かつて相対評価でつけられていた内申点ですが、平成14年度から小学校・中学校のすべての学年で絶対評価でつけられるようになり、現在の学習指導要領(※)にも引き継がれています。今回は中学生の内申点アップのために気をつけたいポイントについてご紹介したいと思います。
目次
絶対評価では、成績が甘くつきやすくなっている
保護者
先日、息子の内申点を見て「もう少しアップしないかしら…」と思ったんですけれど、確か私たちのころとは、成績のつけ方が変わったんですよね?
教室長
そうなんです。学校教育の中で、内申点は相対評価から絶対評価へと評価の方法が移行したのです。相対評価は学校という集団の中で、どの順位に位置しているかを表す集団準拠の評価であるのに対して、絶対評価は教育目標に対する達成の度合いでみる目標準拠の評価という意味です。いきなり相対評価から絶対評価に移行したのではなく、相対評価の中に絶対評価の考え方を取り入れるなどのさまざまな試行錯誤を経て、段階的に移行していたのですが、平成14年度以降は小学校・中学校のすべての学年において成績は絶対評価の考え方でつけられています。
保護者
なんだか難しいです。もっと簡単に言うと、どういうことでしょうか。
教室長
学校内の生徒さんと比較して決める相対評価から、個人の成績や生活態度を総合評価する絶対評価に変わったということになります。以前の相対評価であれば学力のレベル評価で、クラスごとに5段階評価の各人数が決まっていました。そのため、クラスで上位の数名は確実に5が取れていて、生活面の評価は学力の総合評価である内申点に加味されるだけでした。現在の絶対評価では、学力と生活面との総合で評価されています。
保護者
よりいっそう生活面も大切になったんですね。
教室長
おっしゃるとおりですね。絶対評価では、提出物、毎日の授業での生徒さんの関心度、意欲、態度を点数化することが義務づけられていますから、テストの点数が悪くても挽回する余地があると言えます。実際に、相対評価から絶対評価に移行してから、「オール3」が取りやすくなったと言われています。ですから、逆にいえば、「オール3」だから安心というわけでもないのです。
甘くつきやすい評価だからこそ気をつけたいポイント
保護者
「オール3」の話も重要ですが、内申点をつける際に生活面も考慮されるという点が見逃せないわね。テストの点がよくても、忘れ物が多かったり、提出物が遅れたりすることが成績にも影響されると聞いたので、よくチェックするようにしているわ。
保護者
うちの子は大丈夫かしら。忘れ物がないか、提出物は出せているか、成績表と併せてもう一度よく確認してみないと。
教室長
やはり授業態度が意欲的でなかったりすると高評価が得られない評価方法になっています。ですから提出物はお子さんの意欲を計る格好のポイントとなるわけで、大切にしたいところですね。提出物や忘れ物については、成績を底上げするために気をつけたいポイントと言えるでしょう。
保護者
期限を守る、遅刻をしないといった当然といわれる部分については、守れていないと逆に評価が下がりやすいということですね。
教室長
そうですね。絶対評価に移行した背景には、集団のなかで他者と比較するのではなく、生徒さんたちに、確かな学力に加え、より豊かな人間性や健康や体力などを育んでもらう目的がありました。勉強以外の面も含めて、ほかの生徒さんができているところにマイナスポイントがあるのはもったいないことです。
評価アップに欠かせないのは親子のコミュニケーション
保護者
ふだんの成績表では、目標達成への努力が重要ということですね。ちなみに、受験にはどのように影響してきますか?
教室長
受験の場合は学力だけの評価ではない分、逆に内申点で差をつけるという判断がつきにくくなります。その分入学試験の結果が重視されるので、学力の不安を内申点で補えるかもしれないという期待はあまりしないほうがよいでしょう。学力アップが受験の要であることに変わりはないので、勉強面での努力はもちろん、せっかく底上げできている内申点を下げない努力が必要だといえますね。
保護者
できているからこそ、気を抜かないことが大切ということですね。
保護者
中学生だから自分のことは自分でやってほしいという気持ちもあるけど、提出物や宿題についてちょっと気にかけてあげるのも大切かもしれないわね。
教室長
思春期の中学生時代は保護者にとっても、本人にとっても難しい時期だけど、日ごろから保護者が自分のことを気にかけてくれている姿は、受験の際お子さんの励みになると思います。
保護者とお子さん、そして学校とのコミュニケーションも受験の要になっていきます。成績表は受験の合否にかかわる大切なものなので、なにか疑問があったら、学校の先生に質問してみてください。
保護者
成績表をもらってきたら、家庭でも改善できるところがないか再確認するようにしてみますね。保護者としてもっとうちの子の伸ばせるところを見つけて、生活面や精神面で協力してあげられることがないか考えてみたいと思います。
※この記事は2017年3月時点の事実に基づいて制作しています。