承転結などの文章の組み立てを理解したり、論理的思考を養ったりできる
● 世の中の動きや仕組みを知ったり、多ジャンルの見識を広めたりすることもできる
● 歴史を知ったり、興味・関心を刺激したりするなどの効果もある
保護者
テストやふだんの勉強にも生かせそうなメリットばかりですね。
教室長
そうですね。日ごろから活字に慣れていると、テストのときに長文を早く、正確に読めるようになります。速く読んで理解できるということは、それだけ考える時間を確保できるということです。また、文章を読むことに慣れておくと文章の流れを感覚で理解できるようになるので、たとえば、文中の空欄に接続詞を入れる問題が出たとき、「だから」が入るか、「しかし」が入るかを自信を持って答えられるようになります。
保護者
暗算が得意なお子さんが、数字の読み上げを聞いただけで、瞬間的に答えがわかるのと同じ感覚ですね。
教室長
そうですね。ほかにも、テストの問題文で「なにを聞かれているか」を正しくつかめると、それに応じて適切な言葉や表現を選んで正しい解答ができるようなるのもポイントです。たとえば、「なぜ~ですか」という問いに対して、「~だから」という答え方がすばやく浮かぶようになります。
保護者
受け答えが上手になるということですね。
教室長
そして、読書で身につけた読解力や論理的思考は、国語だけでなく、ほかの教科でも役に立ちます。たとえば、理数系の教科ではグラフを読み取って数字の意味を説明する問題が出題されることもあります。このとき大事なのは、「この数字はなにを意味しているのか」や「どうしてこういう数字になったのか」など、数字の背景にある文脈を読み取る力と、それを論理立てて説明する力です。
保護者
中学生の今から読書習慣を身につけるには
保護者
どうすれば読書習慣が身につきますか?
教室長
家の中の手に取れる場所に本があるという環境が大切ですね。読書習慣のあるお子さんは、幼児のころから絵本の読み聞かせを聞いていたり、保護者の方と図書館や本屋に行く機会が多かったり、自宅に本がたくさんあったりするケースが多いようです。
保護者
小さいころから本や活字に触れる機会が多いと、読書が身近になるんですね。中学生から読書習慣を身につけるのは難しいでしょうか?
教室長
そんなことはありません。何歳からでも読書は始められます。まずはお子さんの関心のある分野の本を探すことから始めてみてはいかがでしょうか。その本をきっかけに「もっと読みたい」「深く知りたい」と思うかもしれません。
保護者
短編集や漫画のような本でもいいですか?
教室長
もちろん大丈夫ですよ。お子さんにとって身近なところから読書にふれてもらい、徐々に好きになっていければいいと思います。読書にはメリットがたくさんありますが、「読書ができないからダメ」ということは決してありません。
保護者
わかりました。実は以前、うちの子が欲しいと言った本を買ってあげたことがあったのですが、活字に慣れていないこともあり、途中で読むのをやめてしまったことがありました。読書を続けてもらうコツはありますか?
教室長
「どんな話だったか教えて」「どこがおもしろかった?」「なぜ、主人公はこう言ったと思う?」など、保護者の方から本の内容を聞いてあげるといいと思います。保護者の方に話を聞いてもらおうと、一生懸命本を読むお子さんもいます。
保護者
なるほど。せっかくなら親子で同じ本を読んで、感想を話し合うのも楽しそうですね。
保護者
親子で読書はステキですね。うちでもやってみたいと思います。
(※1)出典:学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究(静岡大学による委託研究) 文部科学省 2011年
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/045/shiryo/attach/__icsFiles/afieldfile/2011/03/02/1302195_01.pdf