読書感想文は学校の宿題として出されることも多いですが、苦手意識が持たれやすい宿題の1つでもあります。
なぜなら、「どんな本を読むのか」「どんなことを書けばいいのか」「原稿用紙はどう使うのか」など、お子さまにとって難しいと感じる要素が多いためです。
しかし、読書感想文は書き方の手順やコツがわかればぐっと書きやすくもなります。
この記事では、読書感想文の書き方のステップや書くうえでのコツを紹介します。また保護者さま向けに、お子さまが読書感想文をスラスラ書けるようになるためのサポート方法と注意点についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
読書感想文が簡単に書ける2つのコツ
苦手意識を持ちやすい読書感想文を、簡単に書くためのコツを大きく2つにわけて紹介します。
読書感想文に書く「要素」を押さえる
読書感想文を意識して本を読んでみたものの、「なにを書いたらいいかわからない」と思う方も多いでしょう。まずは、読書感想文に書くべき4つの要素を押さえます。
①どんな本を読んだか
②本を読んで新しく知ったこと
③本を読んで心が動いたこと
④本を読んだ後の自分の意見(本を読んで考えたこと・思ったこと)
シンプルですが、大まかにこの流れに沿って書いていけば、まとまりのある文章になります。
また、「自分がどう感じたか・考えたか」「本で学んだことをどのように生活に活かすか」といった自分の意見は、読書感想文のなかでも大切な要素です。
読書感想文の「構成」を押さえる
読書感想文を書く際は、構成を意識するとまとまりのある文章を書くことができます。お子さまが「どのように書けばいいのかわからない」と悩む原因は、文章の構成がよく理解できていないためです。
文章の構成方法には、「つかみ・なか・まとめ」や「起承転結」などがあります。これらの各段落の分量や内容を意識することで、より読みやすい読書感想文になります。
書き出す前に知っておきたい!読書感想文の基本的な書き方
2つのコツについて理解したうえで、読書感想文を書き出す前に知っておきたい、基本的な書き方を次の項目で詳しく見ていきましょう。
ステップ1:伝えたいこと・書きたいことを考える
読書感想文は、内容を考える前にいきなり原稿用紙に書き始めても、上手くまとまりません。「その本を読んで伝えたいことはなにか」を明確にしながら、まずは大まかな構成を考えましょう。
例えば「主人公の行動やその結果を、自分の経験と照らし合わせて伝えたい」「主人公の挑戦や勇気ある行動に感動したことを伝えたい」などが挙げられます。
本を読むときに、感動した部分に線を引いたり、そのときの自分の考えなどを一緒にメモしたりすると良いでしょう。
ステップ2:文章の構成を考える
読書感想文の構成は、先述したように「はじめ・なか・おわり」の3部構成、または「起承転結」という4部構成で考えましょう。
「はじめ・なか・おわり」「起承転結」それぞれの構成について、次の項目で詳しく紹介します。
はじめ・なか・おわりの3部構成の場合
「はじめ・なか・おわり」という3部構成を意識すると、まとまりのある読書感想文になります。
3部構成で読書感想文を書く際の書き方の例は、以下のとおりです。
①はじめ:本のあらすじや選んだ理由をまとめる
その本のあらすじや選んだ理由とともに、読んでいくなかで最も印象に残った主人公の行動や心を動かされた場面などを簡単に挙げていきます。
②なか:新しく学んだことや印象に残った理由、心を動かされた理由を詳しくまとめる
「どのようなことを知ったか」「なぜ印象に残ったのか」「なぜ心を動かされたのか」など、その内容や理由を詳しくまとめます。
「自分だったらどうするか」「同じ体験をしたことはないか」など自分と結びつけて考えてみましょう。
③おわり:本をとおして考えたことや学んだことをまとめる
「本を読んでどんなことを考えたか」「自分の考えが本を読んで変わったか」など、自分の考えや意見を簡単にまとめます。
本で学んだことをこれからの生活にどう活かしていきたいかをまとめてもいいでしょう。
起承転結の4部構成の場合
「起承転結」という4部構成を意識して書くと、書きやすく、読みやすくなります。なんとなく書き始めるのではなく、大まかな骨組みを決めてから全体を整理しましょう。
4部構成で読書感想文を書く際の、書き方の例を紹介します。
①起:その本を選んだ理由やきっかけ
書き始めにはその本を選んだ理由やきっかけ、背景を書きます。なぜその本に興味を持ったのか、純粋な気持ちや思いを伝えましょう。
例として「自分の身近なこととつながりがあった」「タイトルに興味を持った」「表紙の絵に惹かれた」などが挙げられます。
②承:本の内容と印象に残った部分を簡単にまとめる
本のあらすじをまとめます。本に貼ったメモをもとに、印象に残ったシーンや心に残ったこと、ストーリーの重要な部分などをストーリーの順番に沿っていくつか挙げていきます。
「本の紹介」ではなく「読書感想文」なので、あらすじばかりが長くならないように注意しましょう。
③転:本を読んだ感想
承で紹介したあらすじと、印象に残ったシーンを受けて、考えや思いをまとめます。
主人公の気持ちになって、共感したことや、反対に「自分だったらこうする」と意見を添えてもいいでしょう。
④結:まとめる
最後に本を読んだ自分の感想をまとめます。
本を読んだあとの気持ちの変化や印象の違いなどを、起の「この本を選んだ理由やきっかけ」と比べるのも良いです。
本で学んだことを今後にどう活かしたいかまとめましょう。
ステップ3.書き終わった読書感想文を見直す
読書感想文は完成しただけで満足せず、もう一度読み直すことが大切です。
文章の内容を確かめる以外にも、原稿用紙の使い方で間違えている部分や、誤字脱字などを確認する意味もあります。
内容を見直すときは、変な表現やわかりにくい表現になっている部分がないか確かめましょう。
わかりにくい言葉遣いや言い回し、表現をしていると、読み手に理解されにくくなります。その本を読んでいない人にもストーリーが伝わるかを意識することが重要です。
完成した読書感想文を、改めて声に出して読んでみるのもおすすめです。文章の違和感や間違いなどにも気付きやすくなります。
読書感想文を書くときに気を付けたいこと
読書感想文を書くうえで、最低限守りたいルールや注意点があります。文章をより良くするために、注意したい項目を以下で紹介します。
文体を揃える
文の終わりは「です・ます」や「である・だ」となることが一般的です。文体がバラバラだと読みにくくなり、考えや意見が伝わりにくくなります。全体を通して、文体を統一することが大切です。
また、話し言葉にならないように注意しましょう。話し言葉とは、普段の生活で会話をするときに使う言葉です。
会話で使用する言葉と作文や文章で使用する言葉には違いがあります。作文で話し言葉を使用すると、読み手にうまく伝わらない場合があるので使わないようにしましょう。
いきなり原稿用紙に書かない
読書感想文をいきなり原稿用紙に書くことはおすすめできません。始めから原稿用紙に書くと、間違えたときや文章を変更したいときなどに、書き直しとなってしまいます。
そのため、下書きをして文章がまとまってから清書することがおすすめです。
原稿用紙の使い方を間違えないようにする
いくら内容の質が高い読書感想文であっても、原稿用紙の使い方が間違っていると評価は下がってしまいます。
読み手からの印象が変わってしまうこともあるため、正しい原稿用紙の使い方を知っておくことも大切です。
原稿用紙の正しい使い方には、例えば以下のようなルールがあります。
①タイトルは3マス空けてから書き始める
②書き出しは1マス空ける
③自分の名前は、名字と名前の間は1マス空ける
④段落が変わるときは改行をし、書き始めは1マス空ける
⑤「、」「。」などの句読点や「『』」は1マスずつ使う
読書感想文を書きやすくする、本を読むときのポイント
なにも考えずに本を読んでから読書感想文を書こうと思っても、なかなか上手く書けません。
ただ読んだだけでは、本の内容やポイントとなる部分を理解するのは難しいです。読み終わったあとに覚えていないこともあるでしょう。
以下の項目では、読書感想文のために本を読むときのポイントを、3つ紹介します。
本を読む前後の印象をメモしておく
まずは、タイトルなどを参考に本を読む前の印象をメモしておくと、読んだあとの気持ちの変化がわかりやすくなります。本を読んだあとでは印象が異なるので、忘れずにメモを取りましょう。
また、本を読んだあとの印象もメモで残しておきます。2つを比較すると、自分の心境の変化や学んだこと、感じたことがわかりやすくなります。
このときに「本からどんなことを学んだのか」「作者の伝えたいことはなにか」を考えることが重要です。
メモを取りながら読む
本の内容をすべて覚えておくのは難しいです。登場人物の名前や性格、物語のなかで重要な部分などは、メモを取りながら読み進めましょう。
このとき5W1H(いつ、どこで、だれが、なにを、どのように)を意識してメモを取ると、あとで見直しやすく情報も伝わりやすくなります。
各章ごとに1~2文ずつ、あらすじをまとめておくのもいいでしょう。
感じたことや思ったことをふせんに書いて貼っておく
読んでいて心に残ったシーンをまとめておくと、感想もまとまりやすくなります。感動した部分や悲しい部分、嬉しいと感じた部分など、感情も一緒にメモしておくといいでしょう。
ふせんを使って、直接本に貼り付けておくと見直しやすくなります。なるべく多く書き留めることがおすすめです。
この段階では、実際の読書感想文のように上手くまとまっている必要はありません。思ったことをそのまま書きましょう。
読書感想文をスラスラ書けるようにするためのサポート方法
お子さまが読書感想文に苦戦しているときに、どんな声掛けをしたらいいか悩んでしまう保護者さまもいるでしょう。
読書感想文をスラスラ書けるようにするためのコツやサポート方法を、2つ紹介します。
親子で本の感想を言い合いながら取り組む
まずは保護者さまも本を読み、お子さまと一緒に感想を言い合いましょう。
例えば「この本はどんな人が主人公なの?」「どんなところが印象的だった?」「自分だったらどうしたいと思った?」といった声がけは、お子さまの感想を引き出しやすくなります。
シンプルな声がけをもとに、本の内容に合わせてアレンジした声がけも混じえると良いです。お互いに感想を言い合いながら取り組むと、読書感想文で書く材料が揃いやすくなります。
質問して感想の深掘りをしてみる
次に、お子さまから出た感想をより深掘りする質問を投げかけ、お子さまの感想や意見を引き出します。
このとき、お子さまがふせんを貼った部分やメモを取っている部分に着目し、より深掘りできるような質問をしましょう。
読書感想文を親がサポートするときの注意点
かえってお子さまのやる気を損ねてしまわないために、以下の点に注意しましょう。
お子さまの意見を否定しない
読書感想文を書くお子さまのサポートをするときは、たとえ違うと思っていても否定をしないことが大切です。
なぜなら、お子さまによっては「大人が求めている正しい答え」を考えるようになり、「自分の考えや意見」を口にしなくなってしまう恐れがあるためです。
お子さまに自由な発想をさせるためにも、意見を否定してはいけません。その考えや意見に至った過程を認め、深掘りをしましょう。
口を出しすぎない
口を出しすぎず、お子さまの意見が出るまで辛抱強く見守る姿勢も大切です。
お子さまの感想や意見が出たらどんなことでも興味を持って聞き、「それはどうして?」「おもしろい考えだね!」と対話を楽しみましょう。
すると、お子さまが自信を持って自分の意見を言えるようになります。
もう読書感想文で悩まない!コツを取り入れ、スラスラ書こう
苦手意識を持ちやすい読書感想文も、書き方の基本ステップやコツがわかると書きやすくなるでしょう。
読書感想文は、読書の楽しさを知り語彙力を培うだけでなく、考察力や表現力を伸ばす効果も期待できます。
宿題に出されやすい読書感想文ですが、スラスラ書けるように保護者さまも適切な声掛けを意識して、苦手意識を持たないようにサポートしましょう。
作文を含め、お子さまの書く力などを伸ばすヒントについてさらに詳しく知りたい方は、下記記事もご覧ください。
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