今回のテーマは〈第5文型〉です。〈第5文型〉は〈5文型〉の1つで、苦手意識を持つお子さんが多い文型です。
でも文型を理解していると、どんなに複雑に見える文も、内容を理解しやすくなります。文型は、英文精読や長文理解に欠かすことができず、英文読解には必須の知識なので、苦手意識を持ったままでは英語力の伸長へのさまたげになります。
そこでこの記事では、〈第5文型〉の基本的な用法で用いられる主な動詞と、〈第4文型〉との区別、〈第5文型〉の受動態の教え方に焦点を当ててご紹介していきます。「文型を活用すると解ける問題が増える」ことを、お子さんが実感できるようご紹介していきますので、ぜひご参考ください。
(※なお、〈第5文型〉の理解の基礎となる文の要素や5文型については、「【中学英語】基本5文型」の記事で確認ができますので、そちらもぜひご参考にしてください。)
目次
第5文型とはどんな文型?
第5文型の学習は、どのような文型なのか、基本形はどのようなかたちかを理解することから始まります。ご存じのように、〈第5文型〉は〈S+V+O+C〉のかたちをとります。〈主語+動詞〉(S+V)のあとに〈目的語+補語〉(O+C)が続きます。この〈第5文型〉の基本形でもっとも大切なことは、〈S+V+O+C〉のOとCの間に〈O=C〉という関係があるということです。〈O=C〉とは、どのような関係でしょうか? 実際にこの〈第5文型〉で用いられる主な動詞を例に見ながら、この「=」の関係を説明していきます。
〈第5文型〉で用いられる代表的な動詞は次の6つです。
① make+O+C 「OをCにする」 (←「〈OがCである〉状態をつくる(make)」) ② keep+O+C 「OをCにしておく」 (←「〈OがCである〉状態を保つ(keep)」) ③ leave+O+C 「OをCのまま放っておく」 (←「〈OがCである〉状態を置いて[残して]行く(leave)」) ④ call+O+C 「OをCと呼ぶ」 (←「〈OがCである〉と呼ぶ(call)」) ⑤ find+O+C 「OがCとわかる」 (←「〈OがCである〉と見つける[気づく・わかる](find)」) ⑥ drive+O+C「OをCにする」 (←「〈OがCである〉状態にする(drive)」) |
①~⑥のいずれも、訳し方はそれぞれですが、〈O+C〉の部分を〈O=C〉ととらえられるという点は共通です。ぜひここを押さえておいてください。それでは、例文で確認していきます。
このように、〈S+V+O+C〉の〈O+C〉の部分はOとCの間に〈O=C〉という関係があると考えられます。
たとえば、①の〈O+C〉であるher happyは、〈O=C〉というかたちにあてはめて表せば、her(she) = happy(彼女=うれしい)となります。同じように、②のme awakeはme(I) = awake(私=目覚めている)、③のhim aloneはhim(he) = alone(彼=1人)、④のme Lizはme(I) = Liz(私=リズ)、⑤のthe house emptyはthe house = empty(その家=空き家)、⑥のher angryはher(she) = angry(彼女=腹を立てている)となります。
この〈O=C〉が実感できると、丸暗記ではなく「=の関係をつくれる動詞」と考えられるので、お子さんの理解度も高まります。
この内容をしっかり押さえられれば、〈第5文型〉がどのような文型かをつかめる上、「第5文型と第4文型の区別」も理解がしやすくなります。
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〈第5文型〉の基本形と〈O=C〉の関係を説明してきましたが、より発展的な内容に入る前に、まずはこの基本形をしっかり身につける必要があります。以下に東京個別・関西個別で扱っている基本問題をご紹介しますので、ぜひここまでの内容理解にお役立てください。
《問題》 次の1)~4)について、和文に合うように( )内の語句を適切な順に並べ替えなさい。 1)彼らはその森を「黒い海」と呼んでいます。 They (the forest / call / “the Black Sea”). 2)彼は年齢を秘密にしておきたいと思っていました。 He wanted (his age / to / secret / keep). 3)窓を開け放しにしておかないように。 Don’t (open / leave / the window). 4)何で彼女はそんなに怒っているのですか。 What (her / so angry / makes)? |
《正解》 1)They call the forest “the Black Sea”. 2)He wanted to keep his age secret. 3)Don’t leave the window open. 4)What makes her so angry? |
《解説》
1)「その森を『黒い海』と呼んでいる」は、〈その森=『黒い海』〉と考え、〈call+O+C〉(OをCと呼ぶ)を用いて表します。そこから、Theyのあとはcall the forest “the Black Sea”となります。
2)「…したかった」は〈wanted+to不定詞〉で表します。そのあとは、〈(自分の)年齢 = 秘密にしておく〉を、〈keep+O+C〉(OをCにしておく)で表します。そこから、wanted toのあとはkeep his age secretとなります。
3)「…しないように」は〈Don’t+動詞の原形〉で表します。「窓を開け放しにしておく」は、「窓 = が開いている状態」と考え、〈leave+O+C〉(OをCのまま放っておく)を用いて表します。そうすると、Don’tのあとはleave the window openとなります。このopenは形容詞で「開いている」という状態を表す語です。
4)「何が彼女をそんなに怒らせているのか」は、つまり「何で彼女はそんなに怒っているのか」と訳すと和訳として自然になります。「何が」は主語(S)である疑問詞Whatが表します。「彼女をそんなに怒らせる」は、〈彼女=怒っている〉と考え、〈make+O+C〉(OをCにする)を用いて表します。そこから、Whatのあとはmakes her so angryとなります。
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第5文型と第4文型の区別
〈S+V〉のあとに2つの要素(A・B)がある〈S+V+A+B〉というかたちになっている場合、第4文型〈S+V+O1+O2〉か第5文型〈S+V+O+C〉かのいずれかになり、どちらの文型かを判断する必要がありますが、この判断がつかずに悩むお子さんが多いようです。しかし〈O=C〉の関係を使えば、区別も簡単にできるようになります。
次のように考えて2つの文型を区別してみましょう。
〈S+V〉のあとに2つの要素(A・B)がある〈S+V+A+B〉という文の場合、〈A=B〉の関係にあてはめて文意が通れば〈S+V+O+C〉(第5文型)、通らなければ〈S+V+O1+O2〉です。
第4文型は「O1にO2を…する」のように、Oを2つ同時にとる動詞を用いている文型なので、V以降の文の要素で「=」の関係は成り立ちません。
次の2つの文で確かめてみましょう。
He made Eri a chair. (彼はエリに椅子をつくってあげた。) He made Eri his wife. (彼はエリを妻にした。) |
どちらの文も1つ目の名詞(Eri)が目的語であることは間違いありません。しかし、2つ目の名詞(a chair・his wife)はどうでしょうか。名詞は目的語にも補語にもなるため、〈S+V+O+名詞〉は〈第4文型〉(S+V+O1+O2)にも〈第5文型〉(S+V+O+C)にもなるのです。
1つ目の文の場合、He made(S+V)に続く2つの要素はEri(エリ)とa chair(椅子)です。しかし、この2つを=で結んでも、Eri=a chair(エリ=椅子)は成り立ちません。そこから、〈第4文型〉(S+V+O1+O2)と判断します。そして、このmakeは「O1にO2をつくってあげる」と解釈します。
これに対し、2つ目の文の場合、He made(S+V)に続く2つの要素はEriとhis wife(彼の妻)です。そこで、この2つを=で結ぶと、Eri=his wife(エリ=彼の妻である)となり、文意が通ります。そこから、〈第5文型〉(S+V+O+C)と判断します。そして、このmakeは「OをCにする」と解釈します。
ここまでわかったら、次のような基本問題で演習すると、知識が定着しやすくなります。ぜひお子さまと一緒に挑戦してみてください。
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第4文型と第5文型の区別、すなわち〈目的語〉と〈補語〉の区別は、第2文型と第3文型の区別でも必要です。東京個別・関西個別では、問題演習を通じて文型の区別をつける文型判断の問題を「わかる」から「できる」になるよう指導をしています。それではさっそく、実際の問題で第4文型と第5文型を見分けてみましょう。
《問題》 次の1)~4)について、下線部が〈目的語〉か〈補語〉かを言いなさい。 1)They consider him a diligent person. 2)I must get her another shirt for the winter. 3)She kept the fact a secret. 4)Tom found her a taxi. |
《正解》 1)補語 2)目的語 3)補語 4)目的語 |
《解説》
1)consider(V)のあとに続く、him と a diligent person(勤勉な人物)との関係を考えると、〈him = a diligent person〉の関係が成り立ちます。そこから、〈第4文型〉と判断し、a diligent personをCと判断できます。
2)get(V)のあとに続く、her と another shirt(別のシャツ) との関係を考えると、〈her ≠ another shirt〉の関係がわかります。そこから、〈第4文型〉ではなく〈第5文型〉であると判断し、another shirtをOと判断できます。
3)kept(V)のあとに続く、the fact(事実) と a secret(秘密/機密) との関係を考えると、〈the fact = a secret〉の関係が成り立ちます。そこから、〈第4文型〉と判断し、a secretをCと判断できます。
4)found(V)のあとに続く、her と a taxi(タクシー)との関係を考えると、〈her ≠ a taxi〉の関係がわかります。そこから、〈第4文型〉ではなく〈第5文型〉であると判断し、a taxiをOと判断できます。
〈第5文型〉(S+V+O+C)の受動態の考え方
最後に、第5文型でつまずきやすいポイントの1つである受動態について説明していきます。
〈第5文型〉(S+V+O+C)には目的語(O)が含まれています。目的語を含む文は原則として目的語を主語(S)にして受動態にすることができます。つまり、〈第5文型〉も受動態のかたちをとれるのです。受動態の文は、OをSの位置に置き、動詞を〈be動詞+過去分詞〉にしてつくります。〈第5文型〉の受動態は、〈S+V+O+C〉のOを主語の位置に置いて、動詞を〈be動詞+過去分詞〉にした上で、残されたCをそのまま置いてつくります。
たとえば、They call the girl Hana.(彼らはその女の子をハナと呼んでいる。)という〈第5文型〉の能動態の文は、Oであるthe girlを主語の位置に置き、動詞をis called(be動詞+過去分詞)にし、そのあとに残されたCであるHanaをそのまま置けば、The girl is called Hana (by them).(その女の子は(彼らに)ハナと呼ばれている。)という受動態の文になります。
このように、〈第5文型〉の受動態は〈S+be動詞+過去分詞+C〉というかたちになります。ここで注意しておきたいことは、〈S+V+O+C〉(能動態)において、〈O+C〉の部分は〈O=C〉と解釈できるということです。そして、このOが主語(S)の位置に置かれて〈S+be動詞+過去分詞+C〉という受動態になっても、このS(元O)とCは〈S(元のO)=C〉と解釈できることに変わりはありません。このように、〈第5文型〉の受動態〈S+be動詞+過去分詞+C〉は、〈S=C〉の関係があることをとらえておくことが大切です。
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第5文型の受動態は、整序問題でも出題されます。東京個別・関西個別では、第5文型の総仕上げとして、頻出の整序問題を指導のなかで扱っています。
以下に、その一部をご紹介します。お子さんの問題演習にお役に立てればうれしいです。
《問題》 次の1)~3)について、和文に合うように( )内の語句を適切な順に並べ替えなさい。 1)窓が開け放しにされている。 (is / left / the window / open). 2)その建物は「ビッグバード」と呼ばれている。 (“Big Bird” / the building / called / is). 3)彼は優れた音楽家と考えられている。 (considered / he / a great / is / musician). |
《正解》 1)The window is left open. 2)The building is called “Big Bird”. 3)He is considered a great musician. |
《解説》
1)日本文から、〈窓=開け放し〉の関係が読み取れます。( )内の語句のなかにisというbe動詞があるため、〈S+V+O+C〉の〈第5文型〉ではなく〈S+be動詞+過去分詞+C〉で表すと考えます。そこから、The window is left open.となります。
2)日本文から、〈建物=「ビッグバード」〉の関係が読み取れます。英語句のなかにisというbe動詞があるため、〈S+V+O+C〉の〈第5文型〉ではなく〈S+be動詞+過去分詞+C〉で表すと考えます。そこから、The building is called “Big Bird”.となります。
3)日本文から、〈彼=優れた音楽家〉の関係が読み取れます。英語句のなかにisというbe動詞があるため、〈S+V+O+C〉の〈第5文型〉ではなく〈S+be動詞+過去分詞+C〉で表すと考えます。そこから、He is considered a great musician.となります。
今回は、〈第5文型〉の教え方についてお伝えしてきました。〈第5文型〉(S+V+O+C)は、そこで用いられる主な動詞(V)と共に、〈O=C〉の関係を的確に把握することが大切です。この〈O=C〉の関係をしっかり押さえることで、〈第5文型〉はもちろん〈第4文型〉の理解、加えて同様にCとOの区別が求められる〈第2文型〉・〈第3文型〉の理解、〈5文型〉全体の理解度向上につながります。この〈5文型〉の理解は、高校生になりますます複雑になる英文を理解するために、非常に重要な基盤です。そのため、高校ではまず〈5文型〉を学びます。
「文型」の学習だけでなく、長文読解や英文精読を通してこの文型への理解をさらに深めていくことが重要です。高校生で内容が難しくなる英語で、重要なポイントを見極め、最適なレベルで必要な演習を積めるかどうかは、学力を向上させるためにとても重要です。
自分にとっての適切なレベルの問題や、必要な演習が明確でない場合、またはそれらを相談したい場合には、個別指導塾にご質問・ご相談を活用いただくのも1つの手段です。東京個別・関西個別では、お子さんの学力状況を把握し、目標達成のために必要な勉強を見極めて、1人ひとりに最適な学習カリキュラムを作成します。無料の学習相談会も実施しておりますので、まずはご遠慮なくお問い合わせください。
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