「勉強を教える」ということは、簡単なことではありません。言いたいことはあるのに、うまく伝わらなかったり、教えたはずのことができていなかったりすると、ついイライラしてしまうもの。しかし、教える側には教える側のコツがあります。今回はその一例をご紹介します。
目次
「自信をつける」ところまで教える
保護者
お子さんにいつまで勉強を教えてました?
保護者
そうねぇ、だいたい小学生くらいまでだったかしら。中学生になってからはなかなか難しくなって、塾に入れちゃったわね。
保護者
そうかぁ、そうですよね。私も勉強を教えるのがあまり得意じゃなくて。
保護者
教室長は勉強教えるの、得意でした?
教室長
どうでしょうか。得意かどうかはわかりませんが、好きではありましたね。
保護者
すごいなぁ、何かコツってありますか?
教室長
そうですねぇ…。ちなみに、勉強を教えるということのゴールは、どこにあると思いますか?
保護者
えっ、ゴールですか?そう言われると、あまり考えたことがなかったですが…。うーん、その内容がわかるようになるとかですかね?
教室長
そうですね、わかるようになる、つまり理解することはとても大切です。ただ私は、その先にさらに2つのステップがあると考えているんです。
保護者
2つのステップですか?
教室長
えぇ。まず「わかる」のあとに「できる」というステップがあります。理解したうえで、それを実践できるようにする必要があると思うんです。
保護者
あー、それは何となくわかるわ。「わかる」ということと「できる」ということは必ずしも一致しないのよね。私も参考書を読んでわかったはずなのに、いざ問題を解いてみると、正解できないということってあったような。
保護者
確かに、そのために練習問題をたくさん解くんですものね。
教室長
そうですね。言ってみれば、「わかる」ということは知識のインプットです。でもその知識をテスト本番でアウトプットできなければ意味がありません。きちんと知識が使いこなせるようになって初めて「できる」ということになります。
保護者
じゃあ、その先にあるものってなんですか?
教室長
「できる」の次のステップにあるのが、「自信がつく」ということです。
保護者
「自信がつく」ですか!
保護者
はー、なるほど。自分にもできるって思えれば、積極的に勉強してくれるようになるものね。
教室長
そうなんです。「できる」ようになると、もっと勉強したい、もっと解けるようになりたいという気持ちが出てきて、新しいチャレンジができるようになるんです。ですから、私が勉強を教える時は、「すごい!この調子でもっとがんばろう」などと声をかけて、必ず「自信がつく」というところまで教えるようにしていましたね。
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勉強を教える際に「やってはいけないこと」
教室長
子どもに勉強を教える際には、いくつかの「やってはいけないこと」があります。
保護者
やってはいけないことですか?
教室長
はい。まずは、子どもが問題を解いている過程でミスに気がついた時に、すぐに指摘してしまうということですね。
保護者
あー、ついやっちゃうのよね。身に覚えがあるわ。計算しているところを見ていて「ほら、そこ間違えてる!」なんて指摘しちゃうのよね。
教室長
そうなんです。でもそうすると子どもの勉強に対する集中力が途切れてしまうので、集中して問題を解いている間は、静かに見守ってあげることが大切ですね。
保護者
確かにそうですよね。間違えているところをその場で指摘されたら、大人だっていい気分にはならないですし。
教室長
えぇ、そうですね。あとは間違えた際に、何を間違えたのかを自分で気づかせていくことこそ、「わかる」というステップの過程とも言えるので、間違えたポイントというのはすごく大切な勉強の機会なんですよ。
保護者
あー、そうか。その場ですぐ間違えていることを伝えても、子どものためにならないんですね。
教室長
はい、私はそう思います。自分で解くことができた、というのが「自信がつく」上では何より重要なので、何を間違えているのかも、できる限り自分で発見できるようにしてあげた方がいいのではないかと。
保護者
確かにそうよね。つい指摘したくなっちゃうんだけど、そこは我慢が必要ということね。
教室長
えぇ、そうですね。あとは、ゴールが「自信がつく」ことですから、子どもの自信を失わせるようなことは極力避けた方がいいですね。
保護者
自信を失わせるようなこと、というと?
教室長
たとえば、「お兄ちゃんはこれくらいすぐ解けたよ」なんていう比較とか、「また間違っている」とか「何度言ったらわかるの」というような否定などは、自信を失わせやすい言葉じゃないかと思います。
保護者
うわー、私全部身に覚えがあるわ…。
保護者
私もです…。
教室長
すぐにできるようにはならない、一度で覚えることはなかなか難しい。教える側はそういう心構えを持っておくことが大切だと思います。間違えることが「普通」で、わかったことが「すごい」。そんなふうにお子さんに伝えられれば、徐々に自信がついてくるのではないかと。
保護者
本当にそうですよね。「なんで覚えられないの」なんて、わかっている今だから言えるけど、私だってわからなかったときは苦労したものね。
保護者
えぇ、私もちょっと、子どもへの勉強の教え方を反省しないといけないかもしれません。
教室長
まぁ、お子さんのことを思ってのことですから、熱くなって言い過ぎてしまうこともありますよね。