子どもたちの活字離れが叫ばれています。活字に触れる機会として新聞はとてもいいアイテムです。どんなタイミングで、どんな新聞を選ぶといいのでしょうか。新聞を使った学習法も紹介します。
目次
子どもに新聞を読ませるといい5つのメリット
保護者
お子さんに新聞を読ませていますか?
保護者
うちの子は運動部なので、スポーツの記事は時々読んでいるわね。
保護者
うちは全然。たまに四コマ漫画を見ているくらいかしら。
保護者
うちもそうです。やっぱり中学生だと大人の新聞は難しいでしょうか。子ども新聞を読ませたほうがいいかなと考えています。どう思いますか?
教室長
子どもに新聞を読ませるのは、私は大賛成ですね。なぜなら、新聞には教育的なメリットがたくさんあるからです。あとで詳しく述べたいと思いますが、NIE(Newpaper in Educationエヌ・アイ・イー)といって、教育の場に新聞を取り入れる試みは世界的にも広く試みられています。
保護者
子どもにとって新聞を読むメリットって、なんでしょうか?
教室長
ざっと5つあります。1つは、社会の仕組みがわかることです。自分の身のまわりで起こっている問題に関心を持つことができたり、社会と自分とのつながりを考えられるようになったりします。
保護者
社会的な視点や知識は、大人になるにつれて大事になってきますね。
教室長
2つ目は、漢字力・読解力・論理的な思考が身につくことです。日常的にたくさんの文字や文章に触れることで、語彙力がつきます。新聞の見出しで、要約する力も伸びますよ。さらに、順序だてて説明したり、わかりやすく相手に伝えたり、客観的な視点で考えたりができるようになります。
保護者
確かに新聞をよく読む子は、言葉をよく知っているし、漢字にも強い印象があります。
教室長
3つ目は、まとまった長さの文章を読む習慣ができることです。ある程度の長さのある文章を読むことで、集中力が鍛えられます。コラムなどは、1つひとつの記事が数分で読める、ちょうどいい長さになっています。
保護者
なるほど。大学入試でも「天声人語」などの新聞コラムからよく出題されますね。
教室長
子ども新聞は、どの記事も長くないので、お子さんでも読みやすいですよ。
4つ目は、幅広い知識や情報が得られることです。新聞には社会、経済、時事、芸能などいろいろな話題が幅広くのっています。興味のない話題も目に入るので、まんべんなく知識や情報を得ることができます。
保護者
家族や友だちと話すときの話題も増えますね。
教室長
そうですね。
5つ目は、受験の時事問題対策になることです。特に国語、グラフや表の読み取り、社会科の勉強になります。毎日すこしずつでも新聞を読むことに挑戦しておけば、そういった分野の問題への抵抗も少なくなっていくでしょう。
いつ、どんな新聞を与えればいい?
保護者
受験対策にもなるなら、うちも新聞を読ませようかしら。
教室長
でしたら、子ども向けの新聞がおすすめですよ。全国紙では、朝日新聞社の「朝日小学生新聞」、読売新聞社の「読売KODOMO新聞」、毎日新聞社の「毎日小学生新聞」の3つがあります。地方紙でも発行されています。
保護者
大人の新聞と、どういう点が違うのですか?
教室長
第一に、説明がわかりやすいです。大人の新聞だと、さまざまな情報を説明するにしても、テレビのニュース番組で取り上げられるような予備知識を前提とする場合が多くあります。その点、子ども新聞では簡単な言葉を使ったり、欄外に注釈を入れたり、漢字にふりがなが振ってあったりしているので、小中学生でも親しみやすいと思います。なかには、イラストや図解をたくさん入れている新聞もありますよ。また、受験向けに漢字の成り立ちやことわざ、古典などが紹介されるコーナーが連載されている場合もあります。
保護者
自然と勉強になる新聞は助かりますね。
教室長
ほかにも、友だち関係の悩みや将来のことなど、読者投稿のコーナーもあります。大人には話しにくいことでも、同じ小学生の体験談を通して、悩みがやわらいだり、参考になったりすることもあると思います。
保護者
それ、わかります!私自身も新聞の投稿欄で同じ悩みを見つけてはげまされたり、親子の話にほっこりしたりすることがよくあります。
保護者
子ども新聞は何歳くらいから読めるものなのでしょうか。
教室長
小学生新聞は、小学3年生以上に向けてつくられています。各社で特色があって、写真や絵の多い新聞もあります。そういうものなら、3年生から読めるでしょう。文字を読むのに慣れてきたら、活字の多い新聞に切り換えてもいいでしょう。
保護者
日刊や週刊などありますよね。どれがおすすめですか?
教室長
日刊は、本や活字に慣れているお子さんにすすめます。同じニュースでも、テレビで見るのと、新聞で読むのとでは違った印象を受けることがあると思います。書き手やメディアの違い・特性について、気づくきっかけになるかもしれません。また、日刊新聞は1つのニュースが時々刻々と変化するのを追って読むことができます。そうした体験は生きたメディア教育になるはずです。
保護者
日々の世のなかの動きやトピックがわかるのは、やっぱり日刊ですよね。でも、うちの子にはハードルが高いかもしれません。
教室長
それなら、週刊はどうでしょう。毎日読む習慣がついていないけれども、これから習慣化していきたいというお子さんには、ちょうどいいと思いますよ。1週間のできごとがまとめてわかります。
保護者
一度、本屋で見てみます。
教室長
子ども新聞を買うほどではないという場合、毎年秋に発売される中学受験・高校受験用の『時事用語集』を利用する手もあります。世界と日本の最新ニュースがわかるので、効率的に時事を学べます。あと、わかりやすくニュースを概説した本などを読むのもいいですね。
保護者
読み始めるタイミングは、何歳ごろがいいですか。
教室長
本人が興味を持ったときが一番です。小学1年生でもかまいませんが、一般的には小学3~4年生以上のほうが取り組みやすいかもしれません。最初は見出しや、四コマ漫画や写真を見ているだけかもしれないです。それでも、新聞を手にとって「読む」という習慣ができるのはいいことです。そのうち、中身も読むようになっていきますから。
保護者
まず新聞に親しむというのが大事なのですね。
教室長
はい。ちなみに、新聞をよく読む児童ほど、国語・算数の成績が高くなるという調査結果(文部科学省「平成28年度全国学力・学習状況調査」調査結果)があります。中学3年生の国語Aでは、「ほぼ毎日読む」と回答した児童の正答率が80.3%で、「読まない」と回答した児童は74.7%でした。中学3年生の数学Aでも、「ほぼ毎日」読む児童は「読まない」児童より、正答率が8.7ポイントも高かったとのことです。
新聞を使った新しい学習法・活用法
教室長
せっかくなので、新聞を使った学習法を紹介しましょうか。アメリカやフランス、ノルウェーなど、NIE(Newpaper in Educationエヌ・アイ・イー)の取り組みがさかんな国では、新聞記者が学校で記事の書き方を教えたり、教員が学校で新聞を教材として活用するためのさまざまなノウハウが形成されています。
保護者
ぜひお願いします!
教室長
では、いくつか代表的なものを紹介しましょう。
①新しく知った言葉をノートに書き出す。
そうすることで、語彙力アップにつながります。気に入った言葉や新しく覚えた言葉を使って文章を書いてみると、身になります。
②気になったニュースをスクラップする。
記事についての自分の考えを書いたり、関連情報を追加したりなどすると、文章力や判断力などが高まります。ノートに記事を貼るだけでも、ためになると思います。
保護者
言葉や記事を収集するだけではなくて、実際に使ったり、考えたりすることが大事なのですね。
教室長
そのとおりです。次に、③数字を考える。
物価や税金、日本の人口、平均寿命など、新聞にはたくさん数字が出てきます。世界的に見て日本の寿命が長いのはなぜか、日本の人口が減っていくとどうなるかなど、数字を通してさまざまなことを考えてみましょう。
保護者
確かに新聞には数字がいっぱいです。税金が上がるニュースを見かけると、私などは「え~」と文句だけ言って終わりにしてしまうことが多いです。
保護者
私もです。でもそこで一歩踏み込んで、「なぜ税金を上げる必要があるのか」など着眼点を変えると、少子高齢化問題などいろいろなことが見えてきそうですね。
教室長
とてもいい気づきですね。
では次は、④自分新聞をつくる。
1年間を振り返って、印象に残っている3大ニュースをランキングしたり、家族旅行の思い出を写真と共に記事にしたり、反省とこれからの目標を書いたりなどしてみると、まとめる力が付きます。
保護者
夏休みの自由研究にもなりそうね。
教室長
最後に、⑤親子で一緒に新聞を読む。
子ども新聞は大人にとっても、ちょっとした読み物になります。子どもと同じ話題を共有することで会話が増える効果もありますよ。
保護者
新聞っていいものだと、あらためて思いました。私も毎日ちゃんと目を通してみます!
教室長
それはいいことですね。ドイツの哲学者ヘーゲルの言葉で、「新聞を読むことは近代人の朝の祈りである」というのがあります。一日のスタートに新聞がある生活というのは、つねに真摯に社会と向き合う知的で学び豊かな生活だと私は思います。
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