勉強部屋での勉強が向いているのは何年生から?

リビングで勉強する小学生は増加傾向にありますが、ご家庭で勉強する際にリビングが向いているか、勉強部屋が向いているかは、お子さまの年齢や性格によって異なります。

一般的には、小学校の低〜中学年(1〜4年生)は、集中力が続きにくく、1人では勉強しにくいと考えられるため、リビング学習が向いている傾向にあります。

低〜中学年に向いているリビング学習のメリットは、以下のとおりです。

  • 保護者さまが勉強の様子を見守れる
  • 保護者さまがそばにいる安心感がありお子さまが寂しくならない
  • 学校から帰宅後すぐに勉強する習慣が付きやすい
  • 机が広いため教科書を広げやすい

 

ただし、リビング学習は家族の会話やテレビなどの誘惑があり、集中しにくい場合もあります。お子さまがリビングで勉強する時にはテレビを消すなど、家族が協力して勉強に集中しやすい環境を整えましょう。

高学年(5〜6年生)になると1人でも勉強できるため、勉強部屋が欲しいというお子さまも。高学年になると思春期や反抗期が訪れるため、勉強部屋なら家族の目を気にしないで済む点もメリットです。また、勉強部屋の方がより勉強に集中できるといったケースもあります。さまざまな理由で、勉強部屋を検討される方も増えてくるのが小学校高学年の時期です。

ただし、ずっと勉強部屋にこもっていると集中力が切れたり、保護者さまの目が届きにくくなったりしてしまうため、リビング学習と合わせて活用できると良いでしょう。

 

新たに勉強部屋を作る際に必要なもの

勉強部屋を作る際には、以下のようなものを揃えると良いでしょう。

  • お子さまの背丈に合った机や椅子
  • 勉強に適切な室温や湿度の管理
  • 集中力が高まりやすい照明
  • 勉強道具を収納する収納スペース

 

それぞれ、必要な理由などを詳しく解説します。

 

お子さまの背丈に合った机や椅子

勉強部屋には、お子さまの体に合った机と椅子が不可欠です。机は、天板が高すぎず低すぎないものを選びましょう。机の高さが合っていないと姿勢が悪くなり、身体の痛みなどによって集中が妨げられます。

また、机の上に教科書やノート、パソコン、タブレットなどを広げても十分なスペースがあれば、ストレスなく勉強に取り組めるため、幅や奥行きに余裕のある机を選ぶことがおすすめです。

教科書や参考書のみを置くのであれば、幅100cm奥行き60cm程度の机を選びましょう。ただし、パソコンやタブレットなどを使用する場合は、幅・奥行き共に10cm〜20cmほど大きいものを選ぶ必要があります。また、コンセントや充電コードなどが設置されていれば、タブレットなどの充電を気にすることなく勉強できます。

椅子は、座り心地を重視して選ぶことが大切です。固すぎず柔らかすぎず、長時間でも座りやすいものを選ぶと良いでしょう。勉強中の姿勢が気になる場合は、座るだけで正しい姿勢が保てるバランスチェアなどがおすすめです。

なお、お子さまの成長に合わせて高さなどを変えられる机や椅子を選ぶと、長く使えます。天板の高さが調節できるものや、脚の長さを変えられるタイプがおすすめです。

 

勉強に適切な室温や湿度の管理

勉強部屋が暑かったり寒かったりすると、温度に意識が向いてしまい、勉強に集中できない場合があります。そのため、夏場も冬場も快適に過ごせるように、冷暖房などの空調機器を適切に使用し室温や湿度を管理することが重要です。

令和4年4月1日に施行された文部科学省の「学校環境衛生基準」では、室内温度の基準が18℃〜28℃、湿度の基準が30%〜80%とされているため、季節に合わせてこれらの範囲で調整すると良いでしょう。*1

また、適切な室温を保つことで勉強中や就寝中に風邪を引きにくくなる点もメリットです。

 

集中力が高まりやすい照明

暗い部屋では集中力が持続しないうえ、目が疲れやすく勉強には向いていません。勉強部屋では、適度な明るさを確保する必要があります。

デスクライトは、色温度が高いものを選ぶと集中力が続きやすいといわれています。色温度が高いほど、照明の色味は青っぽくなります。昼白色や昼光色など、寒色系のライトを選ぶと良いでしょう。

なお、自然光は、集中力を高める効果が期待できるとされています。自然光の入りやすい場所に勉強机を設置するのも良いでしょう。

また、利き手とは反対側に窓があると、手元にしっかりと光が届くため、快適に勉強できます。手が影になって勉強を妨げないよう、机の位置と光の当たり方を確認してください。

 

勉強道具を収納する収納スペース

ものが多くなりすぎると、気が散る原因になります。勉強に関係のないものは机の上に置かず、すっきりと整頓するよう意識してください。

文房具や辞書、参考書など、勉強に必要なものはいつでも見える場所に置き、勉強に取り組みやすい環境にします。勉強机の近くや目に入りやすい場所に、必要最低限の勉強道具を収納できるスペースを設けましょう。

 

集中しやすい勉強部屋にする工夫

小学生が集中しやすい勉強部屋にするには、以下のような工夫をすると良いでしょう。

  • 壁紙を変える
  • いつも使う文房具などは見える位置に収納する
  • 勉強中に目につかないところに漫画などを収納する
  • 時計やタイマーを見やすい位置に設置する

 

それぞれのポイントを詳しく解説します。

 

壁紙を変える

部屋の雰囲気を変えるなら、手軽に張り替えができる壁紙を利用して、集中力が上がりやすい色に張り替えるのも1つの方法です。

特に、青は集中力が高まる効果があるといわれています。

ただし、部屋全体を青くしてしまうと、冷たい印象の部屋になってしまいます。壁紙を全て変えるのが大変な場合は、部屋の一部分に青を取り入れることがおすすめです。また、淡い青の壁紙なら、部屋の雰囲気をあまり変えずに集中しやすい空間を作れるでしょう。

そのほか、緑にはリラックス効果、オレンジにはやる気向上効果、ベージュには脳を休める効果など、色ごとに効果が異なります。お子さまに必要な効果を見極めて、勉強部屋に取り入れましょう。

 

いつも使う文房具などは見える位置に収納する

前述の通り、鉛筆や消しゴム、定規などの普段から勉強に使用する文房具は、すぐに手に届く場所に置いておくことが大切です。

勉強に欠かせないノートや教科書、辞書なども、離れた位置の本棚やシェルフにしまっていると、勉強を始める際に手間がかかって集中力が途切れたり勉強時間が減ったりする場合があります。いつでも勉強道具が見える場所にあることで、集中しやすくなるでしょう。

 

勉強中に目につかないところに漫画などを収納する

勉強部屋は寝室や遊び部屋としても併用されることが多いです。そのため、漫画やゲーム、スマホなどを目につく場所に置いてしまうことがあります。

勉強する際に、机の上などに漫画やゲームなどが置かれていると集中できなくなります。座ったときに、なるべく勉強に関するものが目に入るように気を付けてレイアウトしましょう。

また、お子さまのやる気を引き出す工夫として、お気に入りの小物(趣味のグッズなど)を置いても良いでしょう。ただし、集中力が散漫にならないように、置く個数は抑えてください。

漫画やゲームなどは、勉強中に目につかないところに収納する必要があります。例えば、リビングの棚などに収納して、勉強部屋には持ち込まないようにしても良いでしょう。

どうしても漫画やゲーム、スマホなどが目に入り集中できない場合は、そもそも漫画やそれらがない空間で勉強するのも1つの方法です。勉強部屋だけでなく、学習塾の自習スペースや図書館なども利用することで、部屋の環境は変えずに、集中して勉強に取り組めます。

 

時計やタイマーを見やすい位置に設置する

勉強する際、学校のように時間を区切って取り組んだ方が、ただやみくもに長時間勉強するよりも集中できます。机の上など目に入りやすい場所に置き時計を設置して、時間を意識できる環境を作りましょう。

スマホでタイマーをかけることも良いですが、スマホはSNSやアプリなど誘惑が多いです。スマホに触る機会があると集中力が続きにくいため、タイマーをかける専用の時計を設置することをおすすめします。

卓上の時計で時間管理をしながら、効率的に勉強しましょう。

 

気持ちを切り替えやすい勉強部屋にする工夫

勉強と休憩の切り替えがしやすくなるのも、勉強部屋を作るメリットです。勉強と休憩の際に気持ちのメリハリをしっかりつけることで、より勉強に集中しやすくなるでしょう。

うまく気持ちが切り替えられないままダラダラと勉強しても、勉強効率が悪くなり、勉強したことが身につきにくくなってしまいます。

勉強と休憩、それぞれに気持ちを切り替えやすい勉強部屋にする工夫は以下のとおりです。

  • 観葉植物などのリラックスできるアイテムを置く
  • 集中力を高める香りを取り入れる

 

それぞれのポイントを詳しく解説します。

 

観葉植物などのリラックスできるアイテムを置く

植物はストレス緩和やリラックス効果が期待できます。*2

大きな植物を置くスペースがない場合は、卓上における小さなサイズの観葉植物がおすすめです。

緑色には目の疲れの回復に効果があるとされています。また、植物を見ることはリラックス効果があるとされているため、卓上に置いておけば、勉強の合間などにも気分転換にもなります。

 

集中力を高める香りを取り入れる

気持ちを切り替えて勉強に取り組むには、勉強部屋の香りも大切なポイントです。不快な匂いを避ける必要があることはもちろん、集中力の向上に効果的な香りを利用すれば、勉強効率を高めることにつながります。

実際に、小学生を対象に行われた研究では、ペパーミントやオレンジの香りが「計算ミスを減少させたり気分をリフレッシュさせたりする可能性がある」という結果が出ています。*3

強すぎる香りは不快に感じる場合もあるため、お子さまの好みも確認して使用してください。アロマディフューザーやアロマスプレーを使うと、手軽に香りを取り入れられます。

 

保護者さまができる勉強部屋で不安を感じにくくする工夫

小学生の場合、1人で勉強部屋にいると不安を覚え、勉強に手がつかなくなる場合があります。ストレスなく勉強に集中してもらうためにも、安心して勉強に取り組める空間が必要です。

不安を感じにくい勉強部屋にするために保護者さまができる工夫を解説します。部屋によってレイアウトが難しい場合もありますが、ぜひ1つでも取り入れてください。

  • ドアが見えるように机を設置する
  • お子さまの様子をたまに確認する

 

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

 

ドアが見えるように机を設置する

ドアが見えていないとお子さまは無意識に不安を感じる場合があります。

そのため、机に座った時に部屋のドアが見えるようにレイアウトを行なうと、不安が薄れ集中しやすい空間になるでしょう。また、勉強部屋のドアを開けておくことでも、お子さまの不安を取り除ける場合があります。

 

お子さまの様子をたまに確認する 

1人で勉強している際に不安を感じるお子さまには、保護者さまがたまに様子を見に行くことで、不安を解消させ安心感を与えることができます。様子を見に行った際に声をかけることも、安心してもらううえで重要です。様子を見に行く頻度は50分程度を目安としてください。

また、勉強部屋の場合、勉強にしっかり取り組んでいるか把握しにくいことがデメリットとして挙げられますが、たまに様子を確認することでお子さまの取り組み状況を把握することができます。

 

さまざまな工夫で勉強しやすい勉強部屋を作ろう!

 

勉強部屋を作る際は、お子さまが集中しやすい空間を意識することが大切です。照明や香り、家具のレイアウトなど、少しの工夫で集中したり気持ちを切り替えやすくなったりする空間になります。

この記事を参考に、お子さまに適した勉強部屋を作ってはいかがでしょうか。なお、やる気を引き出す勉強机の工夫について具体的に知りたい場合は下記記事をご覧ください。
こんな勉強机ならやる気アップ間違いなし!|小・中・高校生の家庭学習

 

リビングで学習も勉強部屋での勉強もそれぞれにメリットがありますが、重要なのは、「そこで勉強モードへ気持ちを切り替えられるかどうか」です。お子さまにより、リビングや勉強部屋で切り替えられるかどうかは異なります。

もし、家庭で、集中できなかったり気持ちの切り替えがうまくいかなかったりする場合は、誘惑がなく勉強へ気持ちが向きやすい、学習塾の自習スペースを利用することがおすすめです。

東京個別指導学院・関西個別指導学院では、通塾生なら無料で使用できる自習スペースをご用意しています(※1)。自習中でも、手の空いている講師がいれば気軽に質問することが可能です。

自習スペース以外にも、習い事と両立させた学習プランをオーダーメイドで作成しています。東京個別指導学院・関西個別指導学院について詳しく知りたい方は、公式サイトをご覧ください。
東京個別指導学院・関西個別指導学院 公式サイト

(※1)自習スペースは、教室によって有無や使用状況・条件が異なります。くわしくはお問い合わせください。

好きから始める、小学生の個別指導

 苦手な単元の復習、中学受験対策、英語学習など、目標や現状に合わせて、1人ひとり専用の学習プランを作成。 ご家庭の教育方針などをヒアリングさせていただきながら、1人ひとりに合った目標達成への対策をご提案します。

詳細をチェックする »

 

参考文献

*1文部科学省「学校環境衛生基準」
https://www.mext.go.jp/content/20220407-mxt_kenshoku-100000613_3.pdf

*2長谷川祥子下村孝(2014)「室内の植物が人間の心身に及ぼす影響に関わる研究の現状と今後の課題」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/39/4/39_552/_pdf

*3公益社団法人日本アロマ環境協会「ペパーミント/オレンジ・スイートの香りが小学生の計算ミスとストレス軽減に寄与」
https://www.aromakankyo.or.jp/basics/literature/new/vol16.php