中学校に入ると、初めて古文を勉強します。現代では使われない文体になかなか慣れず、ニガテ意識を感じるお子さんも多いのではないでしょうか。今回は、そんな中学校の古文の勉強法について紹介します。
目次
覚えていますか?古文の代表作
保護者
中学生の古文の授業で、どういう作品を扱ったか覚えていらっしゃいますか?
保護者
そうね、『竹取物語』、『平家物語』あとは『徒然草』なんかをやったかしら。どうかしたの?
保護者
うちの子が古文にニガテ意識があるみたいで、勉強がなかなか進まなくて悩んでいるようなんです。私もどんなことを習ったかあまり覚えていなくて。
保護者
『竹取物語』は、かぐや姫のお話ですよね。「今は昔、竹取の翁ありけり」(今では昔の話だが、竹をとって暮らすおじいさんがいた)で始まる話よね。あとの2つはどういうお話だったかしら?
教室長
『平家物語』は、平安時代末期の源平の戦いを描いたものですよ。琵琶法師による弾き語りで広まったとされる作品で、「祇園精舎の鐘の声」という冒頭が有名ですね。
保護者
確かにやったことがある気がします!じゃあ『徒然草』は、どんなお話なんでしょうか。
教室長
『徒然草』は、兼好法師という随筆家が書いた文章です。仏教的な「無常観」が主なテーマとなっていますね。冒頭の「徒然なるままに日ぐらし硯に向かいて心にうつりゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくれば怪しうこそ物狂おしけれ」(※)が有名ですよ。これは「何となく一日中硯に向かって、心に浮かんだたわいもないことをとりとめもなく書いていると、不思議なくらい何かにつかれたような気持ちになってくる」という意味になります。
保護者
なるほど。あらすじを知っていると、読解もしやすそうですね。
教室長
古文作品に親しむために、古文作品を漫画化したものに一度目を通しておくのも手ですよ。ストーリーを理解する手助けになります。
保護者
でも、細かい読解となるときちんとした知識やテクニックが必要そうですよね。
教室長
そうですね。古文の読解では、主に3つの要素が大事なんですよ。
古文攻略に欠かせない3つの要素
保護者
3つの要素?文法は1つの要素としてありそうよね。あとは単語かしら。もう1つはわからないわ。
教室長
文法、単語、もう1つは敬語ですね。どれも正しい現代語訳をするために押さえておきたい要素です。
保護者
それぞれどういう点を押さえればよいのでしょうか。
教室長
まず文法ですが、中学校の範囲では「係り結び」がよく出てきます。文中に「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」のいずれかがあったときに、文末の用言(動詞、形容詞、形容動詞、助動詞)が言い切りの形である終止形ではなく、連体形や已然形になったりするというものですよ。
保護者
難しそうですね。どういう意味を持つんでしょうか。
教室長
連体形で結ぶ「ぞ」「なむ」と、已然形で結ぶ「こそ」は強調の意味を持ちます。連体形で結ぶ「や」「か」は「~だろうか、いや違う」という反語の意味になりますよ。
保護者
うーん、少しイメージがわきません…。
教室長
例えば「雨降りけり」という文章があったとしましょう。「雨が降った」という意味ですね。これに強調の「こそ」を入れると、「雨こそ降りけれ」となります。文末の「けり」(過去の助動詞)が「けれ」という已然形に変わっています。意味は強調ですので「雨が降ったのだ」くらいの現代語訳になりますね。
保護者
なるほど。反語はどうなるんでしょうか。
教室長
例えば「我や言はむ」という文章が該当しますね。
保護者
「や」が入っているからこの場合の「む」は連体形なんですよね?
教室長
その通りですね。「私は言うだろうか、いや言わない」という現代語訳になります。「いや言わない」とまで述べるなんて、少し慣れない言い回しですが、試験ではこのように反語特有の言葉で回答しないと得点がもらえないこともあるため、注意が必要ですね。
保護者
何だかパズルみたいでおもしろくなってきたわ!
教室長
文法は他にも、よく出る助動詞を押さえておくと読み進めやすくなりますよ。完了(すでに~した)の「たり」、過去(~した)の「けり」、打ち消し(~ない)の「ず」、推量(~だろう)の「む」などは覚えておくと便利です。
保護者
単語はどのくらい覚えておけばよいのでしょうか。
教室長
高校入試に必要な単語は約200語と言われています。入試対策の時期になったら、古文単語の教材を1冊持っておくと安心かもしれませんね。
保護者
特にどういう単語を押さえておくべきかしら?
教室長
現代文と古文で意味の違う言葉が出やすいですね。たとえば「をかし」という古文単語があります。この単語を現代的かな遣いにすると「おかしい」となりますが、古文単語のほうは「趣がある」という意味で、「おかしい」という意味ではほとんど使われません。
保護者
ややこしいけれど、いかにもテストに出そうね。
教室長
ほかにも古文常識と結びつけて陰暦の月の呼び方などを押さえておくとよいですよ。
保護者
月っていうのは、「睦月」=1月、みたいなもののことですよね。なかなか覚えられなかった記憶があるわ。
教室長
月の覚え方は、それぞれの頭文字をとって「むきやうさみふはなかしし」などと覚えるとよいですよ。こうすれば、「睦月・如月・弥生・卯月・皐月・水無月・文月・葉月・長月・神無月・霜月・師走」と正しい順番で覚えられると思います。
保護者
なるほど、確かに覚えやすいわね。じゃあ、敬語はどういうところを押さえればよいのかしら。
教室長
古文の世界では上下関係をとても大切にしていて、敬語も細かく使い分けられています。例えば「大納言、御所に参られけり」という文章があったとします。ここには2種類の敬語が隠されているんですよ。どこかわかりますか?
保護者
うーん、現代語と同じだったら、謙譲語の「参る」が1つ隠されているわね。もう1つはどこかしら?
教室長
「参られけり」の「れ」が尊敬の助動詞「る」の活用になっています。「大納言が参上なさった」という訳になります。
保護者
1つの文章に尊敬語と謙譲語が両方あるなんてことは、現代語ではあまりありませんよね?
教室長
そうですね。古文ではこういうことがよくあります。正しく現代語訳するとともに、それぞれの敬語が誰に対しての敬意を表しているのかを問う問題が出やすくなっていますよ。先ほどの例文では、「参る」が御所に住む天皇などに対する敬意、「れ」が筆者から大納言に対する敬意を表しています。
保護者
古文の効果的な勉強法はコレだ!
保護者
では3つの要素を、どのように勉強していけばよいのでしょうか。
教室長
中学校の古文は基礎的なもので、教科書で現代語訳を確認できることがほとんどです。まずは現代語訳を理解しながら、歴史的かな遣いに慣れ、しっかり音読できることが大切になります。音読で古文のリズムに慣れることで、文節や単語の区切りを正しく把握できるようになりますよ。
保護者
単語の区切りは文法、単語、敬語のどれについても基本だと言えるものね。音読なら手もつけやすそうですしね。
教室長
その上で3つの要素を勉強していきます。1つ目の文法はストーリーに登場した助動詞や係り結びなどについて、現代語訳と照らし合わせながら使い方のパターンを覚えるようにするとよいでしょう。文法だけを丸暗記するよりも、ストーリーの内容と一緒に覚えると覚えやすいですよ。
保護者
英語と似ているわね。
教室長
2つ目の単語は、例文も一緒に覚えられるような単語帳を準備しておくと便利ですね。語呂合わせで覚えたり、イラストと一緒に視覚的に覚えたりできるものがおすすめです。3つ目の敬語は、教科書に載っているストーリーの登場人物の人間関係やストーリーの背景と一緒にパターンを頭に入れていくのがベストでしょう。たとえば「枕草子」は、中宮や帝など同じ登場人物が繰り返し出てきます。ですから、パターンを覚えておけば、模擬試験や高校入試などで同じ作品の違う箇所が出ても解きやすくなりますよ。
保護者
古文は暗記が大切だと思っていたけれど、ストーリーや人間関係、文法の理解も大切なんですね。
教室長
どうしても理解につまずくような場合は、お子さん1人ひとりに合わせて考え方を丁寧に教えてくれる個別指導塾もおすすめですよ。
保護者
細かなフォローがあると安心できそうですね!
(※)『徒然草』(吉田兼好、序段)より。
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