ビジネスシーンでも話題の「クリティカルシンキング」(批判的思考)という思考法。欧米では初等教育から活用されており、日本でも注目が高まっています。「考える力」を鍛えることができると言われる、「クリティカルシンキング」についてご紹介します。
目次
批判的思考って、どういうこと?
保護者
先日、夫が読んでいたビジネス書で目にしたんですけれど、みなさんは「クリティカルシンキング」という言葉を聞いたことはありますか?
教室長
日本では主にビジネスシーンでよく使われていますが、「考える力」を鍛えるとして教育界でも注目されているキーワードですね。
保護者
「クリティカルシンキング」とは、どういう意味なんですか?
保護者
英語では「critical thinking」ね。「批判的思考」と訳すのが一般的じゃないかしら。
教室長
そのとおりです。批判的思考とは、今ある現状や与えられた情報をそのまま受け入れるのではなく、「本当にそうなのか?」と疑問を持って考えることで、最適な答えを探す思考法のことを指します。
保護者
「批判的」と聞くと、「拒否」や「否定」というような、すこしわるいイメージが浮かんでしまいますね。
教室長
「critical」を「批判的」と訳すことについては専門家でも意見が分かれるところですが、英語の「critical」には疑問を持って考える姿勢という意味合いも含まれるそうです。
保護者
「それは間違っているのでは?」と考えるのも、批判的思考になるのかしら。
教室長
そうですね。「なぜ?」「どうして?」「本当に?」と疑問を持って考えることで、当たり前だと思うようなことでも新たな発見ができたり、より客観的に考えを進めたりすることができるようになるのが、クリティカルシンキングのメリットと考えられます。
保護者
情報を鵜呑みにしないという点では、確かに「考える力」のトレーニングになりそうですね。
クリティカルシンキングの基本的な考え方
保護者
クリティカルシンキングに興味がわいてきました。私もビジネス書を読んでみようかしら。
教室長
ビジネス書などでクリティカルシンキングが取り上げられるときは、ロジカルシンキング(論理的思考)と併せて、さまざまなテクニックやフレームワークと呼ばれるビジネス向けのツールが紹介されます。テクニックやツールを知る前に、まず基本の考え方となるクリティカルな姿勢とはなにかを考えてみましょう。
保護者
「クリティカルな姿勢」ですね。ぜひお願いします。
教室長
まず1つ目は、自分にも相手にも思考の「クセ」があることを意識することです。人は自分の価値観や経験から主観的に判断しがちですが、クリティカルシンキングでは、これを「思考のクセ」や「暗黙の了解」などと呼びます。
保護者
自分の判断に主観的な考え方が影響していないか見直してみる姿勢が、客観的な考え方を鍛えることにつながるということね。
教室長
そうです。次に、結論が出たと思っても「なぜ?」と問い続ける姿勢が重視されます。クリティカルシンキングでは「Why?(なぜ)」という問いかけがよく行われます。
保護者
クリティカルに問い続けること、ですね。
教室長
はい。考える課程でつねにこうした疑問を持つことで、情報や物事を検証することができ、考えを深めることができると言われています。
保護者
クリティカルな考え方のイメージができてきた気がします。
保護者
さまざまな角度から物事を考えることが、最適な解決法を導くために必要だということは理解できてきたと思います。
日本の教育にクリティカルシンキングはマッチするか
教室長
欧米では初等教育からクリティカルシンキングが活用され、社会に浸透しているそうです。
保護者
なぜ欧米では初等教育から、クリティカルシンキングが活用されているんですか?
教室長
個人主義的と言われるような欧米の社会的風土では、自分の意見をきちんと伝えられることが重視されますから、論理的に考えたり伝えたりする方法を初等教育でも教えていると言われています。
保護者
どんなふうに採り入れられているんですか?
教室長
教師から「Why?」という問いかけが出され、生徒さんが「I think …, because…」と意見を述べるようなやりとりが多いそうですが、これもトレーニングの一例と言えるでしょう。
保護者
確かに日本の学校ではあまり聞かないやりとりかもしれません。
教室長
日本の社会的風土では個人主義よりむしろ協調性が重んじられ、教育の場でも周囲の人の和を尊重し共感することが重視されてきたと言われています。みなさんも、クラスでなにかを決めるときに、合理的な結論に導くというよりは、みんなが納得するように時間をかけて話し合うという場面を経験されたことがありませんか?
保護者
そういえば、そういう場面も確かにありました。
教室長
ますますグローバル化が進み、激しい変化が起こると予想される現代社会では、情報や現状を鵜呑みにせず、自分の頭で考える力が必須になると言われています。さきほどもすこし触れましたが、日本の初等教育でもクリティカルシンキングやロジカルシンキングを採り入れようという動きが進んでいるんですよ。
保護者
初等教育と言うと、小学生や中学生のうちから論理的な考え方や、批判的な考え方を学校で教えてもらうことになるかもしれないんですね。
教室長
クリティカルな姿勢や考え方は、逆に言えば、現状に満足せずさらに向上しようという気持ちから生まれるのかもしれないと、私は考えています。
保護者
当たり前のことを「本当に当たり前なのか?」と考えてみることで、新しい発見につながることもありそうですね。
保護者
そうね。人と自分は違うということに気づいて、多様性を認め合うきっかけにもなるんじゃないかしら。
保護者
クリティカルシンキングを身につけられると世界がグッと広がりそうですね。我が家でも「なぜ?」「どうして?」「本当に?」と問いかける機会を増やしてみたいと思います。