不登校のきっかけのひとつに、学校での友人関係が挙げられます。人間関係は大人でも難しいことがありますが、中学生にとってはより複雑な問題です。不登校のお子さんの交友関係について考えてみましょう。
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「不登校=友だちがいない」ではない
保護者
この前、娘と買い物に行ったら、娘のお友だちと会ったんですけど、そのうちの1人が不登校で学校には来ていない子らしいんです。でも、別に他のお子さんとも仲がよさそうだったんですよね。明るかったし。
保護者
いるわよね、そういうお子さん。学校の外で会う分には、本当に不登校なのかしらって思うくらいですが、学校の中では人間関係などいろいろと悩みを抱えているケースも多いと聞いたことがあります。
教室長
不登校の原因で学校関係のものとしては、やはり人間関係が多いですよ。平成25年度(2013年度)の文部科学省の調査でも、本人の「無気力」「情緒的混乱不安など」に次いで多いのが友人関係でしたしね(※1)。ほかの調査でも、不登校から復帰できない原因として人間関係を挙げたのは40.6%にものぼります(※2)。ただ、別に友だちがいないから不登校になるということではないのですよ。
保護者
ほかの子にいじめられたということですか?
教室長
もちろんそれもありますが、漠然としたコミュニケーション不安を原因とする場合も考えられますね。なにをされたわけでもないけれど、大人数の中にいるのが苦手だったり、自分が周囲からどう見られているのかが過度に気になったり。不安が先行して、うまく人間関係を構築できないケースもあるわけです。
保護者
特定の親しい友だちとは普通に遊べるけれど、たくさん人が集まる学校は苦手、ということですよね。
保護者
なるほど。それだと「友だちがいるのに不登校」っていうのも不思議ではありませんね。
教室長
「不登校=友だちがいない」だとか、「不登校=孤独」だなんてことはありません。不登校が必ずしも引きこもりとも限りませんしね。積極的に友だちと遊びに出かける不登校のお子さんもたくさんいるんですよ。
不登校がいじめが原因の場合は?
保護者
不登校でも、引きこもっているよりは友だちと遊びに行けるほうがいいですよね。
保護者
そうね。そんなまわりのお子さんが声をかけて、登校を促してくれないかしら。
教室長
それほど単純には行かないみたいですよ。原因や程度などにもよりますが、たとえば、いじめや、明確な人間関係のトラブルで不登校になっているのであれば、無理な再登校はかえって危険な場合もあります。友だちがいて元気そうに見えても、強引に再登校を促すことはおすすめできません。
保護者
じゃあ、もう学校へは行かないほうがいいってことですか?
教室長
そんなふうに決めてしまうのではなく、まずは専門機関を上手に利用することですね。学校とも連携を取りながら、不登校支援センターやカウンセラーなど、専門的な知識をもった人に意見を聞いて決めていくことで、すこしずつ改善していけます。進級や進学のタイミングで復帰できることも多いので、焦らないことが重要です。
人間関係が原因の場合の不登校、その対処法
保護者
もしも娘が不登校になったら、保護者にできることってなにがあるのかしら。
保護者
私は、やっぱり家に引きこもっているよりは、友だちと遊んでくれるほうがいいですね。「学校へ行っていないのに遊びに行くだなんて」って小言も言ってしまいそうですけど。
教室長
友だちは大事ですから、メールや電話などで気軽に友だちと連絡が取れるようにしておいてあげることですね。小言を言いたくなる気持ちもわかりますが、学校へ行けないからこそ気の置けない友人の存在は大切です。ただ、「遊び・非行型」の不登校にならないように、家庭でのコミュニケーションやルールを大事にすることも必要です。遊びすぎて昼夜が逆転してしまったり、非行にシフトしてしまったりすると、不登校からの復帰がとても難しくなりますからね。
保護者
友だちもいなくて、家にこもりがちになってしまった場合はどうすればいいのかしら?
教室長
友だちがいない場合には、すこしずつコミュニケーションの輪を広げていくトレーニングが必要ですね。まずは家庭でのコミュニケーション。学校や地域が難しければ、適応指導教室や学習塾、カルチャースクールなどで交流することもできます。
保護者
適応指導教室って、フリースクールみたいなものですか?
教室長
わかりやすく言うと、適応指導教室は教育委員会など行政が運営している施設で、フリースクールは私立で形態もさまざまだと考えてもらえればいいですね。学校にうまく適応できなかったお子さんのリハビリにちょうどいい場所です。
保護者
勉強も見てもらえるんですか?
教室長
心理面のケアなどが優先される場合もありますが、勉強もしますよ。あるいは、学力を維持しつつ、「同じ学校の子とは会いたくないけれど、新しいコミュニケーションを求めたい」ということであれば、家からすこし離れた塾に通ってみるのも手ですね。
保護者
塾であれば学力面は安心できそうですね!個別指導塾なんかだったら、先生との密なコミュニケーションも期待できそう。
教室長
さきほども言いましたが、不登校であるからこそ、交友関係は重要です。そのことを周囲が理解して、不登校への解決策を模索していくことが必要ですね。
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参照URL:(※1)『平成27年版 子ども・若者白書」(内閣府)。
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12927443/www8.cao.go.jp/youth/suisin/hakusho.html
(※2)文部科学省、「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)(平成26年7月公表分)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1349956.htm