今回のテーマは〈助動詞〉、その中でもwillについて詳しく扱います。〈助動詞〉は入試問題や定期テストで、文法問題だけでなく長文読解でも出題される「超」重要な文法事項ですが、苦手としているお子さんは多くいらっしゃいます。それというのも、覚えないといけない〈助動詞〉の意味・用法が多すぎると感じているからです。
〈助動詞〉を使いこなせるようになると微妙なニュアンスを表現することができるので、より深いコミュニケーションがとれるようになります。「使える英語」を身に着けるためにも重要な文法事項なのです。
この 記事では単純な丸暗記 に頼らないため、〈助動詞〉自体の基本的な考え方を押さえていきます。〈助動詞〉を根本から理解して、学習を効率よく進めましょう。
目次
〈助動詞〉を覚えるのはこんなに大変!
まずは中学・高校で扱う主な〈助動詞〉を 集めた図をご覧ください。
参考書の〈助動詞〉のページを見て、お子さんが「こんなにたくさん覚えきれない!」と嘆く様子を目にされたことはありませんか?
参考書や書籍にもよりますが、お子さんたちは10個以上もの〈助動詞〉について、それぞれ意味・用法・応用表現などを学習することが求められています。
暗記できれば定期テストや模試の得点に直結するのですが、「多すぎて無理」「覚えられない」となってしまうのも無理のない話です。
ではどうしたら、少しでも効率よく学習できるのでしょうか?
〈助動詞〉の働きと決まり
東京個別・関西個別では、〈助動詞〉の導入として、その働きと決まりについて確認しています。
〈助動詞〉の働き
次の英文①②を見てください。
① Ben runs fastest in the class. (ベンはクラスで最も速く走ります。)
② Ben can run fastest in the class. (ベンはクラスで最も速く走れます。)
① run(走る)が〈現在形〉で用いられています。〈現在形〉は、現在の習慣的行為・状態などを表します。つまり、①は、「ベンがクラスで最も速く走る」という事実を述べています。
② それに対し、②は、runが〈助動詞〉canと一緒に用いられています。このcanは、〈可能(性)〉を表します。つまり②は、「ベンがクラスで最も速く走れる」という〈話し手の主観〉を述べています。
このように〈助動詞〉は、ある事柄について話し手がどうとらえているかという〈話し手の主観〉を動詞に加えます。ここで、中学校で学習する代表的な〈助動詞〉の意味を見てみましょう。
・will(…するつもりである・…だろう)
・can(…できる・…でありうる)
・may(…してよい・…かもしれない)
こうして意味を眺めてみると、いずれも〈話し手の主観〉を表すものであることがわかります。
〈助動詞〉3つのルールと否定文・疑問文
〈助動詞〉3つのルール
次に、〈助動詞〉を用いる際の3つのルールを説明します。
1)ルール①〈助動詞〉の基本
〈助動詞〉は、動詞の直前に置かれ、〈助動詞〉直後の動詞は〈原形〉になります。
つまり、〈助動詞+動詞の原形〉で1つのセットです。
2)ルール② 3単元のsはつかない
ルール①の通り、〈助動詞+動詞の原形〉なので、主語が〈3人称・単数〉であっても、〈助動詞〉の直後の動詞に〈3単現の-s〉はつきません。〈助動詞〉自体にも、〈3単現の-s〉はつきません。
3)ルール③ 〈助動詞〉は2つ以上連続して置けない
また、〈助動詞〉を2つ以上連続して置くことはできません。
たとえば、He will can speak English well.などのように使うことはできません。
〈助動詞〉を含む否定文・疑問文
次に〈助動詞〉を含む否定文・疑問文のつくり方をご説明します。
1)〈助動詞〉を含む否定文
否定語not(ない)を用い、〈助動詞+not+動詞の原形〉にします。
【肯定文】She can swim well. (彼女は上手に泳げます。)
【否定文】She can not[can’t / cannot] swim well. (彼女は上手に泳げません。)
※can notというかたちは特別な場合以外では使わず、1語のcannotや短縮形のcan’tを使うのが通例です。
2)〈助動詞〉を含む疑問文
主語の前に〈助動詞〉、文末に疑問符(?)を置き、〈助動詞+主語+動詞の原形…?〉という語順にします。
【平叙文】She can swim well. (彼女は上手に泳げます。)
【疑問文】Can she swim well? (彼女は上手に泳げますか。)
この否定文・疑問文のつくり方は、多くの〈助動詞〉で共通です。〈助動詞〉自体の主な疑問文・否定文のつくり方を押さえておくと、新たに学習する〈助動詞〉が増えても対応できます。〈助動詞〉に苦手意識を持つ場合には、まずこのかたちからマスターしていくと得点アップに直結します。
■東京個別・関西個別(個別指導塾)の基本問題をご紹介!
ここまでが、絶対押さえておきたい〈助動詞〉の基本です。東京個別・関西個別では、重要事項が「わかる」だけでなく「できる」ようになっているかを、基本問題の演習で確認しています。
以下の問題を、お子さんが〈助動詞〉の基礎事項が習得できているかの確認にぜひお役立てください。
《問題》
次の1)~3)について、( )内の指示に従って全文を書き換えなさい。
1)Kumi speaks English very well.(canを用いて「~できる」という意味の文に)
2)Tom will come to the party tomorrow.(疑問文に)
3)They should go there.(否定文に)
《正解》
1)Kumi can speak English very well.
2)Will Tom come to the party tomorrow?
3)They should not [shouldn’t] go there.
《解説》
1)〈助動詞〉は〈助動詞+動詞の原形〉を1つのセットとするため、speaks(話す・3人称単数形)の前に〈助動詞〉canを置き、speaksのsを取って原形にします。
2)〈助動詞〉を含む疑問文の語順は〈助動詞+主語+動詞の原形…?〉ですので、〈助動詞〉willを主語の前に置き、文末に疑問符(?)を置きます。
3)〈助動詞〉を含む否定文の語順は〈助動詞+not+動詞の原形〉ですので、〈助動詞〉shouldの直後にnotを置きます。should notの短縮形のshouldn’tを使っても正解です。
〈助動詞〉のとらえ方
〈助動詞〉は、個々の用法を学習する前に、〈助動詞〉という品詞の基本的な考え方を理解することが大切です。〈助動詞〉の働きやルールの次は、〈助動詞〉の意味・用法の体系を整理します。
ここでは、中学校で学習する4つの代表的な〈助動詞〉must・will・can・mayを見ていきましょう。
ここに挙げた4つの〈助動詞〉は、「must→will→can→may」の順で覚えるのがおすすめです。なぜこの順で覚えるとよいのか、その理由を次から説明していきます。
〈助動詞〉は、その事柄について話し手がどうとらえているかという〈話し手の主観〉を表すものです。事柄には、大きく分けて「Sは…である」と「Sは…する」の2つがあります。それに加えて事柄のとらえ方には、「Sが…である〈可能性・確率〉はどの程度か」と「Sが…する〈必要性・意志〉はどの程度か」という2つの観点があります。この2つの観点における「程度」の高低を表すのが〈助動詞〉です。
たとえば、話し手が「Sが…である〈可能性・確率〉は非常に高い」と考えていれば〈助動詞〉must(…にちがいない)、「Sが…である〈可能性〉はそこそこ高い」と考えていれば〈助動詞〉will(…だろう)を用います。また、話し手が「Sが…する〈必要性・意志〉は非常に高い」と考えていれば〈助動詞〉must(…しなければならない)、「Sが…する〈必要性・意志〉はそこそこ高い」と考えていれば〈助動詞〉will(…するつもりである・…するだろう)を用います。
上表の太枠内の英文は、He is a painter.(彼は画家です。)とI buy a bottle of water.(私は水を1本買います。)という例文に、〈話し手の主観〉を表す〈助動詞〉を加えたものです。話し手が想定する〈可能性・確率〉や〈必要性・意志〉の程度が、高いほうから「must → will → can → may」の順で示されています。程度の変化に伴って、文の意味が変化することをとらえられるかと思います。
それぞれの〈助動詞〉が持つ〈可能性・確率〉や〈必要性・意志〉の程度を理解する、これが〈助動詞〉の体系的なとらえ方です。「must → will → can → may」のように、〈可能性・確率〉や〈必要性・意志〉を程度が高い順に覚えておくと、入試問題や定期テストでの対応力が高まるのでおすすめです。
〈助動詞〉は、単純な暗記に終始するのではなく、このように体系的にとらえておくと、本質をはずさずに柔軟に解釈できるようになります。一時的な知識ではなく、根本をとらえた上で活用ができる確かな知識となるよう学習することが重要です。
〈助動詞will〉の考え方と用法
では、具体例として〈助動詞will〉の考え方と用法を見ていきます。〈助動詞will〉は、事柄の〈可能性・確率〉や行為の〈必要性・意志〉について、話し手が「そこそこ高い」(70~80%程度)と考えていることを表すものでした。そこから、ある事柄について「…だろう」と推量したり、ある行為について「…するつもりである」と意思表明したりする場合に用いられます。
〈助動詞will〉の3用法
〈助動詞will〉の主な用法として、次の3つを紹介しておきます。
1)〈推量〉「…だろう」
自身の、または他者の事柄に関する話し手の〈推量〉を表します。
I will be late because the traffic is too heavy.(道が混みすぎているので、私は遅刻するでしょう。)
2)〈意志〉「…するつもりである」
willは本来「意志・意欲・決意」を表す名詞で、〈助動詞will〉はそこから派生したものです。
I will do everything possible for you.(君のためにできることはすべてするつもりです。)
また、このwillを否定文で用いると、「(主語が)どうしても…しようとしない」という〈拒絶〉を表します。
She won’t say anything more.(彼女はそれ以上何も言おうとしません。)※ won’t:will notの短縮形
3)〈依頼〉「…してくれないか」(疑問文で)
youを主語にして〈助動詞will〉を用いた疑問文〈Will you+動詞の原形…?〉は、「…してくれませんか」という〈依頼〉を表すことがあります。これは、相手(you)に「あなたは…するつもりはありませんか」という〈意志〉を問うことから派生した表現です。
Will you help me with my homework?(宿題を手伝ってくれませんか。)
また、〈Will you+動詞の原形…?〉を否定文で用いた〈Won’t you+動詞の原形…?〉は、「…してくれませんか」という〈依頼〉を表す場合もあれば、「…しませんか」という〈勧誘〉を表す場合もあります。
Won’t you have some coffee?(コーヒーを飲みませんか。)〈勧誘〉
〈助動詞〉の考え方はいかがだったでしょうか。具体例として挙げたwillの用法を参考にしていただき、ぜひ体系的に覚えていただければと思います。
■ 東京個別・関西個別(個別指導塾)の基本問題をご紹介!
では次に〈助動詞〉を使えるようになると、いろいろな表現ができるようになることを基本問題で実感してみてください。繰り返し演習をすると、定着しやすくなります。
《問題》
次の1)~4)について、英文の和訳として適切なものを選びなさい。
1)He will be at home now.
① 彼は今、家にいるでしょう。
② 彼は今、家にいるかもしれません。
2)I will call you later.
① 後で電話します。
② 後で電話するかもしれません。
3)This window will not open.
① この窓は開けないほうがよいと思います。
② この窓がどうしても開きません。
4)Will you open that window?
① その窓は開くでしょうか。
② その窓を開けてくれませんか。
《正解》
1)①
2)①
3)②
4)②
《解説》
1)この英文は、now(今)があるため、現在の事柄について述べたものです。「彼が今家にいる(He is at home now.)」ことの〈可能性・確率〉について、「そこそこ高い」と考えているため、〈助動詞will〉が用いられています。つまり、この〈助動詞will〉は、〈推量〉を表し、「…だろう」と訳せるものです。そこから、正解は①です。
2)この英文は、「後で君に電話する(call you later)」ことの〈必要性・意志〉について、「そこそこ高い」と考えているため、〈助動詞will〉が用いられています。つまり、この〈助動詞will〉は、〈意志〉を表し、「…するつもりである」と訳せるものです。そこから、正解は①です。
3)この英文は〈意志〉を表す〈助動詞will〉を否定文で用いたものです。This window(この窓)に意志はありませんが、あたかも意志があるかのようにとらえ、「この窓がどうしても開いてくれようとしない」と擬人的に表現しています。つまり、この〈will not〉は〈拒絶〉を表し、「(主語が)どうしても…しようとしない」と訳せるものです。そこから、正解は②です。
4)この英文は〈助動詞will〉を用いた疑問文〈Will you+動詞の原形…?〉のかたちです。つまり、〈依頼〉を表して「…してくれないか」と訳せるものです。そこから、正解は②です。
〈助動詞〉自体の理解で暗記の負担が減っていることを、お子さん自身に実感してもらえるような基本問題を紹介しました。
今回は〈助動詞〉の基本ルールから始まり、具体的にwillの用法で確認していきました。〈助動詞〉全体のルールや役割を整理して使えるようになると、いろいろな表現ができるようになることがおわかりいただけると思います。そうはいっても、部活や勉強に忙しいお子さんたちにとっては、「今後大切になるポイント」を見すえて「目先」の学習に取り組むことはとても難しい(というよりほぼ不可能な)ことかもしれません。
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