「不登校だから、進学は無理」とあきらめる必要はありません。エンカレッジスクールやフリースクールなど、今は進学先の選択肢が増えています。お子さんの抱える問題をうまく解決したり、カバーできれば、いつでも再スタートは可能です。
目次
中学と高校では「世界」が変わる。だから、再スタートが可能
保護者
ねえ、この記事読んだ?
保護者
読みました。「中学で不登校になるお子さんが多い」という記事ですね。
保護者
いろいろ考えさせられますね。教室長、中学で不登校が増えるのには、なにか理由があるのでしょうか?
教室長
不登校の理由や原因は人それぞれですが、不登校になりやすいお子さんの傾向の1つとして、「人間関係を築くのが苦手」ということが挙げられます。特に公立の場合は地元の小学校から地元の中学校へ通うことが多く、人間関係が固定化しやすいです。そのため、一度学校に通えなくなると、そのまま復帰しにくくなってしまう、ということも考えられます。
保護者
小学校より学習内容が難しくなることも原因の1つかもしれないわ。勉強についていけないことに焦りを感じてしまうお子さんもいるんじゃないかしら。
教室長
そうですね。学習面では、高校受験のプレッシャーが原因で不登校になってしまうケースもあるようです。
保護者
不登校になってしまうと、進学が難しくなりそうですね。
教室長
「不登校=進学は無理」というのは誤った認識です。実際、高校から再スタートしているお子さんは多いですよ。
保護者
そうなんですね!
教室長
高校はいろいろな地域から生徒さんが集まってくるので、人間関係がリセットされます。また、同じような学力や雰囲気の生徒さんたちが集まっているため、小中学校と比べてまわりの生徒さんとも話が合いやすくなると思いますよ。
保護者
なるほど、確かにそうかもしれません。高校への進学が新たな人間関係を築くきっかけになるんですね。
保護者
今は不登校の生徒さんを積極的に受け入れている高校も増えてきていると聞きました。いろいろな面で、生徒さんが高校に通えるようにサポートしてくれるそうですよ。
教室長
中学校で不登校だったからといって、高校でも不登校になるわけではありません。中学生のときに不登校になってしまっても、イキイキと高校生活を送っているお子さんも多いです。こうした現状を知ることで、人生の選択肢が増えいくのではないでしょうか。
保護者
わかりました。高校からの再スタートについて、ぜひ正しい情報を教えてください。
不登校を経験した生徒も通いやすい学校の種類
教室長
まず、不登校だったお子さんでも通いやすい高校として、支援教育を行う普通学校が1つの選択肢に入るでしょう。公立では定時制高校がありますし、東京都には「チャレンジスクール」、「エンカレッジスクール」などがあります。
保護者
定時制高校は、夜間に通う高校のことですよね。
教室長
夜間のイメージも強いかもしれませんが、昼間に通うタイプも増えてきているのです。定時制高校には大きく分けて3年制と4年制があります。かつては昼間に働いて夜に通学する生徒さんが多かったのですが、最近では不登校の生徒さんの受け入れ先としても注目を集めています。
保護者
1日を2~4部に分けて、お子さん本人が行きやすい時間帯の部を選べるところもあるそうよ。
保護者
チャレンジスクールはどういったところですか?
教室長
都立の高校で、既存の夜間定時制高校を統合・集約して新設された、3部制の単位制高校です。主に不登校経験者や中退した生徒さんを受け入れています。
保護者
確か、午前部・午後部・夜間部の3部に分かれているのよね。
教室長
はい。そのとおりです。単位制なので、幅広い科目から受ける授業を選べるのもうれしいポイントです。ほかにも、入試で内申書が不要なことや、カウンセリング体制が充実しているといった特徴があります。
保護者
お子さんの通いやすい時間帯や興味・関心のある科目を選べるんですね。エンカレッジスクールについても教えてください。
教室長
エンカレッジスクールは可能性をもちながら、力を発揮できていない生徒さんのために設立された都立の高校です。チャレンジスクールと異なり、こちらは全日制高校で、入試で学力検査の実施がないことや、入学してからも定期考査がないことが特徴として挙げられます。
保護者
定期考査がないんですか?
教室長
そうなんです。ほかにも、英・数・国を中心に行っている習熟度別の少人数授業や、2人担任制、週1日のペースで体験的学習をとり入れるといった特徴があります。
保護者
東京都以外にも、同じような制度の高校はないのでしょうか?
教室長
大阪府と神奈川県にある「クリエイティブスクール」や埼玉県にある「パレットスクール」も近い特徴をもっています。
保護者
全都道府県にあるわけではないのね。
教室長
そうですね、チャレンジスクールやカレッジスクールといった学校が設立されはじめたのは2000年代に入ってからのことです。こういった学校は、今後どんどん増えていくと思いますよ。
保護者
チャレンジスクールやカレッジスクールが近くにない地域のお子さんは、どうすればよいでしょうか?
教室長
公立の定時制の学校はどの都道府県にもあると思いますので、一度探してみてください。また、私立の学校でも不登校になってしまった生徒さんを受け入れています。
保護者
私立の学校ですと、どういったところがあるんですか?
教室長
代表的なものとしては、「通信制」や「フリースクール」、「サポート校」、「高卒認定予備校」などがあります。
保護者
通信制は通信教材をつかって自宅で勉強する単位制の高校だったかしら。
教室長
そのとおりです。基本的には、課題を提出して、それを添削してもらうことで学習を進めていきます。また、最近はタブレットをつかって授業を行うこともあるそうです。
保護者
フリースクールは、聞いたことがありますが、実際にどんな学校なのかあまり知りません。
教室長
フリースクールは、学校に行けない・行きたくないお子さんの居場所となる教育機関です。入学資格はなく、基本的にだれでも通うことができます。医療機関と連携して、学習のサポートに力を入れているところもあるそうです。
保護者
フリースクールも高校なんですか?
教室長
いいえ。フリースクールは公的な教育機関ではないため、高卒資格は取れません。サポート校もフリースクールと同じような位置づけになります。サポート校は予備校や学習塾などが運営しているケースが多く、通信制高校の生徒さんの学習や生活の支援が主な目的になっています。
保護者
高卒認定予備校というのは、初めて聞きました。
教室長
こちらはその名のとおり高卒資格取得を支援するところです。むかしは大学入学資格検定と呼ばれていました。フリースクールやサポート校で、高卒認定予備校を兼ねているところもあります。
保護者
なるほど。
教室長
人間的に成長できる進学先を親子で探そう
保護者
探してみると、たくさんの進学のかたちがあるんですね。
教室長
そうですね。ただし、支援教育を受ける場合にはすぐに受け入れてもらうことだけを考えて、深く検討しないまま選ぶのが一番よくありません。人間関係を築く、学力や体力をつける、自立した生活をできるようにするなど、本人がイキイキと活躍しながら高校3年間で人間的に成長できる進学先を親子で探してみてください。
保護者
お子さん本人の悩みや問題点をカバーできる進学先を選ぶことが大切ね。
教室長
学校見学には、距離的に通学できるか、在校生の雰囲気はどうか、やりたい勉強ができそうか、費用面は大丈夫か、受験・入学資格はどうかなどを確認するためにも、ぜひ親子で行きましょう。
保護者
確かに、親子でみたほうがよさそうね。
教室長
塾や予備校の先生が受験のノウハウや経験を持っているのと同じように、支援教育に携わる先生方もその道のプロです。普通の高校の先生が持っていないような知見をたくさん持っていますので、ぜひ説明会に参加してみてください。きっとお子さんのよい部分を引き出したり、お子さんが伸び伸びやっていける環境を整えたりしてくれる先生に出会えると思いますよ。
保護者
落ち着いて学習できる場所が決まると、勉強にも前向きになれるかもしれませんね。
不登校になってしまっても悲観し過ぎず、新たなスタートに親子で目を向けて進むことが大切だとわかりました。ありがとうございます。