英文の中で重要なポイントになる動詞。その動詞には、自動詞と他動詞があることをご存じでしょうか。意外と曖昧になりやすい区別ですが、これがわかるだけで、英文をぐっと理解しやすくなります。
目次
自動詞と他動詞ってなに?
保護者
なんで”I go to New York.(私はニューヨークへ行く)”なのに、”I visit New York.(私はニューヨークを訪れる)”は前置詞がないんでしょうね。
保護者
「go to 〜」で「〜へ行く」って覚えたけど、たしかに「visit to 〜」(~を訪れる)とは言いませんよね。
教室長
いわゆる、自動詞と他動詞の問題ですね。
保護者
自動詞と他動詞ですか?
教室長
たとえば、「始まる」と「始める」は違いますよね。日本語では、「~が」に続く「始まる」の方を自動詞、「~を」に続く「始める」の方を他動詞といいます。
保護者
ええと…「演奏が始まる」と「演奏を始める」みたいな感じですか?
教室長
そうです。英語の動詞にも自動詞と他動詞があって、すぐ後ろに目的語が来るものを他動詞、来ないものを自動詞と呼ぶんです。「go」は自動詞なので、後ろには前置詞「to」から始まる前置詞句(ニューヨークへ)が来て、「visit」は他動詞なので、すぐ後ろに目的語(ニューヨーク)が来ます。
保護者
「go」は自動詞だから前置詞が必要で、「visit」は他動詞だから前置詞はいらないということですか?
教室長
そうです。さきほどの例のように前置詞が必要かどうかもですが、関係代名詞の文をつくれるようになったり、意味を明確にしたりと、この区別を理解することで、なんとなくつくっていた文がはっきりしてくるんですよ。高校で詳しく学習する「文型」には欠かせない知識でもあるので、中学の頃から意識しておくと後が楽になります。
自動詞と他動詞を区別するメリット
保護者
知っていると英文法がわかりやすいということはなんとなくわかったんですけど…やっぱり難しいです。
教室長
それでは、もっと丁寧に少しずつ見ていきましょう。
保護者
お願いします。
教室長
最初の、前置詞の有無についてはわかりますか?
保護者
「go」は自動詞だから「行く」という意味で、「に」にあたる「to」が必要。「visit」は他動詞だから「に行く」という意味で、前置詞は不要、ということですよね。
教室長
そうです。そして、自動詞は「〜に・を」という目的語がなくても使うことができますが、他動詞は必ず後ろに目的語が必要です。
保護者
じゃあ、”I go.”はいいけれど、”I visit.”はダメということですか?
教室長
いえ、実は「go」も「visit」も、厳密に言えば、自動詞と他動詞両方の用法がありますが、そもそも”I go.”という表現だけで使うことはあまりありませんね。ただ、そこまでつっこむと難しくなるので、今は「自動詞と他動詞の両方の意味を持つ動詞がある」ことと、「go」は自動詞、「visit」は基本的に他動詞くらいに覚えてくださいね。
保護者
わかりました。ほかに中学生のうちに知っておいた方がよいことはありますか?
教室長
自動詞として使われているか他動詞として使われているかで、文のニュアンスが変わることがあります。
保護者
ニュアンスですか?
教室長
たとえば、”I caught the cat.”と”I caught at the cat.”。どちらも「caught(原形catch)」(捕まえる)という動詞が入っていますが、前者は他動詞で、後者は自動詞として使われています。どちらも「猫を捕まえた」と訳せますが、他動詞の後ろは目的語なので「猫を捕まえた」ですが、自動詞の場合は「猫を捕まえようとした」というニュアンスになります。
保護者
え? じゃあ、”I caught at the cat.”は猫が捕まらなかったかもしれないってことですか?
教室長
そういうことです。もっとも、「猫を捕まえようとした」と言いたいのなら”I tried to catch the cat.”とするほうが自然ですけどね。自動詞は、その名のとおり「自分だけ」の動作で完結することが多く、他動詞は「他に働きかける動作」であると考えます。さきほどの例も、後者の自動詞では「私が捕まえるための行動をとった」ことを述べていて、前者の他動詞では「猫を捕まえた」ことを述べていると言えます。
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自動詞と他動詞はどうやって見分けるのか
保護者
自動詞と他動詞を意識して覚えた方がいいことはわかりましたけど、同じ単語でも自動詞になったり他動詞になったりするんですよね。どうやって見分ければよいのでしょうか。
教室長
英文が書かれている場合には簡単ですよ。動詞のすぐ後ろに目的語があるかどうかで判断できます。例外はありますが、原則としては後ろに前置詞があれば自動詞、なにもなくても自動詞です。
保護者
“I go to New York.”(私はニューヨークへ行く)は動詞の後ろに前置詞があるから自動詞ですね。
教室長
英文を自分でつくらなければならない場合は、動詞が自動詞か他動詞かを見極める必要がありますが、これはそのつど覚えていく必要があります。
保護者
だから”go to 〜”で覚えるわけですね。
教室長
そうです。前置詞を伴う自動詞を区別するために連語で覚えておけば、高校で文型を勉強する時にも楽に学習が進められますよ。