「子どもに集中力がない」と悩む保護者の方は、少なくないでしょう。集中力があるかどうかで、学習の効果も学習時間も大きく差が出てくるもの。日頃から、集中力を高める工夫をしていきましょう。
目次
勉強に集中できない原因は?
保護者
お子さんは、集中して勉強できる子でしたか?
保護者
そうねぇ。そんなに叱った記憶はないけど。
保護者
うちの子は2人とも集中力がなくて……宿題を始めたと思ったら、もうスマホで遊んでいたりするんですよね。
保護者
そうなると、宿題もなかなか終わらないでしょう?
保護者
そうなんです。ただでさえ部活動中心で成績もあまりよくないし、どうすれば集中して勉強できるのかなって悩んでいて。
教室長
集中力は、トレーニングで高めることができるスキルの1つなんですよ。
保護者
気持ちの問題じゃないんですか?
教室長
もちろん、気分や環境も影響します。勉強中にスマホやマンガが目に入れば、当然気が散りやすいですし。でも、集中力は単なる精神論で片付けられるものではなくて、科学的に捉えて鍛えることができるものなんです。
保護者
へえ、知りませんでした。
まずは身体の基盤をつくろう!
教室長
集中力はトレーニングで高めることができますが、その前に身体の基盤をつくりましょう。
保護者
身体の基盤ですか?
教室長
集中力は脳のトレーニングですから、睡眠や栄養がとても重要なんですよ。
保護者
たとえば、どんなことに気をつければよいでしょうか。
教室長
基本は良質な睡眠とバランスのとれた食事ですが、一度にたくさんのことをするのは難しいですから、最初は「朝日を浴びる」「朝ごはんを食べる」「甘いものをひかえる」ことを目標にしてみましょう。
保護者
朝日を浴びるんですか?
教室長
朝日を浴びると、身体がリセットされて夜きちんと眠くなるというサイクルができてきます(※1)。本当は、1日7時間半程度の睡眠をとりたいところですが、運動部に入っている中学生がたくさん睡眠時間を確保するのは難しいことですからね。部屋をしっかり暗くして眠ると、より効果が高くなります。
保護者
なるほど。朝ごはんはわかりますが、甘いものもよくないのでしょうか。
教室長
どちらもエネルギーになるのですが、砂糖は血糖値を急に上げて短時間で切れてしまうので、集中力を持続させるのには不向きです。しっかり3食を食べて、その栄養で活動するように心掛けることが大切です。
今日からできる集中力アップトレーニング
保護者
集中力を高めるために、簡単にできることはありますか?
教室長
いろいろありますよ。手軽にできるものを紹介しましょう。
保護者
お願いします。
教室長
では、1つ目。今から私の言う言葉を覚えてくださいね。「ウマ」「タヌキ」「キツネ」「ブタ」。
保護者
「ウマ」「タヌキ」「キツネ」「ブタ」。
教室長
では、「ふじのやま」を逆に言ってください。
保護者
ええと…「まやのじふ」?
教室長
では、最初に覚えた4つの動物を言ってください。
保護者
え、あれ? 「ウマ」「キツネ」「ブタ」…意外と難しいですね。
教室長
これは、「ワーキングメモリ」を鍛えるトレーニングです(※2)。脳トレなんかもここを鍛えるようにつくられていますね。適当な数字を覚えたり、数字を逆から言ったりするなど、方法はいろいろあります。ワーキングメモリを鍛えると前頭前野が発達します。前頭前野が発達している人は集中力もコントロールしやすいんですよ(※3)。
保護者
へぇ。
教室長
では、2つ目。次は、後出しじゃんけんをしましょう。私に必ず勝ってくださいね。ジャンケンポン。
保護者
あ、これは簡単。
教室長
では、今度は負けてください。ジャンケンポン。
保護者
あ、こっちの方が難しいですね。
教室長
じゃあ、右手は勝って、左手は負けてください。ジャンケンポン。
保護者
え、あ、これは難しいです。
教室長
勉強の苦手なお子さんは、こういった手や身体を動かすトレーニングがおすすめです。3つ目は、「おまじない」です(※4)。
保護者
おまじないですか?
教室長
いわゆる「ルーティン」と呼ばれる「決まり事」です。毎回同じ決まり事をすることで、それがきっかけになって集中力を高めることができるようになるんです。たとえば、ラグビーの五郎丸歩選手はキックをする前に必ず同じ動作をすることで有名です。そういう、「必ずやること」を決めて学習にとりかかる習慣をつけるんです。
保護者
なんでもいいんですか?
教室長
基本的にはなんでもかまいません。同じ音楽を聴くとか、ハーブティーを飲むとか、ストレッチをするとか。私の知人には、テスト前には「為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり」という有名な言葉を心の中で唱えて、わざと笑顔をつくるという人がいましたね。自己暗示効果もあるいいルーティンです。
保護者
ちょっとおもしろいわね。私もやってみようかしら。
教室長
もちろん大人にも効果はありますから、お子さんだけでなく、家族みんなで一緒にやってみるといいですよ。お父さんやお母さんがやっていれば、お子さんも実践してくれやすくなることでしょう。
参照サイト
(※1)第5回 体内時計を正しく動かして、24時間の健康リズムを
https://www.food.hayashibara.co.jp/library/5/
(※2) Benesse発2010年「子どもの教育を考える」 -特集 – 日本の家庭教育で何がおきているのか ~その変化と課題を追う~
http://berd.benesse.jp/berd/berd2010/feature/feature04/shinohara_02.html
(※3) 脳科学辞典
http://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E
(※4) テストで失敗しないための集中力を高めるコツ(ベネッセ 教育情報サイト)
http://benesse.jp/kyouiku/201506/20150624-9.html