人間関係を築く力がまだまだ未熟な中学生。思春期特有のグループ意識から、仲間はずれにされたり悪口を言われたりというトラブルが多くなる時期でもあります。お子さんが悩んでいる時に保護者の方がしてあげられることは、どんなことなのでしょうか。
目次
まずはよく話を聞いてあげよう
保護者
うちの子のクラスで、あるグループから仲間はずれにされているお子さんがいるらしくて…。どうやら、ひどいいじめに遭っているという状態ではないようなんだけど、うちの子も心配しているし、もしうちの子自身が学校でお友だちとの関係がうまくいかなくなったらと不安になってしまったわ。中学生がお友だちとの関係に悩んでいる時、保護者としてどうしたらよいのでしょう?
教室長
中学生くらいのお子さんは人間関係を築く力が未熟ですし、思春期特有のグループ意識の高さから、ほんの少し周囲と違うというだけでトラブルが起こってしまうケースが多くなる時期でもありますね。
保護者
ちょっとしたことで仲間はずれにされたり、悪口を言われたり…。中高生にはありがちですけど、本人も傷つきますし、保護者の方も心配ですよね。
教室長
対人関係のトラブルは本人にとってはつらく苦しいものですが、そうした人間関係のつまずきを繰り返すことは、お子さんの成長につながります。できるだけお子さんたちだけで解決させてあげたいですね。
保護者
できるだけ任せたほうがよいでしょうけど…、保護者の役割は何かないかしら?私たちにできることは、話をよく聞いてあげたり、様子を見守ってあげることくらいでしょうか。
教室長
お子さんが悩んでいる時、保護者としてはまず話をよく聞いてあげてほしいと思います。「それはつらいね」、「ひどいね」、「どうしたらよいかな」と、お子さんの気持ちに共感し受け入れてあげてください。そして「一緒にどうしたらよいのか考えよう」と寄り添ってあげましょう。
お子さんが自分で解決する力を信じてグッと我慢
保護者
反対にこれはやってはいけないということはありますか?
教室長
感情的になって学校に乗り込む、保護者の方が相手の生徒さんに直接連絡するなど、先回りして大げさに騒ぐようなことは避けたい行動です。
保護者
事態を悪化させてしまうこともありそうですね。
教室長
そうです。それから「あなたが弱いからだ」と頭ごなしに否定したり、無理に聞き出そうとすると、逆にお子さんは相談しにくくなってしまいます。お子さんが話すタイミングを待って、もし話をしてくれたら口をはさまず最後まで聞いてあげることが大切でしょう。
保護者
先回りして大騒ぎしないこと、話すタイミングを待つこと…ですね。どうしても心配で自分から口を出したくなりそうだわ。
教室長
そこはグッと我慢の時です。お子さんからアドバイスを求められたら、自身で解決できるようさりげなく答えるのがベストだと思います。
保護者
具体的にはどんなふうに声を掛けてあげればよいでしょうか?
教室長
一緒に考える、お子さんに寄り添うということを念頭に置いてアドバイスをしてあげましょう。「悪口は無視すればよい」、「先生に相談しなさい」と命令するような態度ではなく、「スルーしてみるのはどう?」、「あの子に相談してみたら?」と、一緒に考えるスタンスで声を掛けてあげるのがいいですね。
保護者
なるほど…心配でついいろいろ言ってしまいそうだけれど、考えを押しつけないほうがよいのかもしれませんね。
教室長
大人の言うとおりにさせれば早く解決できるように思えますが、自分で解決するという体験もお子さんとって貴重な機会です。お子さんを信じて見守ってあげたいですね。
お子さんのSOSを見逃さず、いざとなれば逃げ道を示す
保護者
お友だちとトラブルがあっても「恥ずかしい」、「心配をかけたくない」と保護者の方に話せないお子さんもいますよね。そんな時はどうすればよいかしら?
教室長
やっぱりお子さんの様子をよく見てあげることが大切だと思います。何か問題を抱えている場合、お子さんの様子に変化が出ることも多いでしょう。
保護者
変化というとどんなことでしょう?
教室長
「忘れ物が増える」、「食欲がない」といった小さな変化として現れることもあります。ゲームが好きでいつもやっていたのにやらなくなったという例もあるようです。
保護者
「学校に行きたがらない」、「登校の時間になると具合が悪くなる」というのはよく聞きますね。
教室長
はい。そんな時に無理に学校に通わせ続けると、お子さんが追い詰められてしまうこともあります。思い切って休ませることも時には必要でしょう。
保護者
学校で何かあったのかなと気づいたとしても、そのままいじめや不登校に発展しないか心配になりそうです。
教室長
もしいじめが発覚した場合は毅然とした態度で学校と交渉することも必要です。それから切迫した状況に追い詰められているお子さんには、逃げ道を示してあげることも大切ですよ。
保護者
逃げ道というと…?
教室長
中学校は3年間で終わるものですし、学年が進めば状況が変わることもあります。学校や今のクラスが世界のすべてではないと教えてあげたいですね。いじめに遭って学校に居場所がなかったお子さんも、学校外での習い事、ボランティア、地域の活動などに取り組んで、そちらでよい関係ができたという例もあるんですよ。
保護者
なるほど…。何事もなく学校に通ってほしいと思い込みがちですけど、状況を見て「逃げ道」を考えてあげられるようにしないといけないですね。
教室長
いちばん大切にしていただきたいのは、お子さんにとって家庭がほっとできる場所であるということです。
保護者
確かに学校生活がつらいのに家でも落ち着くことができなければ、どんどん追い詰められてしまいますものね。
教室長
「つねに味方であること」、「楽しい家庭であること」は、つらい状況にあるお子さんを支える大きな力になるでしょう。トラブルがあってもなくても、「あなたの話はいつでも聞くよ」、「あなたはとても大切な存在だよ」という気持ちを、ふだんからお子さんに伝えてあげることも大切なのかもしれませんね。
保護者
そうですね。今回はうちの子とも学校での問題について一緒に考えてみたいと思います!