タブレット導入などの教育ニュースでよく登場する「21世紀型スキル」とははたして何か。そのスキルを育むための教育方法とともにご紹介します。
目次
よく耳にする「21世紀型スキル」とは?
保護者
最近ニュースでタブレットを使った授業風景とかをよく取り上げるじゃない?
保護者
あー、確かにそうね。私も見たことがあるわ。
保護者
あぁいうニュースを見ていると、たいてい「21世紀型スキル育成授業」を行う、なんて言われているんだけど、「21世紀型スキル」ってそもそも何なのかしら?
保護者
「21世紀型スキル」、教室長、わかります?
教室長
そうですね、ひとことで言ってしまえば、これからの社会で必要とされるスキルのことです。世界の教育関係者や国際的なコンピュータネットワーク機器会社が立ち上げた「21世紀型スキルの学びと評価のプロジェクト」(ACT21S)が提唱している概念ですね。(※)
保護者
なんかすごそうな感じね。
教室長
こういうと難しく聞こえてしまうかもしれませんが、IT技術の促進やグローバル化といった社会変化を背景として、これまでの教育だけでは育成しきれない部分の教育を考えていきましょう、といった内容です(※)。
保護者
あぁ、そう言われれば納得できるわ。私たちが子どもの頃と比べて、社会自体が大きく変化しているものね。
教室長
えぇ、文部科学省のウェブサイト(「中央教育審議会答申」平成26年12月22日)で読んだのですが、アメリカでは現在の小学生の65%が将来現在はまだ存在していない職業に就くことになるだろうという予測もあるのだそうです。
保護者
へー、それは驚きですね!でも確かに、今だって子どもの頃にはなかった仕事が今はたくさん存在していますよね。
教室長
えぇ、そういった背景から、予測不可能な未来社会の中で新しい問題が出てきたとしても、そのつど柔軟に対応して解決していかなければなりません。そのための力が「21世紀型スキル」と呼ばれるものです。
具体的にはどんなスキルのこと?
保護者
具体的には、どのようなスキルを身につけた方がいいという話なんですか?
教室長
いくつかあるのですが、「批判的思考力」「問題解決能力」「コミュニケーション力」「プロジェクト力」「情報通信テクノロジー活用力」などが挙げられます。
保護者
最後のはわかりやすいわね。IT(情報技術)に関することはまさに私たちの時代にはなくて、今はもう必須となっているものですもんね。
教室長
そうですね、コミュニケーションにしても、日本国内の話ではなく、グローバルという観点が必要です。きっと今のお子さんたちは職場で外国人と一緒に仕事をしたり、会議したりする場面も増えてくるのではないでしょうか。また私たちが子どもだった時代とは違って、今はインターネット上に情報があふれている時代。そんな時代には、いかに情報を取集し「判断」するか、といった力が必要になりますから、「批判的思考力」というのも必要になってくる力ですね。
保護者
なるほど、確かにそう言われてみれば、納得する内容ね。
教室長
えぇ、どれも必要なスキルで、確かに私たちが受けてきた従来の教育制度だけでは身につきにくいものだと思います。
今後どのような変化が起こるの?
保護者
実際、教育の方法はどう変化するのかしら?
教室長
たとえばテストで言えば記述式の問題が増えることが予想されます。従来の知識を詰め込むタイプの教育であれば○か×かが問われることが多かったですが、生徒さん自身の考えを聞くようなかたちに変わっていくのではないでしょうか。
保護者
なるほどね、覚えているかではなくて、理解した上で自分の考えが述べられるかどうかが重要になっていくということね。
教室長
えぇ、まさしく。他にも、授業であれば講義を受ける座学型の授業から、ディスカッションやグループワークが中心の授業へと変化していったり、1人1台タブレットを配布して、そのタブレットを使った授業を展開したり、といった変化が起こると思われますね。
保護者
うーん、なるほどね。確かにどれも、さっき言っていたスキルを身につけようと思ったら必要になってくるかもしれないわね。
教室長
えぇ、いずれにしても「21世紀型スキル」というのは今後の教育方法を大きく変え得るものです。あと数年もすれば教育現場も大きく変わってくることでしょう。
(※)参照:三宅なほみ監訳 P.グリフィン B.マクダー E.ケア編著 『21世紀型スキル:学びと評価の新たなかたち』(北大路書房、2014年)