小学生から社会人まで幅広い世代で必要なスキルとして注目を浴びている思考力。中学生が論理的な思考力をつけるためにできることにはなにがあるのでしょうか。今回は、中学生が日常生活のなかで思考力をつける方法についてご紹介しましょう。
目次
思考力が高いってどういうこと?
保護者
思考力って具体的にどういう力を指すんですか?インターネットの記事で、中高生の思考力について書かれてあるのを読んで気になっているんです。
保護者
一般的にいうと、思考力っていうのは筋道を立てて考える力ね。合ってますよね、教室長?
教室長
そうですね。思考力という言葉からイメージされるものはたくさんあるのですが、文部科学省が現行の学習指導要領で重視している「思考力・判断力・表現力」の1つでもあります。特に論理的な思考力と言われることもありますね。
保護者
思考力・判断力・表現力ですか。それぞれどういう違いがあるんですか?
教室長
思考力・判断力・表現力がどのようなものかは、問題解決のプロセスで考えるとわかりやすいですよ。たとえば問題解決の最初の段階はなんだと思いますか?
保護者
「問題の発見」かしら。
教室長
そのとおりです。問題を発見するには、まず問題の核心がどこにあるかを明らかにするために、情報を取捨選択する必要があります。これは判断力が必要とされるプロセスですね。次にこの取捨選択した情報を抽出したり、問題を問題として理解したりする必要があります。その際に使われるのが思考力です。
保護者
ちょっとずつ違うのね。
教室長
ここでは思考力に話をしぼりましょう。問題解決の次の段階「解決方法の模索」では思考力はどのように生かされるのかというと、1つは仮説を形成することです。「こういう解決方法を試したらどういう結果が出るかな」ということを予想できないと、適切な解決方法を実行できませんよね。
保護者
思考力があるということは、適切に仮説を立てられることも意味するんですね。
教室長
もう1つは問題解決のために必要な知識と技能の獲得・活用です。たとえば数学でわからない問題に出会ったとき、知識として公式を、技能としてその使い方を獲得する必要がありますよね。そしてさらにそれらを活用して問題を解決することになります。このプロセスでは思考力が使われているといえますよ。
保護者
だんだんイメージがわいてきました。
教室長
さらに問題解決の最後の段階「結果の振り返り」においても思考力は使われます。問題解決したことによって新しい知識が発見されますよね。この発見を知識として身につけるためには思考力が必要だといえます。
保護者
よく言われる「問題解決能力が高い」ということと「思考力がある」ということは密接に結びついているのね。
教室長
まさにそうですね。思考力は解決していくことと深い関わりがあります。もちろん、思考力・判断力・表現力がバランスよく備わっていることも、問題解決能力の高さにつながるということも言えると思います。
思考力がついていることのメリット/低下することによるデメリット
保護者
思考力が高いことによるメリットについて詳しくお聞きたいです。
教室長
さきほどの話ともつながりますが、大きなメリットとして、問題解決プロセスをスムーズに進められることが挙げられます。
保護者
中学生で問題解決っていうと、たとえばわからない問題が出てきたときの解決方法を考えればよいのかしら。
教室長
そうですね。まず「問題発見」の段階を考えましょう。ここでは課題を課題として認識することが必要ですよね。たとえば問題演習をしているときに間違えた問題があったとします。その際に思考力が高いと「どこでつまずいたのか」「間違えた原因はなにか」を適切に抽出できます。
保護者
確かに、つまずいた原因がわからないと解決できるものもできないわよね。
教室長
次に「解決方法の模索」の段階です。思考力が高いと、教科書やノートを見直して、自分の力で必要な知識と技能をインプットできます。
保護者
人に教えてもらうのではなく、自分で解決に必要な道具を探し出せるというところがポイントですね。
教室長
最後は「結果の振り返り」の段階です。思考力が高いと、「このタイプの問題はこういう解法で解けばよいんだ」といった解法のパターンを身につけられます。次に似たような問題が出たときにはスムーズに解決できるようになりますよ。
保護者
理想的な勉強のスタイルですね!
保護者
こうして見ると、思考力を生かした勉強は「主体的な勉強」とも言えそうね。
保護者
逆に思考力が低いとどういうデメリットがあるんでしょうか。
教室長
さきほどの話の裏返しですが、勉強が受け身になってしまうデメリットがあるということはないでしょうか。受動的な勉強だと、同じ間違いを繰り返しやすくなるところが問題です。まず「問題発見」がうまくできないため、「自分がなぜ間違えたのか」を考えないままになってしまいます。
保護者
うちの子、そうかもしれないわ。耳が痛いです。
教室長
次に「解決方法の模索」が自分でできないと、知識や技能が自分のものとしてなかなか定着しません。
保護者
人に教えられても、主体性がないと自分のものとして消化できないですよね。
教室長
最後に、たとえ問題解決ができても、「結果の振り返り」として解法のパターンを身につけられないため、同じような問題が出てきたときに、また問題解決のプロセスを最初から踏まなければいけなくなってしまいます。
保護者
思考力がきちんと生かせないと、勉強の効率がわるくなってしまうともいえるわね。
保護者
中学生のうちから思考力をしっかり身につけておきたいですね。
必見!中学生が思考力をつける方法
保護者
中学生が思考力をつけるためには、なにができるんでしょうか?
教室長
思考力は筋肉のように日頃から鍛えていくことでつくものだと言われます。さきほどの問題演習の例のように主体的な勉強をする習慣をつけるようにしてもよいですし、たとえば保護者と一緒にテレビを見ながらでも思考力を鍛える訓練はできるんですよ。
保護者
その方法、気になります!具体的にはどうすればよいんでしょうか?
教室長
まずは「問題発見」の訓練ですね。たとえば家族でニュースを見ていて、痛ましい紛争のニュースが流れてきたとします。その際、ただ映像を目で追うだけでなく、「どうしてこの問題が起こったんだろう」「政治や歴史、経済、文化、なにが関わっているんだろう」と考えるようにしてみてはいかがでしょうか。
保護者
なるほど、確かによい頭の体操になりそうだわ。
教室長
最初はお子さんだけで問題を発見するのは難しいかもしれませんので、保護者の方から質問を投げかけてみるとよいと思いますよ。
保護者
次は「解決方法の模索」段階ですよね。
教室長
そのとおりです。さきほどのニュースの例で言えば、その紛争が起こっている地域の問題について、図書館に行ったり、インターネットで調べたりして、お子さん自身で調べるようにするとよいでしょう。
保護者
最後は「結果の振り返り」ですね。
教室長
似たようなニュースを再び見たときなどに、「ニュースの解説」をしてもらうとよいと思いますよ。もしわかりづらいところがあったら率直に突っ込んで質問しましょう。新たな問題発見につながりますよ。
保護者
ずいぶん鍛えられそうですね。
保護者
うちの子ともさっそく訓練してみようと思います!
※参考URL
文部科学省「思考力・判断力・表現力等」についての整理のイメージ
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/056/siryo/
__icsFiles/afieldfile/2015/10/29/1363262_11.pdf