皆さんは、イマージョン教育という言葉を聞いたことがあるでしょうか。イマージョンは英語で、「浸す」という意味です。今回は、注目のイマージョン教育とはどんなもので、魅力は何なのかについてご紹介します。
目次
イマージョン教育とは
保護者
この前、保護者の集まりで、「イマージョン教育」っていう言葉を聞いたんだけど、どういうものか知ってる?
保護者
ううん、知らないですね。どんな教育なんでしょう!?
保護者
私は聞いたことあるわ。確か「外国語にどっぷり浸かって覚えること」じゃなかったかしら。教室長はご存じですか?
教室長
ええ。簡単に言えば、「あらゆることに英語を使う」ことを指しています。英語の授業ももっぱら英語で行われます。
保護者
どういうことです?
教室長
一般的な英語の授業では、先生が日本語訳で意味などを解説してくれますよね。それがすべて英語になるんです。基本的に、授業で日本語は一切使われません。
保護者
難しそうだけど力はつきそうですね!対象年齢はあるんですか?
教室長
対象年齢は幅広いんですが、年齢層によって呼び方が分けられています。まず、幼稚園や小学校低学年から始めるものは、「早期英語イマージョン」と呼ばれます。次に小学校の中、高学年以降に始めるのが、「中期英語イマージョン」、そして中高生になってから開始するのが、「後期英語イマージョン」となります(※)。
保護者
具体的にはどんな内容なんですか?
教室長
まず、基本的に教師はネイティブスピーカーのみになります。先生は必要に応じてボディーランゲージなども加えながら説明を繰り返し、生徒はそこから意味を読み取り、理解を深めます。
保護者
ずいぶん実践的ですね!
日本人が苦手な、聞く力や話す力が磨かれそうだわ。これからの時代に合いそうな教育法ですね。
イマージョン教育のメリット
保護者
イマージョン教育は現在の英語教育と比べて、どんなところが違いますか?
教室長
そうですね。まず、現行の教育と大きく違うところは、やはり英語の使用頻度でしょう。たとえば、英語の時間で、英語をたくさん話した記憶はありますか。
保護者
ありませんね。私たちの時代は、詰め込みでしたから。
教室長
現在でもそういう部分はやはりありますよ。日本の学校受験は筆記試験が多いですから、どうしても文法や長文読解などにウエイトが置かれてしまいます。ところがイマージョン教育では、日常生活でも英語を使うことが求められるんです。
保護者
え!授業外でもですか?
教室長
イマージョン教育にも幅があって、どこまでを英語にするかが厳密に決められているわけではありませんが、日常生活でも英語を使うことは珍しくありません。その場合、朝の会や終わりの会などでも英語が話されますから、英語を耳にしたり口にしたりする機会は、従来の英語教育とは比べものにならないくらい多くなります。
保護者
それによって、どんなメリットがあるんですか?
教室長
まず英語に対しての反発や抵抗感がなくなります。英語が生活の中に当たり前にあるものとして認識され、英語を学ぶことのハードルはどんどん下がるんです。
保護者
それはいいですね。勉強が嫌だという感覚がなければ、自然と伸びるでしょうから。
発音もよくなりそうですね。
教室長
その通りです。早い段階でネイティブと同じような発音や、そしてリスニング能力も手に入れることができます。
保護者
すごい!短期間で英語がペラペラになれそう!
イマージョン教育の事例
教室長
日本でもいくつかの学校がイマージョン教育を取り入れています。
保護者
あら、そうなんですか。どんなことをしているんでしょうか?
教室長
たとえば、ある公立中学校の話なのですが、体育・音楽・美術などの授業を、すべて英語で行っています。ここには日本語教員もついていますが、主は英語になります。
保護者
へぇ。公立中学校でも、そんなに進んでいる学校があるんですね!
教室長
ええ。どの教科も体や手を動かすチャンスが多いので、楽しみながら英語を学ぶことができます。さらに、学校行事でも積極的に英語を使って行っているようですよ。これにより、早い段階からスピーキング能力の基盤をつくれます。そのほかにも、英語を使う部活動もあるみたいですね。
保護者
そんなところまで!私たちの時代とはずいぶん違いますね。でも、そこまでやっていたら、日本語や日本文化に対する理解が希薄になるんじゃないかって不安になりますけど。
教室長
実はイマージョン教育は、その部分でも大きな役割を果たしているんです。基本的に外国語を使ってコミュニケーションを図るとき、日本語から英語へ変換しなくてはなりません。その中で、日本語の意味について深く考える機会が多くあるはずです。海外の方と話せば伝統文化について質問されることも多いですから、勉強し直したりして、逆に理解を深めることもできるんですよ(※)。
保護者
よく考えられていますね!もちろん英語圏に対しても理解が深まりそうですしね。
教室長
そうですね。外国語を使うということは、英語圏だけじゃなくて多文化、つまり世界を理解するきっかけになります。これからの国際社会で、人種の違う者同士がお互いを深く理解しあうことは、とても大切なことです。言語を学ぶことは、そんな素敵な未来をつくることにもつながるんですよ。
保護者
なるほど。英語能力だけではなくて、国際的な考えも身につくんですね。
保護者
うちの子にも、ぜひそうなってほしいです!将来、進学する学校を選ぶときには、そういうところを選んでみようかしら。
(※)参考:英語イマージョンプログラムとは | 英語教育研究所
http://riele.org/immersion.html